Q&A321~330 of 卓球技術研究所t3i

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卓球321~330

330.このようなファンもいることをお知らせしたくてメールしました……

いつも拝見させていただいております。
A01と申します。
いろいろな質問に懇切丁寧に回答されていることに
とても好感を感じております。

また、卓球界を心から愛されているのだなあと思い、
いつも感謝の念をこめて拝見しています。

私は中高と学校の部活動で卓球をし、
中断期間をはさみ、10年ほど前から細々と再開している
40半ばの中年おじさんですが、
卓球への情熱は学生時代よりも今のほうが燃えています。

辺鄙な田舎ということもあり、
30年前は技術的な情報もほとんど無く、
先輩や他校の選手のプレイを見て、
見よう見まねでやっていたものでした。

私は、高校の途中からカットに転向したのですが、
あの時代は同色ラバーなので、
周りはアンチ全盛で粒高は少数派でした。

卓球雑誌の高島選手などの連続写真を、
動きをイメージしながら
何度も何度も観ていたことを思い出します。

今は、幸いなことにいろいろな大会等もテレビ放映がありますし、
DVDやインターネットの映像などもありますから、
技術向上の素材には事欠かない状況でうらやましい限りです。

ですが、今一番楽しいのは、
このQAのいろいろな回答を読んで、
ピンッときた内容を自分なりに咀嚼し、
イメージし、次回の練習時のテーマを考えることです。

そうすると、もう練習日が待ち遠しくて、
少年の頃のように毎日をうきうき過ごせます。

このようなファンもいることをお知らせしたくてメールしました。
今後とも無理のない範囲で、当サイトを継続されることを
切に望んでおります。


ご丁寧なメールをたまわりありがとうございます。
とても嬉しいお言葉を頂戴いたしました。
今後も見ていただけるように工夫していきたいと思います。

今回のメールをちょうどいい機会だと考え、
「よい質問のコツ」について述べてみたいと思います。

小学生からご高齢の方まで、
そしてプレーヤーはもちろん、指導者やお子さんの父兄まで
多くのご質問をお寄せいただいています。

そのプレーヤーとしての力量や指導者としての経験も、
みなさんずいぶん幅があります。

それは当方としてまったく問題ないのですが、
要領を得ない質問がときどきあります。

また、もうちょっと具体的に書いてもらえばと思うこともあります。

当方としては、できるかぎり質問された方の
個人的な悩みに即しておこたえしたいので、
そういう質問を読むと残念です。

では、どんなものが「よい質問」でしょうか? 

ちょっとこの書き方、上から目線ですが、
「よい答」というのは、
じつは「よい質問」にうながされるものなのです。

そして、「よい質問」ができるということじたいが、
その人のプレーヤーとして、指導者としての技量を高めているのです。

また、回答者にわかりやすい質問ができるということは、
それだけその質問者が
自己の分析ができている証左でもあるのです。

ご存知のように、プレーヤーであれ、指導者であれ、
もっとも大切なのは「自己を知る」ということです。

自分のプレーやアドバイスを、
もう一人の自分が客観的な視点から
冷徹に観察し分析できることです。

まあ、このことは卓球やスポーツにかぎらず、
人生全般にいえることなのですが。

また、自分の悩み、疑問をだれかに質問しようと発意し、
実際に行動に移してみることそれが、
自己成長の大きなステップとなります。

そして、質問し答えがかえってきたとき、
それを鵜呑みにするのでも、
また気に食わないと頭から否定するのでもなく、
自分の頭と実践のなかで検証してみることです。

さらにできれば、複数の多くのアドバイスを求めるといいでしょう。

熱意があり真摯に質問すれば、
ほぼすべての指導者はしっかりとアドバイスをおくってくれるものです。

それは世界チャンピオンだって、そうです。
どんなビッグネームのプレーヤーだってそうです。

スポーツマンというものは求められれば応えるものです。

私は中学生のとき、
日本のある元世界チャンピオンに
指導を受けたことがあります。

そのときアドバイスを受けたのは、
当時の標準的なスイング・フォームとはまったく異なったものでした。

当時、そんなフォームを指導する人や、
それにそんなスイング・フォームの存在さえ知らなかったのです。

当時の卓球解説の主流だった『卓球レポート』にも、
そのスイング・フォームのことなど、まったく載っていませんでした。

そのフォームは当時の私のプレースタイルに適したものだったのです。

そしてそのスイング・フォームを練習していると、
それまで自分が打ったボールとは
ぜんぜんちがったスピードがでるようになったのです。

その世界チャンピオンが指導する打ち方をすると、
前と同じスイング・スピードなのに、
打球スピードが驚くほど速くなったのです。

そしてこのスイング・フォームが
現在の「卓技研式水平打法」の基礎となったのです。

もし、そのときそのスイング・フォームを教えてもらっていなかったら、
「卓技研式水平打法」はこの世に存在していないでしょう。

さて、「よい質問のコツ」を考えてみましょう。

まず、年齢、経験、利き腕、戦型(プレースタイル)は必須です。

つぎに漠然としたものではなく、
可能な限り具体的な質問をすることです。

たとえば、「ドライブの回転をあげるにはどうすればいいのか」
という悩みがあるとします。

実際、この質問には多く答えてきました。

だけど、もっとよい質問にしたいのなら、
自分は「こうこうこういう方法」で回転をあげようとしているのだけど、
どうもうまくいかない。

この「こうこうこういう方法」を具体的に詳細にあげてもらうと、
その質問者の悩みのポイントや技術レベルが明確になってくるのです。

ただ漠然と「ドライブの回転をあげるにはどうすればいいのか」
という質問では、かなり平均的標準的な
誰にもでもあてはまる解説になってしまうのです。

たとえば、
その「ドライブの回転をあげるにはどうすればいいのか」の、
「下半身の使い方」を解説する場合、
漠然とした質問なら、
「右利きなら、右脚から左脚に重心移動させましょう」
という教科書的な回答になりがちです。

