2009年
卓球界は歴史的なターニングポイント 
卓球スタイルはチェンジの予感



全日本選手権
男子も女子も大混戦

 新年明けましておめでとうございます。といささか遅くて、間が抜けた新年のごあいさつです。
ところで、日本の正月は旧正月の日程に戻したほうがいいと思いませんか。いただく賀状には、「新春のお慶び」とか「迎春」「初春」とか、まるで春が訪れたようなことが書かれていますが、1月1日といえばまだまだ冬真っ盛り、というよりこれから本格的な厳寒のシーズン突入という時季で、「春」のおもむきなどまったくありません。
旧暦の正月は、現在の1月22日ごろから2月19日ごろあたり、やはりこれくらい日にちを遅らせないと「春の慶び」を感じるのは、ちょっと無理です。

今年度「全日本選手権覇者」大予想

 枕はこれくらいにしおいて、さてさて「卓球」です。
世界は大恐慌へまっしぐらという様相を呈しています。卓球界も、補助剤の禁止などから、プレースタイルなども変化がありそうで、世界的な大激動が起こりそうです。もしかしたら、卓球王国・中国も、その地位から転がり落ちるかもしれません。
これは近々、「技術論」で展開する予定ですが、世界の卓球は、「スピン+パワー」から、「スピード+コーナー+パワー」が主流になるでしょう。
その世界の卓球が大きくチェンジするさきがけとなるのが今年度の全日本選手権です。今大会が、日本と世界の卓球技術のターニングポイントとなることは間違いないでしょう。
まずは卓技研、新年恒例の「全日本選手権シングルス覇者・大予想」から。スーパーシードの組み合わせから占ってみます。


【男子シングルス】

 水谷の三連覇に期待がかかるところですが、第1シードの水谷のブロック(その1)はかなり厳しそう。水谷は初戦の4回戦で川崎(協和発酵キリン)、5回戦で森田(日産)と、いきなり手強い相手が待っています。このあたりでかなり苦戦しそうで、もしかしたら……なんてことも脳裏をかすめます。
水谷はここを突破しても、6回戦で高木和健一(東京アート)か中野(シチズン)で、これまたかなりの難敵。そして準々決勝では岸川(スベンソン)、張(東京アート)、倉嶋(協和発酵キリン)の誰かと対戦するはずです。
個人的には水谷と岸川のダブルスコンビ対決がみたいですが、今年度の水谷のヤマは、4、5、6回戦ではないでしょうか。6回戦を突破すると、優勝まで一直線にいきそうです。
「その2」のブロックをみると、ここで勝ち上がりそうなのが、有力な順から坪口(青森大)、渡辺(シチズン)、田勢(協和発酵キリン)、松下(グランプリ)ですが、ここはひょっとしたら上田(青森山田高)が抜けるかもしれません。上田は5回戦で松下と対戦する可能性が高く、今年度に引退するカットのベテランを破ればその実力は本物ということになり、ベスト4も夢でなくなるでしょう。
「その3」のブロックには、韓陽(東京アート)、松平健太(青森山田高)、大矢(青森大)、坂本(協和発酵キリン)など強敵がひしめきます。このブロックでは、5回戦で坂本と松平の対戦のヤマダ先輩後輩対決がおもしろそうです。たしか2年前の対戦では坂本が先輩の意地で、まだ中学生だった松平の挑戦をなんとか凌ぎました。松平有利の声が多いでしょうが、これはかなりの激戦となるでしょう。
実は、卓技研は坂本のセンスに高い評価をしています。メンタルが研磨されれば、彼はこれまでの日本のプレーヤーにはない「大きな卓球」ができるでしょう。それだけの器量があるはずです。
また、このブロックでは6回戦で韓陽と大矢の対戦が予想されます。若さと例の勢いで大矢が勝ち抜くと、またしてもヤマダ対決(松平か坂本)が実現しそうです。今年も東京体育館に「グアワオー!!」という大矢の獣声が響き渡るのでしょうか。
「その4」をみると、なんといっても第2シードの吉田(グランプリ)が光っています。その吉田と対戦するのは、6回戦で下山、準々決勝で松平賢二(青森大)でしょう。吉田が苦戦しそうなのは松平でしょうが、ここはヤマダの大先輩として吉田の貫録勝ちです。
優勝争いですが、水谷は前述したように、準々決勝まで勝ち上がれば決勝までいくでしょう。水谷を除いて、ベスト4に残るのは、吉田、松平健太、上田ではないでしょか。上田はかなり大胆な予想ですが、松下を破ればひょっとしてという条件と期待をこめて推しました。
さて、ずばり優勝ですが、もちろん実力では水谷がぴか一ですが、そうは簡単に3連覇は獲らしてくれないでしょう。ここは吉田の復活に賭けてみます。日産からグランプリに移籍して練習環境も変わって、それにオリンピックのメンバーから外れたことへのリベンジもあります。きっと、吉田の豪快な卓球がパワーアップし、さらにシャープなキレが加味されているにちがいありません。



