Q こんにちは。卓球パーフェクトマスターは卓球を始めた父に買ってもらい、
初心者だった僕には上達の近道となりました。
僕は今、自分がどんなプレーをしたいか全く分らなくなっています。今は、中
途半端に中国式ペンに、フォアに表ソフト、バックに粘着性裏ソフトラバーを貼っています。卓球王国2007年1月から8月に連載された「ペンホルダーは死なず」を読み返していると、表ソフト速攻がいいようにもおもえてくるし、裏ソフトラバーでのオールフォア&フォアドライブの方がいいようにも思えてくるし、今、世界のほとんどのペンホルダーが使う、両面ドライブもいいような気もします。ペンホルダーというのは変える気はありません。そしてこの3つの戦型はすべて試してみました。
ドライブは背筋力をつかうけど、日本人はその背筋力がせいぜい130キログラムで、柳承敏や中国選手とは違う体つきなので、ドライブに頼りすぎてはいけないと書いてありました。けど、昔の歴代日本チャンピオンはペンドラが多くて、日本人の得意分野のような気もします。そのような人は背筋力があったのでしょうか?
それを踏まえて僕はどうやって自分の戦型を発見して、これからどうすればよいでしょうか?(ペンネーム Mr,ペンホルダー)     




A 戦型に悩んでおられるようですが、これは大いに悩んでください、とあえていってみます。なぜなら、これはとっても大切な課題ですから。おそらくあなたの卓球センスはかなりいいはずです。なぜなら、自分なりに考え、学び、どういうプレースタイルを指向するのか考えているからです。考え、悩むことが上達の基本中の基本ですから。

さて、ではあなたはどういうスタイルを目指すべきなのか。それを考えてみましょう。まず、ペンホルダーは決まりですね。
次に、裏面をつかうかどうかという大きな問題があります。もし裏面をつかわないのであれば、書いておられるように、オールフォア的なスタイルにするか……。

その答えは、まずどんなスタイルが「好き」なのか? これが重要です。嫌いなスタイルでは、うまくいきっこありません。
たとえば、オールフォアで動いて、豪快にパワードライブで決めるのが好きなのか、あるいは前陣で、フォアとバックの両ハンドをつかって、びしばし強打を炸裂するが気持ちいいのか。なにが好きなのか。このことをじっくり自分にたずねてください。

または、トッププレーヤーに自分の好きな選手がいますか。もしいるなら、その選手を徹底的に真似てみるのもいいでしょう。
人が技術を身につけるとき、大なり小なり、絶対に他の人がやっていることを見て、それを真似ることから身に着けていくのです。

「守離破」とは、日本の伝統的な武道や芸道の奥義と呼ばれているものですが、この「守」とは、まずは師匠の教えを徹底的に学ぶことですが、これは先駆者を真似ることと換言してもいいでしょう。そして、やがて「守」から「離れ」て「破り」自分ならでは境地に達するのです。

それから、得意、不得意ということもあります。強打はうまいけどドライブの威力がないとか。両ハンドは振れないけど、オールフォアなら誰にも負けないとか。
たとえば、野球でいうと、ホームランバッターとは先天的にボールを遠くに飛ばすことができる人だといわれています。いくら練習しても、努力しても、なかなかホームランのような長打が打てないもので、それは生まれついてのセンスにかなり影響されるというのです。
おそらく、イチローが松井秀喜のようなホームランバッターを目指していても大成はしなかったでしょう。
なにが、言いたいかおわかりですね。自分で何が得意か不得意か、それを見極めるのは、ものすごく重要なことなのです。

あるいは、裏面に裏ソフトを貼って、表面は表ソフトにして、ラケットはリバーシブルにして、ドライブもつかうし、表特有の角度打ち強打もつかう、また、裏面ドライブもするし、オールフォアでも回れる……。とりあえず全部やってみてはどうでしょうか。そうやっているうちに、自分にぴったりあうスタイルができてくるでしょうから。

それから、「日本人はその背筋力がせいぜい130キログラムで、柳承敏や中国選手とは違う体つきなので、ドライブに頼りすぎてはいけないと書いてありました」とありますが、誰がそんなことをいったか知りませんが、そんなことは信じるにたりえません。
「柳承敏や中国選手とは違う体つき」なんて、あきらかに変でしょう。鍛えれば、韓国人だろうが中国人だろうが、そして日本人だろうが、筋力はつきます。たしかに、柳承敏や王励勤のドライブにかぎらず、その繰り出す打球のパワーはすごいもので、いまの日本のトッププレーヤーにはみあたりません。
これは日本人だからだめなのではなく、日本のプレーヤーが彼らのように鍛えてないからパワーがでないのです。
たしかに背筋力はパワーの源泉になりますが、背筋だけではなく、腹筋や太腿の筋肉なども重要なパートです。

また、パワーを生み出すのは、筋力だけではありません。たとえば、世界のプロ野球でホームラン数が一番の王貞治は、すごい筋力があったのかというと、そんなことはなかったのです。むしろ普通のプロ野球選手よりも劣っていたといわれています。

やはり、まず技術力がパワーを生み出すのです。それにプラスアルファするのが筋力です。また、背筋力だけを鍛えるなど、ある特定の筋力を増強すると、他の筋肉に負担がかかり、故障の原因になることもあります。

それから、日本人は背筋力がないからドライブに頼りすぎてはいけないなんて、余計なお世話でしょう。もしあなたが、ドライブが好きだったり、得意だとしたら、ためらわずにドライブを主戦にしたらいいでしょう。

大いに悩んでください。そうやって悩んでいるうちに、きっと自分なりのプレースタイルができてきます。


卓技研・秋場龍一

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