Q&A331~340 of 卓球技術研究所t3i

卓球331~340

340.最近、食い込ませるドライブに疑問を持ってます……

こんにちは。
いつも楽しく拝見させて貰ってます。
卓球歴五年のたつやです。

最近、食い込ませるドライブに疑問を持ってます。

私は、今までその食い込ませると名の通り
ラケットに思いっきりぶつける事を
食い込ませるドライブだと思ってました。

友達などに聞くと、
当てつつ擦るなど言われ余計混乱してます。

食い込ませるドライブとは
実際どんなもの何ですか?
教えて下さいm(_ _)m


お答えします。

「食い込ませる」ドライブですが、
これはいわゆる「こする」ドライブとの対比で使われています。

こするドライブとは、
ループドライブのように
ラバーの表層部分にあてて、
回転をかけることを重視したものです。

いっぽう食い込ませるドライブは打球の際、
ラバーシート及びスポンジまで
ボールを食い込ませるようにする打法です。

こするループは「純回転重視打法」とでもいいますか、
スピードやパワーではなく、回転優位のドライブ打法です。

食い込ませるドライブは、
ボールがラバーの深部まであたっているので、
スピードとパワーが充填されることになります。

打法ですが、こするドライブはラケット面を垂直に立てて、
真上へのスイング軌道で、
食い込ませるドライブはラケットをかぶせて、
水平の(と言っても、打球毎にケースバイケースで軌道方向は変わる)
スイング軌道になります。

もっとも理想的な食い込ませるドライブは、
「ボールをインパクト時長く持ち、かつ高速スイングをする」
という表現になります。

ボールを「持つ」ということは、
それだけボールがラバーに食い込んで、
ラバーの弾性による反発のパワーを十分に充填することです。

それには打球のとき、
ボールがすぐに反発して飛ばせないようにすることが必要です。
ラケット及びラバーからボールが離れるまでの時間を長くする、
と言ってもいいかもしれません。
そのため、ラケット角度をかぶせ、
スイング軌道を水平方向にするのです。

しかし、この角度と方向で打球すれば、
ボールは下に落っこちてしまいます。

そこで必要となるのが、速いスイングなのです。

高速スイングをすることでボールは持ち上がり、
その持ち上がったボールのパワーは
スピンが充填されていることを意味します。

ですから、「思い切りぶつける」だけでは、
スピードは出ますがスピンはかかりません。

そこで「当てつつ、こする」という表現になったのでは
と推察されます。

この「当てつつ、こする」を
卓技研では「ボールを持つ」というように表現しています。

339.試合で出足が悪くてライバルに勝てません……

こんにちは。
中学2年、シェーク裏裏で
中陣ドライブを主にしているミッキーといいます。

部活を始めて2年たち、
今は部内でやっとNo.2にまでのぼれました。

しかし、目標にしている子(有名な卓球道場に通っています)に
後一歩で勝つことができません。

自分はあまり出足が良くなく、
どうしてもその子に第1セットをとられてしまい、
その後何セットか取っても勢いで押され
最終的にとられてしまいます。

自分でも積極的にフリックやドライブで仕掛けて
ラリー戦にもちこもうとするのですが、
1セット目とられていることからなのか
耐えられずにミスしてしまうことも多いです。

元々プレッシャーには強い方だと思っているのですが、
最近では団体で4番に起用されることが多く、
どうしても勝たないといけない、
という場面で勝てるようなメンタル面で強くなりたいです。