しかし、トッププレーヤーを見ていると、
ときには左足が浮いている場合だってあるわけです。

これはあきらかに重心移動なんてしていないわけです。

そして実戦では、
重心移動をしないほうがいい場合だってあるというか、
レベルが上がるほど
重心移動なんてやってられないケースが多くなるわけです。

でも、そうかといって、
トップクラスでも重心移動はおろそかにできないのです。

卓球指導、技術アドバイスというのも、
なかなか一筋縄ではいかないものです。

まあ、一筋縄でいかないのが、
卓球の奥が深くておもしろいところで、
またそこをうまくティーチングするのも
指導者冥利に尽きるのですが……。

以上のように、同じ内容の質問でも、
その具体性に欠けると、
もしかしたらその質問者にとって
真逆の答えになることがあるわけです。

「よい質問のコツ」というのは、
できるだけ具体的にポイントをしぼり、
さらに自分の考えややり方、
またモデルとしているプレーヤーがいればその名をあげ、
できればエピソードもまじえれば、
回答者により質問内容が実感できるでしょう。

みなさんからの質問メールをお待ちしております。
遠慮しないでどんどんお寄せください。

答えるのに時間がかかることがありますが、
おおよそすべての質問にお答えします。

もし、いままで、質問メールをしたけれど答えがなかったという方は、
質問の内容をあらためて、再度メールしてください。
かならず、お答えしますから。
卓技研・秋場龍一


329.フォアサイドへ動くとき、振り遅れるのですが……

フットワークでバックからフォアに動くとき
フォアが振り遅れていると言われます。

身体のよこではなくて前で振りなさいといわれます。

たしかにボールを身体の横でとらえているようで
なかなかうまくいきません。

卓球台のバック側でフォアとバックの切り替えをすると
タイミングよく切り返しができます。

しかし台のバックからフォアへと動いて切り返しをすると
打球点が遅くなってしまうようなのです。

よろしくお願いします。
ヤドカリちゃん


お答えします。

フットワークでバックサイドからフォアサイドへ動くとき
フォアハンドが振り遅れること。

またフォアハンドとバックハンドの切り替えで
バックサイドからフォアサイドへ動いての切り替えは
打球点が遅れること。

この2点の「遅れ」の原因は共通しているとみられます。

実際にあなたの動きを見ないと正確なところはわからないのですが、
おそらく次のことによって、
「遅れ」がでるとみて間違いないでしょう。

それは2つあります。

1.バックサイドからフォアサイドへフットワークするとき、
身体の向きが台の正面ではなく、
横向き(右利きなら右の方向)になっていないか、ということ。

2.スイングして、
つぎのフォアハンドスイングへ動作するとき、
ラケットの位置が下すぎないか、ということ。

1はすぐに理解され、修整することができるでしょう。

問題は2です。
とくにこの2が大切です。

フォアハンド、あるいはバックハンドを振って、
さらにつづけてフォアハンド・スイングに移るとき、
ラケットの位置が下がりすぎると、
どうしても「遅れ」がでてしまうのです。

ラケットを下の方へ引きすぎる、といってもいいでしょう。

そして、そういうプレーヤーが多いようです。

フォアハンドであれ、バックハンドであれ、
スイングしたフィニッシュのラケットの位置から、
かなり下げてバックスイングをとっていませんか。

そうすると、ラケットが大きくというか、遠くでまわってしまうため、
どうしても振り遅れてしまうのです。

解決策は、
スイングしてフィニッシュしたラケットの高さを保ったまま、
水平にラケットを引くことです。

そうすれば、フォアサイドへ動いたとき、
遅れることはなくなります。

そのための矯正法は、
ふだんのフォアハンドとバックハンドのラリー練習のときに、
フィニッシュのあとラケットを下げないようにして
次のスイング動作に移るように意識することです。

そう、水平に戻す(返し、引きといってもいいですが)のです。


とくに、バックハンドを振って、フォアハンドへ切り替えるとき、
ラケットが下がりやすくなりますので、
とりわけ注意が必要です。

ラケットを下に引く、
あるいはバックスイングの位置が低いというのは、
台から離れたときの標準モデルです。

いまだに日本では、
この40~50年ほど前のフォアハンド・スイングが基本だと
幅を利かせています。

これは近代卓球の遺物です。

もう近代卓球の時代はとっくに終焉しています。

もちろん、トッププレーヤーにはほとんど見られない
(でもまだ一部のトップは採用している)ですが、
これは前陣で多くプレーする現代卓球にはまったく不適切です。

ちなみに、卓技研式水平打法は
打撃スイングのフォロースルーからバックスイングに戻る返しまで、
すべて水平軌道(打球に応じた若干の修整はあるものの)です。
卓技研・秋場龍一


328.日本のトップ選手が中国ラバーを使わないのはなぜですか……

こんにちは。
ドライブ主戦型、
ハンドルネーム角飛車です。

中国ラバーについて質問です。

中国選手がほぼ全員フォア面に中国ラバーを使っているのに、
日本のトップ選手が中国ラバーを使わないのはなぜですか。

日本の選手が中国ラバーを扱えないのか、
あるいは中国選手しか良い中国ラバーが
手に入らないようになっているのか・・・。

いろいろ考えたのですが答えが出ません。

秋場さんの考えを教えてください。
よろしくお願いします。

お答えします。

たしかに日本のトップは、あまりというか、
ほとんど中国製ラバーを使いませんね。

ただし、水谷隼が今年の世界選手権後に
粘着性にかえたと言われてます。

やはり世界選手権で王浩(世界チャンピオン)に
惨敗のごとく敗れた水谷は、
その打球パワーの違いを嫌と言うほど味わって、
そのひとつの解決策として
中国ラバーへの転換を決意したのではないでしょうか。

さて、なぜ日本のトップは中国ラバーを使わないのか? 

