練習ではけっこう強いのに
試合になるとぜんぜんダメ…

Q 「左利きを生かしたプレーをする」で質問させてもらったP.Pです。その時はご指導ありがとうございました。今回は、「試合に勝つためには」ということで質問したいことがあります。

 

このメールを作成した日、つまり今日大会があり個人戦に出場しました。ですが結果は1回戦にストレートで負けました…。敗因は自分のメンタル面の弱さが主な原因だと思っています。

 

校内で練習しているときは自分の思うとおりに試合を進めることができ、昨日まで、校内試合で負けることは全く無くて、自分でも納得のいく仕上がりでした。しかし今日は違いました。ドライブをしようと思うと腕に力が入らなくなったり、クロスにしかボールが入らなかったりなどのひどい状態でした。

 

校内では上位を保って団体戦などにも出場させてもらっているのに、大会でこの調子では他の部員や先生に申し訳なくてしょうがないです。それにもう引退まで1年もないのでどうしても強くなりたいです。

どうかこの僕にアドバイスをお願いします。

 

 

A 校内では強いのに、大会の試合では一回戦で負けてしまった。とありますが、まずはあなたの学校の実力レベルはどうなのでしょう。つぎに、その一回戦の対戦相手の実力はどれほどだったのでしょう。その技術的な点を、客観的に分析してみてください。

 

なぜかといえば、大会の一回戦や二回戦では、どんなに強い選手であっても緊張したり、あるいはなかなか本来の調子が出ないものです。中学生以下の選手で、メンタルの強い者などいません。すくなくとも、私は見たことがありません。

いや、中学生にかぎらず、どんなに強い選手、たとえ世界チャンピオンであっても、メンタル面で「俺は強い」なんて本心から思ってる人なんていないはずです。

 

どんなに外からは強いメンタルに見えても、その芯の部分は「弱い自分」がいるはずです。これは、人間の本質といってしまってもいいでしょう。まず、この「弱い自分」をしっかりと見据えることが大切です。どんなにメンタルで強そうに見えるプレーヤーであっても、元々は「弱い自分」を持っているのです。そして、その「弱い自分」を前提として、試合にはどういうメンタルで臨めばいいのかを考え、訓練を積むのです。

 

多少の差はあっても、どんな強い選手でも、大会ではものすごく緊張しています。一見、平気そうな顔つきで試合をしているようでも、内心ではビビッているものです。

 

ビビりながらも、その強い選手は勝ちあがっていきます。それはその強い選手の技術的な力量が高くて、少々緊張したり、調子が出なくても、その大きな技術力の差で勝ってしまうからです。

 

強い選手というのは、基本的な技術が身に付いていて、試合ではふだんの練習の実力の半分程度しか力を出せなくても、一回戦や二回戦であたる、ふつうのレベルの選手には勝ってしまうのです。

 

ですから、試合で勝とうと思えば、まずは基本的な技術をしっかりと獲得し、攻撃マンなら確実に3球目・4球目攻撃をできる力を身に付けるようにしたいものです。

 

さて、あなたはそこそこ力量があって、しかし大会になるとメンタルの弱さが原因で負けてしまうという場合です。

 

たぶん間違いないと思いますが、大会であなたは「勝とう、勝とう」としすぎていませんか?あまりにも、この気持ちが強すぎると、卓球のプレーではなく、ただただ勝ち負けだけにこだわるようになってしまい、ふだんの練習試合では考えられないようなミスを連発してしまうものです。

 

なぜなら、勝とうとあせるあまり、身体ではなく頭でプレーしてしまうからです。ふだんの練習では無意識でなにも考えずにいるからできていることが、勝とうとする意識が強く入りすぎると、その無意識にできていることにブレーキがかかってしまうのです。

 

では、どうすれば大会で強くなれるのか? それはこのサイトで何回も書いていることですが、本当の集中力を養うことです。

 

ふだんの練習では、ボールを頭を動かすのではなく、眼球の動きでとらえ、スイングの始動ポイントを腰におき、打球するときは腕を伸ばしてではなく、まず足から先に動いて、ということを意識してやってください。このたった二点ですが、これをふだんの練習で確実にできれば、絶対にものすごく強くなります。1000パーセント保証します。この練習法は世界チャンピオンのレベルに通用する普遍的なものです。しかも、誰にでもできる練習法です。

 

そして、いざ試合では、「勝ちたい」ではなく、自分のプレーをすることを考えるようにします。それを前提として、つまり自分のプレーをするんだという「強い気持ち」で試合に臨むように自己確認するのです。

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