どうしたら出足がよくなるのか、
セットを取れるようになるか、
教えて頂けると嬉しいです。
よろしくお願い致します。


お答えします。

どうすれば、試合の「出足」をよくできるか? 
うん、この問題はあなただけの問題ではなく、
ほぼすべてのプレーヤーに当てはまる普遍的な問題です。

また卓球だけにかぎらず、
すべてのスポーツにも共通することです。

卑近な例では、
野球の先発投手の多くが初回の調子が悪いものです。

ではなぜ、出足は調子がでないのでしょうか? 
ちょっと分析してみましょう。

①試合に慣れるのに時間がかかる

②緊張している

③勝とうと意識している

④気負い過ぎている

⑤試合への心の準備ができていない

⑥試合への体の準備ができていない

以上のことが考えられますが、
まだまだ出足が悪い原因となるものがあるかもしれません。
もし、あればそれを書き加えてください。

そして、この一つひとつを確認してください。

戦い、競争、ゲーム理論、勝負事の戦術論のひとつに、
「先手必勝」があります。
先手をとったほうが有利であるわけです。

勝負の出足、スタート時というのは、
実力が発揮しづらいときで、
そこをねらって先手をとって
一気に戦況を有利に持ち込こうということですね。

ではなぜ、出足は「実力が発揮しづらい」のでしょうか。

それはおそらく上記の①から⑥に原因があります。

「試合」というのは、それがたとえ練習試合であっても、
一種特別なことなのです。

勝ち負けがはっきりと出るわけで、
自我にとって最大の関心事でもあるのです。

だから、とうぜんそんな試合に臨むにあたって、
普通ではない身心の状態で試合に入っていくのです。

だから、その開始時(出足)は、
そんな「特別なこと」に、
うまく適合できないわけです。

普通から特別に移行するのですから、
慣れるのに時間がかかるのです。

また、あなたに考えてもらいたいのは、
出足の調子が悪いのは、
あなただけではないということです。

だから、自分だけが出足が悪いタイプと
決めつけないことです。

以上の①から⑥のなかでもっとも大切なのは⑤と⑥です。

試合の前から、しっかりと身心の準備をすることです。

それとほんとうの実力があれば、
たとえ第1セット、第2セットをとられたとしても、
かならず挽回して勝てるものです。

なにも第1セットをとられてだけで、
そのゲームを負けると決まってはいません。

自分がライバルに負けることを「出足」のせいにするのではなく、
練習を積んで「実力を高める」ことで勝つようにしてください。

少々、出足が悪くても、
実力があれば十分に勝つことができます。

さらに、つぎのように「開き直る」ことも覚えておいてください。

自分は出足が悪いので、第1セットは相手にやる。
そのかわりつぎのセットからは自分がものにする、と。


338.ラージボールでのストップ打法、ドライブ、バックハンドハーフボレーについて……

お世話になります。
いつもQ.A参考にさせていただいております。
ハンドルネームはラージボールの松です。

現在、日本ペン表ソフト使用、
左利きでラージボールにて卓球をしております。

基本について迷ったときは
『パーフエクトマスター』を再度読んで
練習をしております。

ラージボールでダブルスの試合をするとき
ボールの特性上打球後減速するため
相手のレシーブの方が後方に下がって
スマッシュしても返球されてしまいます。

そのため相手の球をレシーブするとき
台上で止まるか小さく返球する事が出来れば
試合を有利に進められるのではないかと
悩んでおります。

その辺の応用がパーフェクトマスターに載っていないので
教えていただきたいと思います。

あと回転で対応するため
ループドライブをしてみるのですが台から出てしまいます。
ラージボールでは難しいのでしょうか。

下回転サーブも水平に振っているのですが
レシーブの方が回転がかかっていないで
ナックルになっているとのことですが
回転のかけ方のコツ等も教えていただければと思います。

Q.A332で日本ペンのバックハンドのハーフボレーのやり方ですが
通常のペンはパーフェクトマスターP69
バックハンドパワースイングの通り肘を体につけて
肘から先で打つ方法でよいのでしょうか。

質問が多いですがよろしくご指導願います。


お答えします。

まず、一番目のご質問である、
台上で小さく止まるボールについてです。

これはいわゆるストップ技術を応用します。

①バウンド直後をねらう

②カット性のボールをリターンする場合は、飛んできたボールの底にラケットを入れる。

③ロングボールの場合は、通常のロング打法のラケットスイングよりも上から下へ振る。

以上が基本です。
このようにすれば、ボールは飛ばなくなり、
また相手コートでも弾みにくくなります。

つぎにループドライブと下回転サービスについてですが、
ラージボールは回転がかかりづらく、
また表ソフトラバーも回転がかかりにくいので、
強い回転によって得点をねらうことよりも、
微妙な回転の変化やボールを曲げることを
考えられてはいかがでしょうか。

つぎに挙げるのは、ラージボールの特徴です。

①これはラージの基本ですが、
ボールが大きいために、
ボール半円状の頂点でバウンドしたときボールが沈みやすく、
ボールのつなぎ目でバウンドしたとき弾みやすいので、
打球するときは
ボールのバウンドをよく見て打つように心がけること。

②ラージはラリーがつづくように、
(ボールの大きさ、ラバーの限定、ネットの高さ等によって)
設計されている。
つまりスピードがでない、
スピンがかからない、
強打が打ちづらくなっていること。

③強打してもスピードがでない。
しかし強打を打ちやすいボールであること。
この2点をよく考えることです。

④打球するとき、
「ボールを持てる時間が長い」ので、
ボールコントロールがしやすい。

⑤ボールが重いこと
当サイト読者の方のメールで、ボールの重さの誤りに気づきました。
物理的な重量は40ミリボールが2.7グラム、
ラージボールが2.2~2.4グラムです。
ただ、ラージは飛ばないし、打球感も「重い」ので、
打球法としては「重い」球を打つ感覚でいいでしょう。

以上のことから、
ラージボール全般に有効である戦略・戦術を考えましたので
参考にしてください。

⑥「強打」が打ちやすいので、
あくまで「強打」で攻める。

⑦サイドを切るボールが打ちやすいので、
どんどんサイドを切るボールを打ち、
相手を大きく動かす。

⑧ドライブをかける場合、
回転量を求めるよりも、
ボール自体を曲げる(相手コートでバウンドしたとき曲がるように)。
表ソフトは回転はかかりづらいものの、
ボールを曲げることは簡単にできます。
ボールの斜め横を
巻き込むようにドライブ(カーブドライブの要領)すればよい。

⑨ドライブによるトップスピン攻撃よりも、
強打のときカット気味に打つ「ナックル強打」が有効。
インパクトのとき、
ラケットを下にぐっと切る感じで打つ。
卓技研式水平打法の応用である
水平ナックル強打を適用できる。
ラージボールは重いので、
このナックル強打を相手がリターンするのは難しく、
非常に有効な打法になる。

なお、日本ペンのバックハンド・ハーフボレーは、
バックハンドパワースイングよりも、
もっとスイングが小さくなります。
ヒジをスイングの軸として、小さく鋭く振ります。

ただ、ラージボールは飛びにくいので、
すこしインパクトのとき、少し強く押すようにしながら
振りきることが必要です。


337.前陣攻守異質型(シェーク)です。いま粒高から表ソフトに変えようか迷ってます……

こんばんは、中学2年卓球部キャプテンをしています。

回答よろしくお願いします。

私は、前陣攻守異質型(シェーク)なのですが
次にラバーを変えるときに
粒高から表ソフトに変えようか迷っています。

どちらが良いか双方の短所、長所を教えてください。

今はコルベルスピードに裏ソフトと粒高をはっています。

ハンドルネーム キャプテン


お答えいたします。

ごく単純に粒高は「回転」、
表ソフトは「スピード」が特性です。

実際にこの二つのラバーを使ってみるとすぐにわかることです。

ですから、どちらのラバーを選択するのかは、
そのラバーの特性と
自分のプレースタイルとを考えてみる必要があります。

また、フォア面とバック面を
どちらのラバーにするのかも大きな問題です。

おそらくフォア面裏ソフトでしょうが、
異質型の場合は、
できればフォア面とバック面を
臨機応変にチェンジできるようにしたほうがいいでしょう。

なぜなら、対戦相手のレベルが上がるにつれ、
異質型の特徴を逆手にとって対応されるからです。

たとえば、バック面が粒高だとすると、
スピードやドライブのような攻撃力がないので、
相手はこちらのバックサイドを突いてチャンスをつくり、
決定打をフォアサイドとバックサイドに
打たれるということがよくあります。