それはよいラバーが手に入らないというのではなく、
扱えないのでしょう。

正確には扱いにくいというところでしょうか。

中国ラバーは、日本の標準的なスイング・フォームで
ロング打法やドライブ打法をおこなっても、
前にボールが飛んでくれません。

やはり、インパクトのときに、
ボールに十分なパワーを充填する打ち方をしないと、
中国ラバーはその真価を発揮することができないのです。

それと、中国ラバーを使ってみると、
日本製とはかなり違うというか違和感があります。

この違和感というのは、卓球をするうえで大きな要素であり、
極端なはなし、その違和感によって、
卓球が楽しくなくなることさえあります。

トップのプレーヤーですから、一度は試してみたことがあるはずで、
その大きな違和感によって、
すぐに断念してしまうのではないでしょうか。

もし、中国ラバーを使うのなら、
できれば「卓球のものごころ」がつくまでに使って、
慣れておく必要があるのでは、とさえ思ってしまいます。

ただし、使いこなせば、
あの中国男女のトッププレーヤーをみるように、
すごいパワーのある打球を繰り出せるのですから、
チャレンジしてみる日本のプレーヤーが
もっと輩出してもいいのではないでしょうか。

それとこれは予断と偏見かもしれませんが、
もしかしたら、「補助剤」との関係が疑われるかもしれませんが……。

まあ、ちらっとそう浮かんだだけですから、
まったく確証のあることではありません。
卓技研・秋場龍一


327.どうすれば試合でのメンタルが強くなるでしょうか……

こんにちは。
裏裏シェーク・ドライブ攻撃型、
右利きのジュンくんです。

メンタルについての質問です。

ぼくはいつも試合の前半から中盤はビビらないのですが、
後半の8ポイントあたりからカウントを意識してしまい、
それまでのプレーができなくなります。

またゲームポイントやマッチポイントをとっても、
そこから逆転されて負けることがよくあります。

この前の大会では、10対5でマッチポイントをにぎったのに、
そこからジュースにされて10対12で負けてしまいました。

悔しいやら、情けないやら。
自分のメンタルの弱さがいやになってしまいました。

どうすれば試合でのメンタルが強くなるでしょうか?



【その1】
お答えします。

これはあなただけではなく、
もうどんなプレーヤーでもビビるものです。

もちろん比較すれば、メンタルの強い人、弱い人がいますが、
基本的にはほぼみんな「弱い」ものなんです。

生まれついた性格で、
メンタルの強い人やあまりビビらない人もいますが、
そんな人でも試合の局面によっては弱気になったり、
あるいは試合にぜんぜん集中できなくなることもあります。

それは街中の大会から、
全日本や世界選手権に出場するトッププレーヤーでさえも。

水谷隼や吉田海偉といった全日本チャンピオンは
そのメンタルの強靭さでも傑出していますが、
それでも試合によっては明らかにビビっていたり、
また集中を欠いたり、
極端に弱気になっていることもあります。

ほんとうに、いつどんなときでも、強靭なメンタルでいられる人など、
この世に存在しないのではないでしょうか。

人間、みなメンタルが弱い。

これが筆者の基本的な考えで、
この「弱い」という位置からメンタルというものを見つめています。

ですから、あなたが試合の終盤の大事な局面で
緊張するのも仕方のないことです。

ビビってあたりまえ。そう思ってください。

ただし、メンタルの弱さや試合の局面でどういう意識でのぞむのか、
それをあらかじめ知り、それなりの対応策をもっていると、
ずいぶんプレーがかわってくるものです。

それを具体的にあげてみましょう。

1.試合は始まる前から始まっている。

2.試合には勝負の「流れ」がある。

3.その「流れ」はメンタルが影響する。

4.その試合の勝負の「結果」を意識しないで、
次の「プレー」そのものに集中する。

以上を解説します。

まず1です。

「ラブオール」で試合は始まりますが、
実質的にはその試合の数十分前から、
その試合は始まっているのです。

どういう気持ちで「試合に入る」のかで、
その試合のプレーの優劣は大きくかわるものです。

試合に入る前、
まず自分の気持ち、自分のプレー、
自分の戦略・戦術を整理してみることです。

とくにメンタルに関しては、
いま自分がどういう精神状態にあるのか、
もうひとりの自分が客観的な視点から
冷静に見つめてみることです。

プレーや作戦に関しても、
自分のテーマと対戦相手という両面を検討しながら、
その試合にのぞむ
ある程度の具体的な「指針」をもつといいでしょう。

それとなにより大切なことは
試合をするにあたって「強い気持ち」になることです。

自分を自分で奮い立たせて
「絶対に勝つ」と言い聞かせるのです。

人の精神力というのは、
こうやって自覚させるだけで、
ものすごく強い自分が発揮できることがあります。

試合にのぞむにあたっては、
ぜひ「強い気持ち」になる、ということを覚えください。

ただ「強い」といっても、
勝負だけに拘泥するというか、
ただ「結果」にこだわりすぎることとは違うのです。

「強い」という気持ちを持とうするあまり、
「結果」にこだわりすぎて墓穴を掘るというのは、
ままあることです。

ここがメンタルのむずかしさで、
たとえば集中しようとすれば過剰な緊張を招く場合もあるし、
強気にいこうとすれば
強引で無謀な強打をやみくもに連発してみたり、
また一本一本大事にプレーしようとしれば
消極的で弱気ともいえるプレーになってみたりと。

そのあたりのことは、やはり実戦で場数を踏んで、
自分のなかで一つひとつ
消化していくしかありません。
(以降つづく)