【女子シングルス】

 女子の注目は今年度から参戦する中国出身の王輝(日立化成)で、優勝候補の一角は決まり、といったところです。
 また、女王の平野(ミキハウス)のこの間の苦戦が伝えられていますが、「その1」の組み合わせをみると、まずベスト4は確実でしょう。
 「その2」のブロックにはかなりの実力者が集まりました。小西(アスモ)、伊藤(十六銀号)、森薗(青森山田高)、藤井寛子(日本生命)、梅村(文化シャッター)、藤井優子(四天王寺高)、照井(早稲田大)など、しぶとい面々がそろっています。
 このブロックの見物は、対戦が確実視される小西と森薗の一戦でしょう。まあ、ここで杏ちゃん(小西)は負けるわけにはいきません。また、小西対梅村というベテラン対決や藤井姉妹対決も見たいものです。
 「その3」は、プレスの関心がいちばん集まるブロックです。なんといっても、順当にいけば福原(ANA)と石川(ミキハウスJSC)の、愛ちゃん・佳純ちゃんの人気者対決が実現するのですから。
 福原はベスト16までは確実にいきそうです。一方、石川は6回戦で藤沼(日立化成)との対戦が予想されます。藤沼は今年度の卓技研予想の一押しです。いま女子で、もっとも乗っているのが藤沼ではないでしょうか。
藤沼も卓技研がひそかにそのセンスの素晴らしさを買っていた一人です。坂本同様に、メンタルの飛躍があれば、そのセンスは大きく開花するでしょう。
おそらく、藤沼と石川のサウスポー対決は、今年度の女子筆頭の大激戦が繰り広げられるでしょう。石川が勝って福原との「ドリームマッチ」も見たいところですが、藤沼が4−3で破るのではないでしょうか。この一戦は絶対注目です。
「その4」のブロックには、田勢(十六銀号)、金沢(日本生命)、石垣(淑徳大)、樋浦(タイコウハウス)、さらに実力ナンバーワンの王輝(日立化成)がいます。ここは6回戦の田勢対王の一戦に勝った者が残り、ベスト4となるでしょう。
優勝争いをみると、平野、小西、藤沼、福原、田勢、王が有力です。ずばり優勝予想ですが、それは「その3」ブロックに勝ち残った者とみます。それは藤沼、福原、石川などが候補ですが、藤沼を挙げます。

 さてさて、新年恒例の卓技研、全日本大予想は男子が吉田、女子が藤沼となりましたが、果たしてその結末やいかに。そして、あなたの予想はいかがでしょうか。
 やはり全日本はナマで観なくちゃ。日本の卓球で一番権威のある大会だし、華のある試合です。日程では、おすすめは17日(土曜日)。実力どころが、ばんばん登場してきます。卓球の初詣は東京体育館です。


                     秋場龍一

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