またバック面が粒高でも表ソフトでも、
バックハンドドライブをほぼ打てないわけで、
それを相手は見越して
バックサイドを突いてチャンスをつくろうとします。

以上のような点を考慮すると、
ときにはラケットを反転させ裏ソフトを用いて、
バックハンドドライブで応戦することも必要となってきます。

もちろん、異質型はそれなりに相手もやりにくいのですが、
異質ラバーを使うほうにも、それなりの難しさをともなうのです。

ここで、見落としてはならないのは、
異質型にすることによって、
「相手の目先を変えて勝つ」ことだけを主眼におかないことです。

フォア面とバック面の異質性に頼って
相手を翻弄しようという「目先戦略」は、
対戦相手のレベルがちょっと上がると通用しなくなります。

異質型を全面的に否定しているわけではありません。

目先を変えることも必要です。

しかし、それだけで上級に進むのは難しいといっているのです。

現代卓球は、スピードとパワーは必要条件で、
それにプラス「回転の変化」や「タイミングの変化」です。

どうか、ここをしっかりとみつめて、
ラバーの選択を考えください。


336.ラバーを変えたらドライブが棒球やオーバーするようになったのですが……

こんにちは、KTと申します。

質問させていただきます。

僕は今までテナジー05を使い、
食い込ませるドライブを打っていましたが、
ラバーをラクザ7に変えると、
今までと同じ打ち方では
棒球またはオーバーするようになってしまいました。

僕はラバーの固さが原因で
食い込ませることができなくなったことだと思っていますが、
どう思いますか?

また、擦るドライブ(ループドライイブ)を打つ際に
意識するべきことやコツなどを教えてください。
お願いします


お答えいたします。

ご質問の趣意に正しく答えていないと思われるかもしれませんが、
解答者としては誠実に対応しているつもりです。

この「答え」は
〝なぜ、あなたがラバーを変えようとしたのか〟
ということです。

それを考えることが、
もっとも正確な答えになります。

もし、それでも自分で「答え」がでないようなら、
ラバーを変えようと思い立った理由を書いて
またメールしてください。

それを手がかりに、
あなたにとって、
よりふさわしい「答え」を探してみたいと思います。
卓技研・秋場龍一


335.相手の動きを早く見るにはどうすればいいのでしょう……

こんにちは。ハンドルネーム  ペンドラーです。

前回は、ラバーを変えた所、打球のスピード、威力が上がったものの、
コントロールしきれずに、元のラバーに戻すべきか
悩んでいたのを相談させて頂きました。 

アドバイス通りに
変えたラバーを使いこなせる様に取り組んでみました。

結果、思ったより案外簡単にシックリ馴染んできました。

以前よりも低く鋭い打球が打てる様になりました。

具体的には、打球の頂点をより強く意識して狙う事で
以前使っていた柔らかめのラバーで
ややループぎみで安全に打っていくよりも安定して、
しかも攻撃的なドライブが打てる様になってきました。

まだまだバラツキがあり、課題は多いですが、
攻撃的な意識が以前より強くなってきているので、
良い傾向だと思っています。

そこで今回の相談なのですが、
今、攻撃力アップの為に3球目攻撃のバリエーションを増やす
為の練習に力を入れているのですが、その中で

フォア前に短く右上のサーブ
       ↓ 
クロス(フォア側)にフリックでレシーブ
        ↓
カウンタードライブ又はブロック

というシステムでの練習をしているのですが、
特にこの練習は一つのバリエーションというよりも、
秋場さんがよく言っておられる、 
「自分が打球する際に
早めに相手の事を見る事で次の始動を早くする」 
ための訓練の一つとして
敢えて相手に攻撃的な打球をさせて
それに対する反応を鍛えるのが狙いなのですが、
練習相手の中にとても強い人がいて、
全国大会にも出るような人なのですが、
その人に相手をしてもらうと、
サーブが予め分かっているからというのもあるでしょうが、
レシーブにかなり早い打球がくる為、
正確にカウンターを取るのが困難で、
やっと当てるのが精一杯なので、
その次の打球への準備が遅れてしまい、
4球目で決められてしまいます。

 この様な場合、やはり反応が追いつくように
一歩下がって少し時間を稼いで対処した方が良いのでしょうか?

自分としては一歩下がれば相手にも余裕を与えてしまうので、
カウンターの効果も薄れてしまうと思うので、
どうにか前で捌きたいと思っています。

どの様に待ち構えていれば良いのかアドバイスをください。

 また、相手により早く目をやる為の
効果的な練習は何かありませんか?