【その2】
きのう、前回のつづきです。

2.試合には勝負の「流れ」がある――ですが、
この「流れ」というのは、
対戦者の実力が拮抗しているほど、
その試合の行方をかなり大きく影響させるものです。

この「流れ」というのは、
人智の及ばない天のいたずらかというほど、
微妙に絶妙にそのゲームをもてあそびます。

そう、もうプレーヤーにはどうしようもない、
目に見えない「力学」がはたらくのですね。

ただし、その「流れ」を意識して適切に対応すると、
流れを自分のものに引き寄せることができます。

いい流れのときは余計なことはしないで、
その流れにのってどんどん試合を進め、
わるい流れのときは
それまでとちがった行為をやってみるのです。

たとえばシューズのひもを結び直したり、
サービスする位置や種類
(フォアハンドサービスからバックハンドサービスにかえてみたりとか)
を変更する、など……。

ただし人智の及ばない「流れ」の力学はたしかに存在するものの、
それが100パーセントそうかというと、
そうとも言い切れないのです。

それは対戦するプレーヤーのメンタルが影響するからです。

たとえば「油断」「隙」「アクシデント」「勝負の結果を意識する」など。

アクシデントというのは、となりのコートからボールが飛んできて、
自分たちのラリーにストップがかけられたり、
また「ネットイン」や「エッジ」も、よくあるアクシデントです。

相手に「ネットイン」や「エッジ」で得点されると、
アンラッキーと嘆くのはまだしも、
それを対戦相手への怒りや侮蔑
(エッジで入れやがって、汚ねえとか)を向ける人もいます。

ネットインやエッジを意図的にできるプレーヤーなどいないことなど、
ちょっと冷静に考えればだれだってわかることです。

相手のネットインやエッジにたいして感情的になると
「流れ」はわるくなるものです。

ここをぐっと我慢してクールに対応すれば、
逆にこちらに「流れ」がきたり、
またゲームの最大の局面で、
こちらがネットインやエッジで得点することもあります。

そしてやはり「流れ」が大きくかわるのが、
「勝負の結果を意識」したときです。

得点の伯仲したシーソーゲームで、タイブレークの最終ゲーム。

ここであなたは9-5とリードを広げたとします。

そうあと2点で勝てるのです。

そしてそう思った瞬間から、
ゲームの流れががらっとかわって、
それからはやることなすこと全部だめになって、
終わってみれば9-11で負けていた、
なんてことはほとんどの人が経験しているのではないでしょうか。

「結果を意識」して、
幾分自分のプレーが守りに入って消極的になったことは認めるものの、
それ以上に、もう自分では抗いきれない「力学」がはたらいて、
一気に激しい流れに押し流されてしまったという。

では、試合をしているプレーヤーは
「試合の結果を意識」してはいけないのでしょうか。

まあ、願うのならば試合中ずっと「結果」など気にせずに、
プレーそのものに集中したいものですが、
やはりそこは自我をもった人間です。

どうしても結果を意識します。

誰だって勝ちたいし、
勝利が眼の前になれば意識するな、
というほうが無理かもしれません。

もし、結果を意識してしまったら、
もうしたのですから仕方のないことです。

そういうときは、
そんな勝負の結果にこだわっている「愚かな自分」を、
もう一人の自分が客観的に
ほほ笑みながら見つめてやってください。

ここでそんな結果にとらわれている自分を鼓舞するために、
選手はよく「集中だ!」とかさけんだり、
自分に言い聞かせるものですが、
それは逆に力みとなって身体がこわばって、
思わぬ凡ミスをまねくものですから、
やめておいたほうがいいでしょう。

ここはもう余計な思いはすてて、
ただ相手が打ってくるボールを打ち返すだけという感じで十分です。

あなたの余計な思いで、
あなたの身体の動きを邪魔させないことです。

自分を信じる。よく言われることです。

これはじつは、そういうことなんです。(つづく)


【その3】
きょうはご質問の内容に具体的にお答えしましょう。

それは試合でファイナルゲームの10-5から
逆転されて負けたことについてです。

前述したように、
試合には人間の力ではどうすることもない「流れ」があります。

しかし、そこには人間のメンタルが影響していることも
見逃すべきではありません。

試合の流れが変転することが多いのは、試合の局面です。

そう、競ったゲームの終盤、
勝利が近づいたときにおこりやすいのです。

勝利という結果を意識した瞬間、
それまでプレーだけに専念していた身体に、
自我あるいは脳というものが介在します。

そうなると手や腕の動きが
スイングの主導権を握るのです。

手は脳の手先なのです。

脳はアウトプット器官がなければなにも具体的な行動はできません。

いくら脳が身体の部位に指令を出しても、
身体はそれが身体全体にとって不都合である場合、
身体は拒否します。

ところが手だけは脳の指令に忠実なのです。

そして手が身体のなかで優位となったとき、
それまで全身でバランスでとっていたスイングフォームがくずれます。

野球の投手の例がわかりやすいのですが、
投手がピンチになったとき、たとえば満塁で、
ここで押し出しのフォアボールを出せばさよなら負けという場面。

弱気の投手がやることは、「ボールを置きに行く」ことです。

ストライクがほしいために、手が優位で投げることを
野球界では「ボールを置きに行く」というのです。

そうすると、逆にコントロールが定まらないでボールになったり、
スピードが出ないで痛打を浴びるということになります。

また、ここはどうしても抑えねば、「強気だ!」
ということがあまりにも過剰になってしまうと、
手の振りが強くなって力が入りすぎて、
そのためにアゴがあがり、身体が開いてナチュラルシュートして
外角いっぱいを突くはずが、
ストライクゾーンのど真ん中に投げ込んでしまって、
これまた痛打ということになるのです。

