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Q&A 1月19日更新
サービスから3球目への動き出しを早くするには……

07年ありがとうございました。
08年よろしくお願い申し上げます。

この卓技研ウエブは、08年の年明けと同時に10万ヒットをカウントしました。
 また、卓球技術解説書『卓球パーフェクトマスター』(DVD付き)は、昨年末で10刷5万冊を発行いたしました。
 ウエブも解説書も一昨年の06年4月に新設、発刊し、スタートから1年8か月で大台にのることができました。これもみなさまのあたたかいご支援のたまものです。08年の年頭にあたって厚く御礼申し上げます。
 卓技研は06年でhop、07年でstep、そして08年でjumpします。本年もどうぞよろしくお願いいたします。













07度全日本選手権、開催迫る(1月15日〜20日、東京体育館)これを読んで、全日本に全国から観に行こう!
優勝するのは誰だ!? 卓技研のズバリ予想

女子は福原の初優勝か
男子は◎水谷、○韓陽、×吉田、△岸川、▲高木和卓

いよいよ、07年度全日本卓球選手権が近づいてきた。国内の大会では、もちろんいちばんビッグで、もっともエキサイトするのが、この「全日本」だ。
 昨年も当ウェブでは全日本を予想、女子は平野を大本命としてみごとに的中させ、男子の本命は挙げなかったが、若手優勝候補の一人として推した水谷が初優勝した。
 さて、今年度だが、結論から先に言ってしまおう。女子は福原の初優勝、そして男子は水谷の連覇だ。さて、ほんとうにこの予想が的中するのか、その答えがでる20日まで、もうすこしだ。
 この予想には自信満々だが、予想つまり未来に起こることは、量子論的つまり現代物理学の見地から、100%当たることは不可能ということになっている。それはあくまで、確率でしか予想することはできない。未来に起きることは、誰も予知できないというのが先端科学の見解なのだ。だから、試合というものはおもしろいわけで、試合はやってみなければ誰もわからないのである。