この事による効果は最近すごく感じています。

が、やはり試合を通して継続するのは相当の集中力を要します。

まだ未熟だからなのでしょうが、
意識せずとも体に覚えこませる良い訓練方法があれば
教えていただきたいです。


なるほど「相手を見る訓練」ために、
あえて相手にレシーブ攻撃をさせて、
それをカウンターするシステム練習に取り組んでいるわけですね。

相手の動きを見ることのポイントは、
自分が打球する(インパクト)まえに相手を見るということです。

それができると相手がどのコースにどんな打球をするのか、
ほぼ掌握することができて、
実戦ではかなり有利にはたらくことになります。

でも、打球するまえに相手を見れば、
自分に飛んでくるボールをみることがおろそかになって、
ちゃんと打てないのでは、といぶかるひともいるかもしれません。

いや、それはまったく逆なのです。

打球するまえに相手をみるためには、
自分に飛んでくるボールを、よりしっかり見ることが要求され、
飛んでくるボールを見る意識がたかまり、
実際にボールを見る能力もアップするのです。

また、そうでなければ、
打球するまえに相手の動きを見るなんてできません。

この「打球するまえに相手を見る」は、
実戦では主にサービスのときに用いるといいでしょう。

実践のラリーのなかでは、
双方のコース取りや前陣~後陣の位置取り、
打球スピード、主導権などの多くの要素があって、
あえて「打球するまえに相手を見る」ことを意識しなくても、
練習の積み重ねのなかで、
相手がどこに打ってくるのかおおよそ見当はつくものです。

(まあ、そうはいっても、打球するまえに相手を見ることができれば、
有利になることはいうまでもありませんが)

さて、ではどうすれば打球するまえに相手をみることができるのか。
具体的にそのポイントをあげてみましょう。

①ボールを明確に見ることを意識する

②ボールを見るとき、頭を動かして見るのではなく、
眼球を動かして見るようにする

③ただし、ボールを見ようと意識するあまり、
ぐっと凝視するのではなく、クールに観察するように見る

④首を前に伸ばして、ボールを眼に近づけるような姿勢ではなく、
すっと首を伸ばしてボールを自分に迎える姿勢をとる

⑤インパクトの瞬間まで、②から④までを前提のうえで①を実践する

⑥インパクトの瞬間までボールを見ないで、
ボールがラケットに当たる瞬間相手を見る

ちょっとややこしい記述になりましたが、
要するにボールをしっかり見るものの、
インパクトのときはみないことと、
ボールを見に行かないで、引いてみることです。

この「ボールを見に行かないで、引いてみる」とは、
野球のバッティングの解説で、
「ボールを追わないで見る」ということに通じます。

投手のボールを追うように見ると、
そのボールのスピードや変化に翻弄されてしまうからです。

そうではなく、ボールを迎えるように待って見ることで、
相手の球筋を読むことができ、
また自分のスイングができるようになるのです。

卓球の場合、ラリー中だと
これを自分と相手が動きながら実践することになります。

まあ、これが完璧にできれば、ものすごい優位性をもつことができます。

繰り返しますが、とくにこの「相手を見る」のはサービスのときです。

サービス練習をするとき、
インパクトの瞬間にレシーバーを見るようにすることを意識して、
それを習慣化してください。

これはトッププレーヤーでも意外に実践している人がすくないものです。

このサービスで相手を見る達人は張怡寧です。

また、3球目のカウンターをする位置取りですが、
あなたが述べておられるように、
下がってカウンターするというのではなく、
やはり可能な限り前陣で攻撃的に対応したいものです。

ただ、相手のレベルや相手のフリックなどの
レシーブ攻撃の可能性が高いサービスをだすときは、
あらかじめ前陣で攻撃的に対応できないことも
想定することも必要です。

ケースバイケースで、
たとえば3球目の対応を
「攻撃7対守勢3」の比率でまつというように想定するわけです。

そのうえで、前陣でさばく方法ですが、
カウンタードライブではなく、
ライジングか頂点を水平角度でブロックすることをおすすめします。

このときのポイントはラケットの位置を高くして待つ(かまえる)こと、
それとバックスイングをとらないことです。

こうすることで、
前陣で相手の速い打球に的確に対応することが可能となります。
卓技研・秋場龍一


334.高三最後の大会まであと1年半。勝てるための部活での練習法を教えてください……

初めましてになります。
レンといいます。

いきなりで申し訳ないのですが
自分は高校生という立場で卓球をしているのですが
あと三年生の最後の大会まで
一年と半年くらいしか残ってない状況です。

そこでいまは勝ちをとれるように日々練習を頑張っているのですが
部活での練習と終わった後に自主的に40分ほどしています。

部活での練習は基礎打ち、ショートドライブ、サーブレシーブ、
自身で苦手なところを課題にする練習、
あとはゲーム練習をそれぞれ30分くらいしています。

練習前は一キロを走り腹筋、背筋、腕立てを30回ずつ
毎回やっております。

正直 指導者が決めてない練習をしています(笑)。
これがいいのかわ自分にはよくわかりません。

そして自分での練習は
ゲームを一回して悪い所を練習したり
マシン打ちをしたりしています。

部活での練習や自身の練習で改善点があったら
ご指導よろしくお願いいたします。


お答えします。

1年半もあれば、かなり飛躍的に上達することができます。

そのためにはまず以下の点を確認してください。

①上達するという気持ちをしっかりともつ

②練習の質を高める

③練習量を増やす

まず、なにをするにしてもモチベーションというものが必要です。

もちろん、あなたが卓球が大好きだということは前提ですが、
それにプラス自分のやる気、目標を達成するために、
自分でよりいっそう熱意があがる「自己設定」をするのです。

自己設定とは、自分の卓球をもうひとりの自分がよく観察して、
その長所や短所、工夫点など、
プレースタイルからサーブ、レシーブ、ロング打法など
すべての技術パートまできめこまかく分析検討します。