試合の大事な局面や勝負という結果を意識したときは、
まず、この手が優位になるということを思いだしてください。

そういうときは、足から先に動くようにして、
スイングは腰始動ということをイメージします。

こうやっても、もう絶対に手が遅れることはありません。

絶対に手は出ますから、
あせらないで足→腰の動きを意識するのです。

さて、以上のことを念頭において、
10-5から逆転されたときのことを思い出してください。

いいですか、もうほぼすべてのプレーヤーが
マッチポイントをとったり、あるいはとられたとき、
いままでとは異なった意識を持つものです。

この一本で勝負が決するというとき、
人間たるもの、どうしてもなにか特別な意識がよぎるものなのです。

そして、こういうとき、「流れ」がかわりやすいのです。

では、そんなマッチポイントになったときに、
そんな特別の意識なることがいけないかというと、
それはもうなってしまうもので、
人間たるものの性癖ですから、
それは致し方のないことと考えましょう。

そして、マッチポイントをあなたがとったとき、
つぎのように固くこころに誓うのです。(つづく)

【その4】
さて、マッチポイントをにぎったときです。

あなたはカウント10-5で圧倒的なリード。

あと1点とれば勝利を手中にできます。

さて、ここからが問題です。

こんな5点もの得点差があれば、余裕が出てしまいます。

まあ、この点差内で、「そのうち」1点ぐらいとれるだろうと。

あるいは、もっと余裕をかまして、
ここは一発、スカッとノータッチ強打で決めてやろう、
なんて思ってしまうかもしれません。

でも、この10-5という点差はワナなのです。

ほんとうは5点の差なんてないのです。

この「ほんとうは」というのは、
メンタルとしては、ということです。

精神的には5点差もなく、せいぜい2点差です。

なぜでしょう? 

10-5から2点とられるとします。

そうなると、10-7となり、
もし次のポイントも落とすと10-8ということで、
しかもサービスが相手となると、
もう余裕もへったくれもなくなり、
あっというまに余裕が焦りにかわります。

メンタルというのはおもしろいというか不思議なもので、
余裕をかました分、
それが自分の思惑どおりにいかないと
焦り感に逆倍増するのです。

これは油断や相手を侮ったときもそうです。

油断したりや侮ったりした分、
思惑に反してゲームが競ってくると、焦りが二乗するのです。

10-5であなたは余裕をもち、
対戦相手はもう土壇場まで追いつめられたのだからと、
開き直って勝負の結果など気にしないで
のびのびとプレーしてくる可能性が高くなります。

相手によっては完全にあきらめたり、試合を投げたり、
あるいは不屈の精神力で挽回する意思を貫徹する人もいます。

そうです。

マッチポイントとなった瞬間、
対戦する双方のメンタルに
かなりドラスティックな変化が生まれたのです。

メンタルが試合の流れに影響をあたえると前述しました。

マッチポイントは流れが変転するシフトポイントでもあるのです。

事実、10-5からの逆転劇はよく見かける光景です。

さて、きのう「マッチポイントをあなたがとったとき、
つぎのように固く誓うのです」として終わったつづきです。

こんな10-5という大きな得点差でマッチポイントをにぎったときは、
このように自分のこころに誓ってください。

つぎのポイントで勝負を決する!

余裕とかかましてないで、
次のポイントをとることに全力をあげるのです。

そして、そうする気持ちが、
たとえそこから連続で3点4点と連取され10-9と追い上げられても、
あるいは10-10のデュースになったとしても、
あなたに「焦り」の気持は起こらないのです。

たとえ大きな点差があっても、仮に10-0でリードしていても、
つぎのポイントで決める、と固く誓って獲りに行くのです。

この気持ちがひじょうに大切なのです。

さて、10-10になりました。

するとまたここで大きな流れの転換点となります。

いままで開き直っていた相手は
「あれれ、デュースになったよ。こりゃ勝てるかも」と、
俄然、さっきとはメンタルがちがってくるのです。

もう開き直って思い切りプレーすることがむずかしくなります。

余裕をかましていたあなたは、
「ヤバいよ! 逆転負けするよ」と、なおいっそう焦りますが、
マッチポイントで次のポイントをとることに全力をあげた人は、
そうはならないのです。

デュースになって、
「まあ、同点さ。これで勝負の行方は五分と五分」という
新たな闘志を燃やして次のポイントに向かうことができるのです。

いいですか。マッチポイントをにぎったら、
つぎのポイントで決めると固く誓うことです。

それと仮に次でポイントをあげることができて、
11-5で勝ったとします。

そうすると、もしこの対戦相手とつぎにまた対戦する事があった場合、
11-5の6点差で勝ったという
精神的な優位性を保ったまま迎え撃つことができます。

ところが、これが11-9と追い上げられて辛勝した場合は、
次戦の対戦にそんな優位性はなく、逆に追い詰められた
という気持ちが残ったまま試合を迎えることになります。

それと、マッチポイントだけではなく、
ゲーム(セット)ポイントのときも、
点差が離れていてもマッチポイントと同じように
次のポイントで獲るようにしましょう。

なぜなら、ここで追い上げられて、
仮にこのゲーム(セット)を奪ったとしても、
追い上げられたというイメージが残り、
次のゲームは「追い上げられた気持ち」をもって
ラブオールを迎えることになりますから。

また、逆に自分が大きな点差で
マッチポイントやゲームポイントをにぎられたとしても、
けっして試合をあきらめないで、
たとえこの試合に負けることになっても、
あるいはこのゲーム(セット)を奪われることになっても、
可能な限り得点差を縮めることです。

