やたらビビる、過剰に緊張する……
こんな「イップス」のあなたへのメッソド


Q 大変丁寧なお返事ありがとうございました。あれから眼球で球を追うことにトライするように心がけています。特に、相手がサーブを出すとき、眼球で、ゆっくりボールに焦点を合わせていくと、それまで雑然としていた視野が、ぼけてきて球だけが浮き上がるような感じになって、今までより集中できて、ちょっと気持ちがよかったです。
あとは、丹田に意識を集中させるというのが具体的にどうすればいいのかわからなくて、勝手に頭の重石を食道からお腹に下ろしていくイメージでなんとなくやっています。迷いながらの自己流なので、落ち着けているかは自分では全くわかりません。
でも、イップスに対する恐怖は以前に比べたら、比較にならないほど小さくなりました。これもすべて秋場さんのおかげです。感謝しております。卓球を再度やめなくてよかったです。本当にありがとうございました。
御礼まで。
再卓

A 当方では、イップスとは「自我」の作用だと考えております。有り体にいえば、結果を求める指向性にあります。

結果を求めるとは、勝ちたいという気持ちはもちろんですが、失敗したらどうしようという気持ちも含むものです。その気持ちは、主に手で操作するはたらきが強まり、そのために、逆に手元が狂って、ミスを招くことになります。そういう気持ちは、表面に感じなくても、潜在意識としてはたらいてしまうのです。

イップスになりやすい人は、ある意味においては非常にモチベーションの高い人ということがいえると思います。イップスになるほど、結果、つまり勝利や満足のいく目標を達成したい気持ちが強いからです。

克服法を端的にいえば、「集中」することです。集中することがイップス克服につながります。こんなことを言うと、おそらく、いや私は集中していますと反論されるかもしれませんが、あなたが考えている集中とは認識が違うのだと思います。集中とは極論すれば何も考えずに、ただボールを打球することです。しかし、人間はなにも考えないことほど困難なことはないのです。

ちょっと、実験してみましょう。目をつむってください。意識は呼吸だけに向けてください。はい、いまからそういう状態で3分間でいいですから、何も考えないで呼吸だけに意識を向けてください。

さて、どうでしょう。たぶん、何も考えないようにしようとしても、つぎつぎと何かしら考えているのではないでしょうか。この、何かの考えが浮かんでくることが自我の作用とお考えください。

以上のように、何も考えないで集中することがいかに難しいことかご理解いただけたでしょう。集中のメソッドについてはこれまでの本サイトの「集中論」にありますから、参考にしてください。

あなたご自身でいろいろとイップス克服のメソッドを試しておられるのは大変いいことだと思います。これからもどんどん創意工夫されるといいでしょう。

効果の高いメソッドとしては、ボールを眼球を動かして見ることです。頭を動かしてボールをとらえるのではなく、できるだけ目玉の動きでとらえるように するのです。もちろん、何も考えないことです。

卓技研・秋場

Copyright Editorial Table Tennis Technique Institute.
All rights Reserved.卓球技術研究所