そのうえで一つひとつの目標達成ラインを設けて、
それを一日の練習プランのなかで
それが実現できるようにします。

それを「上達行程表」としてノート化して、
日々チェックするのです。

こうすることで、
卓球(というかすべてのモノゴト)の上達に欠かせない
自己観察能力が養われると同時に、
日々のモチベーションが高まり、
しかも単なる精神的なやる気だけではなく、
技術面での具体的な上達度も自分で認識することができます。

あなたのプレースタイルが書かれていないので、
どういう具体的な練習法がいいのか
アドバイスができないのが残念ですが、
以下にすべてのプレースタイルに適用できる
「試合に勝ちやすい練習プラン」を提示しておきます。

①サービスを徹底的にレベルアップする。

▶ショート、ロング、ハーフツウバウンドの各コースへ
確実にコントロールできるようにする。

これはもっとも基本的なことのようだが、
トッププレーヤーでもなかなかできない。

ネット際へのショートサービス、
エンドライン半径5センチ以内へのロングサービス、
エンドラインでぎりぎりでツーバウンドするハーフツウバウンドを、
バックスピン、トップスピン、ナックル、サイドスピンなどにかかわらず
出せるようにする。

練習時間の30パーセント以上、サービス練習に費やす。
練習時間がなければ、
たとえば学校の昼休みにサービス練習するとか。

②自分の主戦武器を実戦を想定したうえで徹底的に磨きあげる。

▶たとえばドライブ主戦なら、
実戦で多い相手がツッツキしたボールへのドライブ練習を多くする。
そのツッツキは回転やコースもいくつかのパターンを想定すること。

③技術練習、練習試合で、徹底的に凡ミスをなくす。

▶試合では、レベルにもよるが、
その多くは「凡ミス」を多くしたほうが負けることが多い。

だから練習では、「絶対に俺は凡ミスをしないのだ」
という固い決意で意識を集中すること。

こう決意することで、
実際に自分のプレーの精度がかなりあがる。

③練習時間を多くして、とにかくたくさんボールを打つこと。

▶試合になると、その実力が同程度の場合、
最後は日ごろ多くのボールを打っている選手が勝つことが多い。

練習はウソをつかないというが、
ここ一本というところで、
日ごろの練習量でその球が入るか入らないかがきまる。

多球練習はしないのですか。

マシンも多球練習になりますが、
やはり人がノックするボールとマシンとではボールの質がちがうので、
できれば人間ノッカーによる多球練習を多くしたいものです。

この多球練習も練習時間の30パーセント以上費やしたいものです。

④できるだけ多くの人と練習する。

▶ふだんの練習相手は同じ学校の卓球部員ということになりますが、
できれば部活が休みのときは地域のクラブに参加して、
いろいろなタイプの人と練習試合をし、
またアドバイスを受けるといいでしょう。

かならずといっていいほど地域の卓球クラブがあって、
そこで社会人や学生などが熱心に練習しています。
ぜひ参加してください。

そこで、思わぬいいアドバイスをもらったりすることがあります。

また、卓球が大好きなおじさんは、教えるのも大好きなものです。

そんなおじさんにアドバイスを求めると、
もうよろこんで教えてくれます。
どんどんそんなおじさんを利用しましょう。
卓技研・秋場龍一


333.テンション系ラバーの良さを引き出せるような「気づき」があったのではと感じています……

「283.粘着ラバーを使いこなすには……」で質問しましたchakoです。

結局、12ヶ月使用し自分の求める
スピードドライブ攻撃にあった打球感を求めていったところ
「テンションラバーへの帰結」でした。

粘着ラバーは擦る打法が適しているといわれていますが、
安定した有効なドライブを打つには
「しっかり打つ」スイングスピードが必要で、
そのためにはコメントされているように
腰を使った「しなやかなスイング」が欠かせないことが分かりました。

つまり、テンション系で必要なスイングと同じであって、
回転も掛かりスピードが出るテンション系ラバーのほうが、
私には適しており且つスピードが出る分有利であると考えました。

台上処理やサーブ・レシーブも
特にテンション系で難しいとも感じていませんので、
今は一層テンション系ラバーの良さを
引き出せるような「気づき」があったのではと感じています。


その2
まず1(「粘着」を使うのなら、できるだけ早くから。できれば初心者から)
ですが、「粘着性ラバー」と「テンション系ラバー」では、
そのボールの飛び方がかなり違うので、
テンションに慣れたあとで粘着に転換というのは違和感をともない、
時間的な大きなロスを生じることが危惧されます。

なかにはあまり違和感を感じない人もいますが、
できれば、卓球をはじめた初期段階で
指導者が明確なプレースタイルや戦略観、
それに内的外的な先見性をふまえて
テンションか粘着かに決めるようにしたほうがいいでしょう。

つぎに2(「粘着」に適したスイング・フォームとフィジカルが必要)
ですが、中国のトッププレーヤーと
日本のトッププレーヤーのスイング・フォーム、
それにフィジカルの違いは明らかです。

中国は男女ともスタンスが広く、
インパクトでボールを
しっかりとラケット・ラバーに食い込ませる打ち方をしています。

また中国と日本の体格の差となると、
これはもう一目瞭然ですね。

中国は相当フィジカルを鍛錬しています。

中国は台上の巧さもありますが、
他国を圧倒するのは
そのボールの一打一打の威力と
フットワークのよさです。

パワーならヨーロッパ勢も中国にひけをとらないのですが、
中国はあまり打球点を落とさないところで打てる、
俊敏性をともなった可動範囲の広いフットワークをもっています。

中国の強さはここにあると卓技研ではにらんでいます。

3(現代中国卓球をモデルにするなら1と2が絶対必要条件となる)
ですが、これは4
(いまの日本卓球のスタイルの主流は「亜流中国卓球」
という感じで非常に中途半端)とも関連していますが、
もし中国卓球を本気でモデルにしようとするなら、
1と2を徹底化しなければならないでしょう。