そうすることが「あすの勝利の糧」になるのです。
卓技研・秋場龍一


326.表ですが、ドライブのかけ方とツッツキの切り方が謎のままです……

はじめまして
いつもいろいろと参考にさせていただいております。

ちょうです。

卓球を始めてから表一筋なのですが
いまだにドライブのかけ方とツッツキの切り方が謎のままです。

上手い人は表でも充分回転をかけられるようですが
イマイチよくわかりません。

今はすべてがナックルみたいな感じなので
慣れられると弱いです。

ラケットは中ペン、ラバーはフォア面がセンレイで
バック面がアタック8です。

よろしくお願いします。


お答えします。

まず、表ソフトを使う基本的な考えかたから。

表でも、もちろんドライブをかけることはできます。

ですが、やはり表の特徴は
球離れの早いことによる
打球したときの初速スピードがあることで、
強打に向いたラバーである、ということです。

ですから、表を使うのならば、
まずはこの特徴を活かした強打をマスターして
自己の卓球の戦略の主戦にしたいものです。

スピンではなく、スピードを、ということですね。

以上のことを念頭において、
現実的な戦略を考えてみましょう。

いくらスピード主体といっても、
やはり強打とか角度打ちだけで
スピン系のボールを攻撃的にリターンすることは
ちょっとむずかしいものです。

とくに、ネットより低いボールは
ドライブで攻めたいものです。

なので、実戦ではスピードを主体としつつも、
ドライブを使う必要に迫られる、ということになります。

さて、ここで問題なのですが、
いくらドライブがうまい表の選手がいるといっても、
やはり裏の回転力には確実に劣るものです。

まあ、表ソフトラバーでも回転系、スピード系、ナックル系とあって、
回転系を使えばある程度のトップスピンはだせますが、
それでも、いくらがんばっても裏には回転ではかないません。

ですから、もし表でドライブを使うのなら、
ドライブの回転で勝負しないで、
ドライブでトップスピンをかけるメリットを求めることに限定して
使われてはいかがでしょうか。

つまり、スピン系の低いボールを
先手をとってボールを「起こす」手段として用いて、
次のロングボールとなってリターンされてきたボールで勝負する、
というように。

この「起こすドライブ」は強い回転ではなく、
軽くトップスピンをかけます。

決定打的なドライブ攻撃ではなく、
先手をとる手段として用いるのです。

もちろん威力はありませんが、
それでも相手よりもさきに
スピン系のボールを「起こす」ことの優位性があり、
そのラリーの主導権を奪うことができます。

この表の「起こすドライブ」のポイントを次に挙げておきます。

1.バックスイングもフォームも小さくして、
鋭くシャープにスイングする。

2.ドライブの特徴である
放物線の飛び方を利用するものの、
できるだけ低い軌道にすること。

3.相手のエンドラインぎりぎりの深いコースをねらう。

4.可能な限り、
ボールがバウンドしてすぐのライジング・ドライブをねらう。

5.このドライブで決めるのではないので、
踏み込みや前への突っ込みは抑え、
次の強打のために早く構える。

だいたい、こんなところでしょうか。

1~5を読んでいただくとご理解いただけると思いますが、
要するに相手に反撃の余裕をあたえず先手をとって、
つぎのボールで決めるためのドライブです。

せっかくですから、
表で回転がきいたドライブをかけるコツも述べておきます。

それはインパクトの瞬間、
「コツン」という感じで回転をかけることです。

表は球離れが早いので、
裏のようにラバーとボールの接触時間を長く保つことで
回転をかけるのではなく、
ラバーとボールの短い接触時間で
回転を得るためにこうするのです。

この短い接触時間で回転を得ることはドライブだけではなく、
サービスや質問のツッツキの切り方にも応用できるのです。

よく、表はサービスが切れないという人がいますが、
そんなことはありません。

事実、サービスが日本でトップクラスの、
ある表の選手は
「裏より、表のほうが切れる」と述べています。

コツはインパクトの瞬間です。

やはり「コツン」という感じで、
インパクトの一瞬に
サービスのスイングスピードをマックスにするのです。

どういうのでしょうか、
回転の持久力なら裏には劣りますが、
初速回転とでもいいますか、
インパクトから短時間(あるいは短距離)では
表の回転力は裏に勝るのです。

これはツッツキでも同じです。

ラケットを飛んでくるボールの底に入れて、
インパクトの瞬間にマックスになるように
スイングスピードを上げるのです。

短いスイング距離で鋭くシャープにコツンと切るのです。

裏はラバーとボールを長い時間接触させることで
回転を得るのに対して、
表は一瞬の切れ味で回転を得る、
というイメージです。

それとこれは卓球用具メーカーにお願いしたいのですが、
現在の回転系表ソフトよりも、
もっともっと回転がかかる
表ソフトを開発してもらいたいものです。

できるなら、裏と遜色ないドライブによるトップスピンがかかる。

それと、かぎりなく表に近い初速スピードが出る裏ソフトも。

粘着性と真反対のものです。

これらはこれからの時代、
絶対に要請があると思います。

ぜひよろしくお願いします。
卓技研・秋場龍一


325.卓技研式水平打法のフィニッシュはどこですか……

Bombarad(極薄)です。

シェークハンドのF側Bombard(極薄)&B側UFO(極薄)で
前陣速攻を目指しています。

強打についての解説で下記の様にご指導されています。

『それは強打法ですが、
ラケット面を垂直に立て、ボールの斜め横(側面)を
水平軌道でコンパクトに鋭くスイングすることです。
これは卓技研式水平打法ですが、
すこしぐらい切れているバックスピンでも、
ボールの側面を叩くことで、
そのボールの回転の影響を減少させて打つことが
可能となるのです。』

・・・とあります。

この記述に関して2つご指導下さい。

【1】ボールの側面とは、
右利きF側ならば向かってくるボールの左側(内側)ですか?

B側ならば向かってくるボールの右側(内側)ですか?