【女子シングルス】
 昨年のこのコーナーでは、福原は準々決勝のひとつ前の6回戦での対決が予想された藤井との対戦がヤマであり、苦戦するだろうと予想した。そして、これが的中してしまって、福原はベスト16で涙を呑んだ。あの一戦を東京体育館の現場で観たが、技術・精神面とも「弱い愛ちゃん」が如実に露呈したものだった。しかし、藤井との一戦はけっして、「一時の不調」とか、「やりにくい相手」といった流動的なものではない。あの戦いぶりこそが、福原の「実力」であると、当ウェブでは、ある面、辛辣に、とくにそのメンタルの脆弱性を指摘した。
 昨年の大会後、すぐに福原は元全日本チャンピオンの佐藤利香を個人コーチに招き、フォーム改造に着手した。この一事をみても、あの藤井戦の敗北によって、これまでのままではいけないという思いが、福原本人や家族に痛烈によぎったからであろう。
 そうしてここ1年。福原はみごとに成長をとげたと確信している。世界ランク10に入り、北京五輪出場資格を手中に収めたが、この成績はホンモノの実力を示すものだ。これまでも、世界ランク10数位にあったが、日本選手との対戦、とくに全日本では弱く、「世界に強く、日本で弱い」愛ちゃんだった。これは、やはりホンモノの実力になっていない証左だったのである。だが、こんどの全日本では、「世界でも、日本でも強い」愛ちゃんを観られるにちがいない。そう、私は期待している。
 昨年度の大会を観て、福原の技術的な問題点を指摘すると書いて、そのままになっている。そう書いたあと、すぐに、愛ちゃんのお父さんの「一から出直す」発言と、「フォーム改造」報道があり、お父さんにも「愛ちゃんの技術的問題点は見抜かれている」と考え、それをこのサイトであえて指摘するのはどういうものか、と差し控えていたのである。よって、今年度の全日本での戦いぶりを観てから、どうしたものか考えてみたい。
 ただし、2点だけにとどめておくが、福原の次の技術的なポイントを挙げておこう。福原のゲームを観る人は、ぜひ次のポイントにご注目されたい。
 それは、フォアハンドによるスピン系(バックスピン、ナックル)ボールにたいする処理である。レシーブやツッツキのボールにたいして、フォアハンドでどのように攻撃することができるかという点である。具体的には、フォアハンド・フリックやドライブの技術がどこまでレベルアップされたかである。
 ここが福原の最大のウイークポイントであるといってもいいだろう。福原と対戦する日本の女子プレーヤーは、このことをよく知っているはずだ。まず、フォアハンド・フリックは、すくなくとも去年の全日本まで、あまり自信がなかったはずだ。福原がフリックをつかって攻撃しているのをほとんど見たことはないし、ダブルスのレシーブでは、フォアハンドではなく、バックハンドでフリックしていた。もちろん、ダブルスのレシーブで、バックハンドフリックをつかってはいけないということはないが、せっかくフォアハンド・フリックがひじょうにつかいやすいダブルスでのレシーブで、ほぼまったくフォアハンド・フリックをつかわない手もないだろう。これは明らかに、バックハンド・フリックが得意というよりも、フォアハンド・フリックが苦手であるという自己暴露なのだ。
 もう1点、注目したい福原の技術がドライブである。去年まで、ドライブはループドライブしか打てなかった。あの程度のドライブの威力なら、福原のフォアサイドに深く切れ込んだバックスピンを送って、そのドライブをカウンター強打で狙い打ちできるだろう。ダブルスで福原がレシーブのとき、エンドラインぎりぎりによく切れたバックスピンのサービスを出して、それを狙い打つという作戦もおもしろいだろう。昨年までの福原なら、それほど威力のないループドライブでしかリターンできないだろうから、それを狙い打ちすればいいのだ。ダブルスで長いサービスを出すのは勇気がいるが、一度福原の組と対戦するペアはためしてみてはどうだろう。さて、ことしの福原はどうか?
  ちなみに、この福原のウイークポイントは、福原だけにかぎったことではない。とくに女子の選手は、相手フォアサイドに深くて、よく切れたバックスピンのボールをリターンするのは苦手なはずだ。だから、このポイントをどう克服し、またこのポイントをいかに攻めるのが、とくに女子のゲームメイクの重要なファクターとなる。
 さて、女子32シードの組み合わせをみれば、福原はランキング決定戦で西飯、次におそらく樋浦、そして準々決勝で昨年敗れた藤井と対戦することになるだろう。西飯、樋浦(今年度もこの6回戦の樋浦との一戦が大きなヤマとなるだろう。樋浦はかなりの実力者だ)も侮る相手ではないが、ここで負けるわけにはいかず、どうしても藤井と対戦して、昨年のリベンジを果たさなくてはならない。
 さらにここで勝ち抜いて、準決勝で石川佳純との対戦ともなれば、ファン待望のドリームマッチ実現となるわけで、メディアも大注目して今年度の全日本は大いに盛り上がるだろう。もちろん、私もいち卓球ファンとして、ぜひこの対戦を観たいものだと願っている。愛ちゃん、佳純ちゃんとも、ぜひここまでは駒を進めてもらいたいものだ。
 そして石川を先輩の意地で勝ち抜いた福原は、決勝戦でおそらく連覇と4度目の優勝がかかった平野との対戦となる。この対戦が実現すれば、かなり白熱した好ゲームになることはまちがいない。結果は、強打・ハイピッチの福原の攻撃が平野を打ち抜いて、初優勝となるだろう。
 以上、ざっと、福原を中心として、女子シングルスの対戦予想をしてみた。では、本命・福原の対抗となる選手をみよう。
 今年度の全日本優勝予想を福原と二分するのが、もちろん平野である。福原が優勝しないとすれば、その対抗の筆頭はやはり平野となるだろう。この両者以外の「穴」としては、田勢を筆頭に、金沢、小西とつづく。