いまの日本は中国卓球のうわべだけを真似ているだけです。

たとえばロング打法にしても、
多くの指導者が軽くトップスピンをかけるように言うのですが、
たしかに初心者には打ちやすい打法なのですが、
そのボールを受ける相手にとっても
ひじょうにリターンしやすいボールなのです。

そして、そのボールのままある程度上達してゆくのですが、
あるレベルになるとどうしても壁があって、
乗り越えることができなくなります。

なぜなら自分も打ちやすいかわりに相手も打ちやすいからです。

その典型が平野早矢香ではないでしょうか。

彼女は世界ランク上位のトッププレーヤーですが、
いまどうしても抜け出せない壁にぶちあたっています。

その要因はあきらかでしょう。もうはっきりとパワー不足です。

中国やヨーロッパの選手には打ちごろのボールなのです。

平野はまだまだ伸びる可能性を秘めています。

そして5(「テンション」をもっと有効に活用すれば、
中国卓球を超える「近未来卓球」になる可能性がある)なのですが、
トップスピン(ドライブ打法)の優位性を活かしつつ、
ノンスピンの強打法を織り交ぜる
ハイブリッド・タクティックスにはテンション系が打ってつけです。

平野こそ、ハイブリッド・タクティックスの
先端モデルになれる逸材でしょう。

その1
「気づき」があった、ということですが、
成長する、上達するということは、
「気づき」から、つまり「気づくこと」から始まります。

「気づき」は「知る」こととはちがいます。

「気づき」は、いままで知らなかったことを知るばかりではなく、
それは大げさにいえば、
「世界の真実」を自分のものにしたということなのです。
卓球でいえば、「卓球の真実」を自分のものにした、
ということになります。

気づきは、人間の営為のすべてに適用できることです。
ところが、よく気づく人もいれば、
ほとんど気づかない人もいます。

ではどうすれば「気づく」ことができるのか? 

それは「自分」と「もう一人の自分」との
対話から生まれてくるものかもしれません。

自分の性格、指向性、感情、第一印象、こだわり、趣向性
などによって、人は思考し、行動するものです。

しかし、それだけではなかなか十全に生きてゆくことはできません。

たとえば「こだわり」です。

自分はとことん、あることにこだわってやってゆくこと、
それはとても大切なことです。

でもその「こだわり」は単なる「思いこみ」かもしれません。

だけど、その「こだわり」が
「気づかない」原因になっていることがよくあります。

自分が卓球をするとき、
大なり小なり、そのプレーヤーにはこだわりがあります。

たとえば、「フォアハンドロングのフィニッシュはおでこの真ん中」
なんてことを、かたくなにまもっている人がいるかもしれません。
(いまそんなプレーヤーはいないだろう、
という人もいるかもしれませんが、これがいまだにいます。
しかもかなりけっこうな数で、しかもしかも指導者にも)

そして「おでこフィニッシュ」
にこだわりがある人は、もう永遠に水平打法を打てません。

せっかく同じ卓球をやりながら、
そのスピード打法の快感を一度も知らないのです。

そんなこだわりをすて、
別におでこで止めなくてもいいんだとふっと思ったとき、
「気づき」への扉が開きます。

そしてそれは、自分の卓球が上達する必要条件なのです。

さて、「粘着性ラバー」と「テンション系ラバー」ですが、
この件に関して、最近の卓技研の考えを述べておきます。

1.「粘着」を使うのなら、できるだけ早くから。できれば初心者から。

2.「粘着」に適したスイング・フォームとフィジカルが必要。

3.現代中国卓球をモデルにするなら1と2が絶対必要条件となる。

4.いまの日本卓球のスタイルの主流は「亜流中国卓球」という感じで
非常に中途半端。

5.「テンション」をもっと有効に活用すれば、
中国卓球を超える「近未来卓球」になる可能性がある。

1から5について解説します。(つづく)
卓技研・秋場龍一

332.日本式ペン表はバックサイドのロングサービスにどのように対応したらいいのでしょう……

こんにちは、半年ほど前に280番を質問させていただいた者です。

秋場さんから頂いたアドバイスをもとに練習し続けて、
ようやくまともなストロークになりました。

とくにグリップを強く握らないことを意識するようになってから、
コースの打ち分けやしなりを利かせたスイングが可能になりました。

なによりも打ってからの戻りが非常に楽になり、
強打を連続して打つこともできるようになりました。

今は、卓球王国でも取り上げられている
台上BDにも挑戦したりもしてます。

現在卓球歴1年半ほどですが、
今回の世界選手権やその後のプロツアーなどを見ていて、
あらためて中国の選手は圧倒的に強いなあと感じました。

すべての技術において隙がなく、
その中でも、台上技術の安定感が
他国の選手とは違うような気がしました。

しかし、スピード系ロングサービスに対するレシーブが、
もちろん虚を突いて出された時だけですが、
入れるだけのレシーブになっていたりもします。

トップ選手でさえも、うまく使えば非常に効果的なロングサーブが、
僕たちにも効かないはずがありません。

そこで、前置きが長くなりましたが、
日本式ペン表の人にとって、バック側に来るスピード系、
あるいはスピン系(とくに右横系)ロングサービスは、
どのようにしてレシーブするのが基本でしょうか。

また、バックショートでレシーブするとしたら、
どのようなことに気をつけなければならないでしょうか
(下回転が含まれている場合など)。

よろしくお願いいたします。

ピンズ


お答えします。

日本式ペン表とありますが、
裏面は使わないということですね。

「バック側に来るスピード系、
あるいはスピン系(とくに右横系)ロングサービスは、
どのようにしてレシーブするのが基本でしょうか」とありますが、
これはペン表にとってウィークポイントのひとつです。