【2】卓技研式水平打法のフィニッシュはどこに?
と言う事でネットでも少し話題になっています。

当たる瞬間は、ラケットは台に対して垂直は分かりますが、
その後のフォロースルーの最終到着点、
ラケットがどこで止まりますか?

フィニッシュは、打点からラケットを弧を描いて
平行移動した位置と考えて良いですか?
すなわち、左胸から左肩の前あたりでしょうか?

よろしくお願い致します。
以上

追伸
サービスの回転の見分け方の気持ちの持ち方は、
大変役に立ちました。

練習を重ね、いろいろなサービスを受けて
上達していきたいと思います。


お答えします。

まず、

【1】ボールの側面とは、
右利きF側ならば向かってくるボールの左側(内側)ですか? 
B側ならば向かってくるボールの右側(内側)ですか?

についてです。

この「強打法」について述べていることに関しては、
当方としては基本的な右利きの
フォアハンド・クロスに向けたものです。

この条件において、
ボールを打球するポイントは
向かってくるボールの右側面(外側)です。

またバックハンドはボールの左側面(外側)です。

もう一度、確認しますが、
右利きのクロスへの打球にたいしてです。

ここは大切ですから、お間違えのないように。

卓技研式水平打法(強打法)の基本は、
右利き、左利きとも、
またフォアハンド、バックハンドとも、
ボールの外側を叩きます。

ボールの側面を打つことによって、
次のようなメリットを得ることができます。

1.相手打球の回転(バックスピン、トップスピン、ナックル等)の
影響を受けることが減少する。

2.相手のフォアサイドを切る打球が打てる。

3.打球軌道が直線的に飛びやすくなり、
打球スピードがアップする。

4.相手の強打や強ドライブに圧されなくなり、
必然的にオーバーミスが減る。

また、卓技研式水平打法をストレートコースに打つ場合は、
ボールの真後ろを打ちます。

まあ、このボールを打球するポイントは
クロスコースやストレートコースにおいても、
ごくごく当たり前のことです。

ただ、こういうように、
コースによってボールを打球するポイントを意識して、
できるだけ正確に打球することで、
自分がねらったコースや
サイドを切るとか深く入れることが容易になるのです。

この強打法はいわゆるロングボールはもちろん、
スピン系(バックスピン、ナックル系の相手がツッツキやカットした球)
にも有効です。

いわゆるツッツキ打ちやカット打ちにたいする、
角度打ちやフリックにも適しています。

とくに、ダブルスのレシーブ時、
相手のショートサービスをフリックするとき(右利きのケース)、
相手サービスの頂点をねらって、
フリック強打でボールの左側面をシャープに振り抜くと、
「え、こんな低くて、バックスピンのよくかかったサービスを」
いったような、打った本人もびっくりするような、
相手フォアサイドを鋭く切り裂いた、
みごとなショットを打つことができます。

以上、基本的にはボールの外側を叩くことです。

ただし、内側を叩くことでも有効なショットが打てます。

とくに、台上のスピン系のボールを
バックサイドからフォアハンドでフリックするとき、
右利きならボールの左側面を打球することで、
低くてバックスピンのよくかかったボールを
相手バックサイドを切ることができるのです。

バックサイドからクロスへの
フリックや角度打ちのときに有効な打法です。

次に、

【2】卓技研式水平打法のフィニッシュはどこに?
と言う事でネットでも少し話題になっています。
当たる瞬間は、ラケットは台に対して垂直は分かりますが、
その後のフォロースルーの最終到着点、
ラケットがどこで止まりますか?
フィニッシュは、打点からラケットを弧を描いて
平行移動した位置と考えて良いですか?
すなわち、左胸から左肩の前あたりでしょうか?

にお答えします。


卓技研式水平打法のフィニッシュは、
右利きの場合、「左胸から左肩」あたりです。

水平軌道でスイングするわけですから、
インパクト・ポイントと同じ高さを
水平に移動することになります。

そして、スイングの強弱によってラケットの位置が、
左胸の前や左肩をすこし出るところとなります。

ただし、これは重要なことですが、
じつは卓技研式水平打法から発展したロータリー打法では、
いわゆるフィニッシュという概念はなくなってしまうのです。

まあ、一応このあたりまで振り切る
という目安ということでお答えしたのですが、
「フィニッシュ」という語感やイメージからくる
ラケットを「止める」ことはしないのです。

この打法も、卓技研水平打法とともに
いずれ動画で解説したいと考えております。
卓技研・秋場龍一


324.ボールがセルロイド製からPVC製にかわると、卓球にどんな影響がでるのでしょうか……

こんにちは
前回横回転に対するレシーブについて
質問させてもらった
H.Mです。

卓球王国に
ボールがセルロイド製からプラスチック製に変更される
という記事があったのですが
プラスチックに変わることによって
具体的にどのような影響がでるのでしょうか。


お答えします。

ボール原料が変更になるのはロンドン五輪以降だということですが、
そうだとすると、
もう来年のいまごろは新しいボールを使っていることになりますね。

具体的にどういう影響がでるのか、
こればっかしは実際に使ってみないとなんともいえないでしょうね。

ただ、想定できることはあります。

卓球ボールにはITTF(国際卓球連盟)が定めた
かなり厳密な規格があり、その概要は以下のとおりです。

1.直径……39.5㎜から40.5㎜

2.重さ……2.67gから2.77g

3.曲がり……1mの長さの転がり走行路において
  約0.3m/秒の速度で転がるボールは
  175㎜以上逸れてはならない

4.垂直方向の硬度……50Nの圧縮力及び
  毎分10mm速度の直径20mmのピストンの場合、
  ボールの極部分に0.71mmから0.84mmの圧痕は許される

5.水平方向の硬度……垂直方向と同じ条件で
  0.72mmから0.84mmの圧痕は許される

6.垂直及び水平方向の硬度測定における個体差異……
  0.15mm未満

7.硬度の標準的偏差……0.06mm未満

8.弾力……305mmの高さから
  標準的な鉄製ブロック上への落下時の跳躍高度が
  240 mmから260mmであること

製造での誤差を考慮して幾分の幅をもたせているのですが、
直径や重さ、曲がり、弾力(バウンドしたときの高さ)は
規定されて当然ですが、
圧痕(ボールのへこみ)なども厳密に決められているんですね。