【男子シングルス】
 昨年の全日本が終了して、観戦記をここで書いたのだが、そのときの男子シングルスの見だしと、書き出しをコピーしてみた。

 【男子】10年ぶりの「日本出身の攻撃型」の優勝
 水谷隼の優勝によって、96年度の岩崎清信以来、97年度から昨年度の05年度まで、じつに9年間にわたって「日本出身の攻撃型」の優勝者が輩出されなかったが、この「ひとつの時代」にようやく幕が降りた。この9年間は「中国出身選手かカットマン」が優勝しつづけた時代だったのである。

 
 そう、昨年の水谷の優勝で、9年間つづいたひとつの時代が終幕し、新しい時代が幕を開けたのである。そして、ほんとうに新しい時代となるのか、その真価が問われるのが今年度の大会だ。また、吉田を筆頭に、韓陽、田崎、松下、遊澤、木方、大森などベテラン実力者と、水谷を筆頭に、岸川、高木和卓、大矢らの若手躍進組との激突が楽しみであり、もしかすると最終決戦となる可能性を秘めた大会でもある。
 見だしに挙げたように、本命・水谷、対抗・韓陽、穴・吉田、岸川、高木和卓が、卓技研の予想である。水谷はこの1年間、相変わらず外国の大物を食っており、現在のところ、その実力は男子No.1であることはまちがいない。
 水谷の試合で注目するポイントは、彼のサービス、レシーブの巧さ、それに逆モーション(フェイント)が入ったドライブである。水谷の試合を観戦するとき、どうかこのポイントに注目あれ。とくに、水谷が踏み込んで彼のバックサイドからのドライブは、逆モーションというかフェイントを入れて、フォアかバックかミドルか、どこに打たれるのか予測がつきにくい。これからの卓球において、欠かせないテクニックとなるので、ぜひ参考にしたほうがいいだろう。
 近いうちに、この逆モーションについて「技術論」で展開する予定だが、卓球にかぎらず、どんなスポーツにおいても、人間たるもの、逆をつかれると、じつに脆いものなのだ。逆モーションでドライブをするなんて、水谷ほどのプレーヤーだからできるのではと考えるのは早計すぎる。ある程度の技術力さえあれば、逆モーションを意識して、この技術をマスターしようと思えば、思いよりもはるかに簡単にマスターできるものなのだ。みんなやらないだけなのだ。事実、小学6年生の女の子に、ドライブで逆モーションを入れるように指導したら、一発でできるようになった。要は、やるかやらないかだけだ。
 さて、水谷を本命としたものの、「いやそんなに簡単には優勝できないだろう」という思いもよぎるのだ。昨年ラン決で田崎に敗れてランク入りもできなかった昨年の本命だった韓陽が、ことしは雪辱を期して臨んでくるだろう。あの懐の深い球さばきは、吉田、水谷を凌駕する力を十分に秘めている。
 また力量的には、水谷と韓陽にも、まったく劣らないのが吉田である。昨年の世界選手権の代表にもれ、その悔しさをバネに今大会に向かってくるはずだ。
 水谷、韓陽、吉田の3強を崩すのは、岸川、高木和卓だろう。卓技研では、昨年の11月にフランスオープンで中国の陳杞とゲームオールの大接戦の末に敗れた岸川に、もしやの期待を寄せている。あの日本一のバックハンド攻撃に、攻撃の速さが加われば、優勝も夢ではない。
 最後に5回戦からの注目対戦を挙げておこう。ラン決の5回戦では坂本対高木和の青森山田同門対決、上田(青森山田高)対岸川はどこまで上田が戦えるか楽しみだ。6回戦では大矢対韓陽、吉田対遊澤も興味をひく。準々決勝では水谷対高木和(あるいは坂本)とのこれも青森山田同門対決も決勝戦に匹敵する好ゲームとなるだろう。

 大会終了後に観戦記を掲載する予定です。さてさて、卓技研の予想はことしも的中するのか、はずれるのか……。
                       
秋場