つまりこういうスピード系のロングサービスにたいして、
ペン表(ペン裏もそうですが)は攻撃的な打法に欠けるのです。

ペン表のスタンダードな攻撃的手法といえば、
バックハンド・プッシュくらいしか
思い当たらない人が多いのではないでしょうか。

もちろん、プッシュもそれなりに攻撃的な打法ですし、
ボールの上部をこするようにすれば、
相手コートで弾むように伸び、
またラケットを上から下に抑え気味に
ボールの斜め左(右利きの場合)を打てばナックルになって、
それはそれで一定の有効な打法となります。

ですから、
このペンのバックハンド・ショートの派生打法であるプッシュは、
ぜひマスターされたほうがいいでしょう。

ただ、そうはいっても、
プッシュというのはやはり、その名のとおり「押す」わけで、
その打球じたいは
それほどパワーやスピードが出るわけではありません。

そこで、ぜひ推奨したいのが、
押すのではなく、振るスイングです。

この打法をぜひ、ペンのプレーヤーにマスターしてほしいのです。

要はシェークのバックハンド・ハーフボレーと同じで、
ヒジをスイングの軸にして、小さい半径で振る打法です。

え、ペンでハーフボレー? 
といぶかる人もいるかもしれません。

でも、それができるのです。

これまでシェークがやっていた
前陣でのバックハンド・ハーフボレーを、ペンで。

どうもわれわれは、前陣でのバックハンドにたいして、
ペンはショート、シェークはハーフボレー
だという固定観念にしばられていたのではないでしょうか。

このペンのハーフボレーのスイングの要領は、
基本的にシェークと同じで、バウンドした直前をねらって、
ヒジを支点として、本当に小さくていいですから振るのです。

これだけです。

最初はちょっと違和感がありますが、
数回の練習で慣れ、ちゃんと打てるようになります。

そして、この打法による効果はけっこう大きいものがあります。

小さい半径で振るスイングですから、
それほど打球スピードが出るわけではないのですが、
遠くに飛ぶというか、航続距離が長いというか、
とにかくシュートやプッシュの押すスイングとは違った打球になります。

その打球に相手がとまどうのがはっきりとわかります。

このバックハンド・ハーフボレーをマスターして、
従来のシュートやプッシュの両打法を使うと相手はかなりやりにくく、
実戦では有効なはたらきをするでしょう。

さらにこのバックハンド・ハーフボレーに
トップスピンをかけるようにすれば、
ペン表面のバックハンド・ドライブとなります。

ペンで裏面を使わないのであれば、
ぜひこのペン表面の
バックハンド・ハーフボレーをマスターしたいものです。
卓技研・秋場龍一


331.粒高は男子でも通用するでしょうか……

こんにちは。私はペン粒高(表+粒高)で、
ハンドルネームは「ヤス」です。

日本におけるペン粒高で有名な選手と言えば、
山下富美代選手が挙げられると思いますが、
山下選手は守備型で、
とにかく粘り勝つというスタイルだと思います。

しかしながら、海外の選手(特に中国選手)は、
とにかく攻撃的で積極的に得点を狙うスタイルであると思います。

特に気になった選手は、倪夏蓮選手(ルクセンブルク)ですが、
元中国代表選手で、ルクセンブルクに帰化後、
ヨーロッパチャンピオンになり、世界ランクも最高で4位と、
女子とはいえ、すごい選手だと思います。

ビデオで試合を観ましたが、
サーブ以外はほとんど粒高で処理
(フォア攻撃、レシーブ、バックショート、強打など)していて、
裏ソフトや表ソフト使用する攻撃選手を上回る強さでした。

そこで質問ですが、
倪夏蓮選手のようなプレイスタイルを目指していますが、
男子でも通用するのでしょうか?

また、中国のペン粒高選手はなぜ(表+粒高)が多いのでしょうか?
(陳晴選手、陳子荷選手など)よろしくお願いします。


お答えします。

粒高で男子でも通用するのか、というご質問です。

それはいろいろな条件によって、ということになるでしょうね。

まずどの実力レベルなのかが問題となります。

たとえば日本や世界のトップクラスとなれば、
粒高の技量のアップはもちろん、
その戦略・戦術も革新しなければならないでしょう。

粒高の特徴は以下に示すと概ねこんなところです。

1.独特のナックルボール

2.強力なバックスピン

3.相手のスピンボールにあまり影響を受けない

以上のことから、

4.ブロックに向いている

5.スピードが出ない

ご存知のように卓球という球技の特徴は
他の球技とくらべて「スピン」の要素が非常に高くなっています。

そのスピンにスピード、コースが加わって
卓球ゲームの3大構成要素となります。

卓球においてたしかにスピンの変化を見分けることや、
スピンの威力に対応することは重要な要素となります。

しかし、スピンの変化だけでは
その威力は大きな効果を発揮することはできません。

ためしに、どこに打つかコースを指定して、
遅いスピードで強力なスピンボール
(ドライブ、ナックル、バックスピン)を打つとしましょう。

そうすると、中級レベルのプレーヤーでも
何度かやるとすぐに慣れてきてリターンできるようになります。

なぜなら、ラケット角度とスイング軌道を
ちょっと調整すればいいのですから。

しかし、これにどこのコースに打つかわからないとなると、
まったく様相がちがってきます。

動きの中でラケット角度とスイング軌道の調整は、
ワンランクアップした難しさとなります。

そして、そこにさらにスピードが加わると、
なおいっそうラケット角度とスイング軌道の調整が難しくなります。

これはスリーランクほどいっきょに難しくなるのです。

おわかりでしょうか。

卓球は「スピン」「コース」「スピード」の3要素が
有機的に連関していることが。

さて、粒高ですが、「スピン」「コース」は得意とするものの
「スピード」は不得意ということになります。

このスピードのマイナスが、
これまで男子で粒高プレーヤーのトップが輩出されることが
きわめて少なかった絶対的要因です。

裏ソフトも粒高と同じく「スピン」「コース」は得意とし、
また「スピード」もだすことができます。

これはトップスピンにスピードが融合されることによって
生みだすことができるのです。

スピンがスピードも生んでいるということです。

裏ソフトは、「スピン」「コース」「スピード」の
3要素を兼ね備えているから
現代卓球の圧倒的メインラバーとしての地位を得ているのです。

さて、ではなぜ倪夏蓮選手は
粒高で世界トップクラスで活躍することができたのでしょうか。

それは従来の日本の粒高プレーヤーとはちがった
攻撃性にあります。

あなたも指摘されているように、
まさに「攻撃的で積極的に得点を狙うスタイル」だからこそ、
そのトップレベルで通用したのです。

倪夏蓮のように独特の粒高の角度打ちで強打されると、
いくら粒高がスピードがないといっても、
そうはなかなか対応できないものです。

ナックルは相手を前に引き寄せる遅いボールだけではなく、
スピード(初速ですが)があれば、
それは強力な武器となるのです。

卓技研では水平打法の発展打法として
「ナックル強打」を推奨していますが、
ナックル強打というのは、
相手にとってその対応が矛盾するというか、
二律背反的な対応を余儀なくさせるのでやっかいなのです。

通常、強打や攻撃にたいしては、
それをブロックするという意識がはたらきます。

つまり強打や攻撃を受けた場合、
とっさにオーバーミスを防ごうと、
無意識に身体が反応するものです。

ところがそれがナックルだと
通常のブロックのラケット角度とスイング軌道なら、
打球したボールは落ちてしまうからです。

このオーバーミスと打球下ボールが落ちるという特徴によって、
それをリターンする場合、
矛盾や二律背反的な対応をせまられるというわけです。

この対応は厄介ですよね。

そう、こうなれば、
対戦する相手は粒高の従来の「やりにくさ」に
さらに上回る「やりにくさ」を感じるでしょう。

倪夏蓮はその攻撃力のほかに、
粒高特有のブロック技術も傑出しており、
このハイレベルな攻守が、
彼女の強さの秘訣です。

また、そのボールの待ち方は、
もう攻撃型と何ら変わりありません。

攻撃できるのなら可能な限り攻撃しようという、「待ちの姿勢」です。

日本の粒高プレーヤーの多くは、
ひたすらボールを止めることと、
ナックルとバックスピンの変化、
それにコースを突くということに終始しているようです。

でも、この姿勢では、
相手のレベルが高くなれば、ゲーム中に慣れられてしまい、
しっかりと対応されることになります。

ペンではありませんが、シェークの粒高の使い手として、
女子の福岡春菜選手がいます。

そう、しゃがみこみの王子サーブと粒高ブロックで
世界選手権の団体でも起用されました。

福岡があれ以上のレベルを突破できなかったのはなぜでしょうか。

それはサーブとブロック技術に比して、
その攻撃力があまりにも稚拙だからです。

稚拙とは言いすぎかもしれませんが、
日本のトップ、世界のトップにというレベルにおいて、ということです。

サーブも慣れられやすいもので、
粒高ブロックや角度打ち(スピードのない)も慣れられやすいものです。

福岡と対戦する相手は、スピードを度外視してできることで、
ほぼサーブや粒高のスピン変化の対応だけに
専念することができます。

そうすると、レベルが高くなるにつれ、
すぐに学習され攻略されてしまうのです。

前述したように、スピード、スピン、コースの3要素によって
卓球は成り立っているのですが、
この3つの要素のなかでスピン、コースはほぼ同位ですが、
スピードは最上位にあります。

もちろん、いくらスピードがあってもスピンとコースを限定すれば、
そのスピードの威力は減衰します。

けれども、スピードがこの3要素のなかで、
もっとも対応がむずかしいものなのです。

さて、ながながと述べてきましたが、
粒高を用いて男子で通用するのか、
もうおわかりになったと思います。

有体に言うと、男子で粒高は、
倪夏蓮の攻撃力の3倍、ブロック力の2倍以上要求されます。

そうでないと、少なくとも日本男子のトップは無理です。

倪夏蓮の試合の動画をいくつか観ましたが、
いくら粒高で変化をつけようが、相手がボールを待った状態だと、
もう簡単にドライブや強打で抜かれていましたが、
男子だとこれに輪をかけたことになります。

まずスピードで相手を押すということを主体として、
それがあって前に寄せる、両サイドコーナーを突く
という粒高得意の戦略が活きてくるのです。

それと粒高だけではなく、
倪夏蓮もやっていたように粒高とはちがう
異質ラバーも有効に使うことが必要でしょう。

できればラリー中にも、ラケットをくるくる回す、
ロータリー戦法を駆使すべきです。

で、そういうことができれば
「男子でも粒高は通用する」という条件が
なんとか満たされるのではないでしょうか。

「また、中国のペン粒高選手は
なぜ(表+粒高)が多いのでしょうか?」
という質問ですが、これはよくわかりません。

まあ、中国は粒高ラバー開発の生みの親ですし、
いろいろなラバーの可能性を試すこと、
それと他国で粒高の強豪が現れた時の準備、
それに他国用秘密兵器育成といったところが考えられるでしょう。
卓技研・秋場龍一

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