それで、まず懸念されるのが、
以上のような条件に合致するボールが
セルロイド製にかわる、
新たなポリ塩化ビニール(PVC)製のボールで
だせるのかということになります。

もし、規定どおりのボールが技術的に製造できないとなれば、
規定じたいの変更があるかもしれません。

でも、おそらく製造技術的に可能なのでしょうね。

また、既製のセルロイド製よりも、
もっと完全な球体に近づくでしょう。

ただ、ボール表面とラバーが接触するときの摩擦率とか、
湿気などの影響、それに打球したときの感触、打球音など、
微妙だけど卓球プレーヤーには
けっこう大きなテーマはどうなのか気になります。

それとやはりいちばんの課題は、
ボールの継ぎ目がなくなる
ということでしょう。

ボールがバウンドするとき、
沈んだり、弾んだりとイレギュラーするときがあります。

これはドライブやカットなどスピンが関係していることと、
ボールの継ぎ目が関係していることがあります。

ボールの継ぎ目と台が接触したときは弾み、
極部分、つまり継ぎ目からもっとも遠い点
(半球状の頂点)で接触したときは沈む傾向があります。

これは40㎜ボールでは判断できにくいのですが、
44㎜のラージボールでは、
この傾向をはっきりと認識することができます。

となると、継ぎ目がないPVCボールが登場すると
イレギュラー・バウンドは減少するということになります。

繰り返しますが、実際に打ってみないとなんともいえないのですが、
完全に近い球体で継ぎ目がないボールとなると、
ボールの飛び方に微妙な、
それでいて卓球プレーヤーの眼というか実感では
かなり大きな変化となるのでは……
とも推測されるのですが……。

もうひとつ、セルロイド製は継ぎ目が裂けて
ダメになることが多かったのですが、
PVCでは、このようなクラックは起こらないので、
ボールの寿命は長くなるはずですね。

でも、それだと卓球ボールメーカーが困る(?)ので、
ボール価格は上がるかもしれません。

これはエコに繋がるのかな。

卓球ボールの変更は、
電球のLED化への移行と似ていなくもありませんね。

まあ、なにはともあれ、
セルロイドボール100年の歴史が終わります。

これは新たな卓球ステージの到来の予兆である、
という気がしてなりません。

そう、新しい卓球世紀が始まるのです。
卓技研・秋場龍一


323.グリップテープを巻く、メリットとデメリットを教えてください……

こんにちは!ハンドルネームスピードです。

この前は自滅について、
詳しくお答えいただきありがとうございました。
とても参考になりました!
わたしの説明が不十分だった事をお詫びします。

さて質問ですが、私は手に汗をかいてしまい、
滑るのをきらいグリップテープをはりました。

R:ヒノキシェークセブン
F:スレイバー
B:マークV

戦型:たまにカット基本攻撃

グリップテープはった
デメリットとメリットを教えていただくとありがたいです!

追伸..『攻撃的なつなぎの卓球』
自滅する私にとってとても救いになりました!
まだ負けてしまう事が多いですが、
一球目⇔三球目のパターン化をしっかりきめて、
がんばろうとおもいます。


お答えいたします。

グリップのテープのメリット、デメリットですか? 

これはもう、それを使用した本人次第ですね。

つまり、使ってみた
「フィット感」「フィーリング」「好感・違和感」「なじみ感」など、
そのプレーヤーの個人的な感覚が
すべてに優先するテーマだと思います。

ただし、シェークの人はペンの人にくらべて、
グリップの工夫や加工調整が足りないようです。

もっとシェークの人は、
グリップエンドを自分に合ったものに
工夫したほうがいいような気がします。

ペンの人はナイフで削り、
サンドペーパーで角を取って、
きめ細かく自分に合ったグリップをつくります。

手とグリップのフィット調整
(手の大きさや指の長さも、
個人個人かなり違いがあるものです)、
プレースタイルに合わせた調整
(たとえばフォアハンド主体グリップと
バックハンド主体グリップ)など、
ペンはかなり精密にグリップの加工調整をやりますが、
シェークはペンほどやらないものです。

やるシェークの人もいますが、少数です。

これは、ペンは「指でつまむ」、
シェークは「がしっと握る」という、
そのグリップの大きな特徴の違いからきているのでしょうが。

でも、グリップエンドのちょっとした調整や工夫で、
サービス、台上処理の技術はもちろん、
その打球のパワーにまで好影響をおよぼします。

それと成長するプレーヤーは、
用具の細部まで心配りが行き届いているものです。

また、技術力が高まっていくにつれ、
必然的に微細な領域に精通してゆくものです。

技術的力量の進捗力を長さの単位で表すとすると、
ビギナーはメートルからはじまり、
上級になるにつれ、センチ、ミリの単位とだんだん短くなります。

そして世界のトップ3の争いになると
ミクロン(1ミリの1000分の1)の差によって
勝者と敗者に分けられるのです。

つまり、微細な領域での工夫や努力、
研鑽などが合わさった総合力が、
そのプレーヤーのランクを決定しているのです。

もちろん、グリップ加工は
その数多くの微細な領域のひとつですが、
けっしておろそかにできないパートです。

ですから、グリップの理想は、
自分なりに徹底的に工夫、調整して、
最高のフィット感を創造してみることです。

さて、グリップテープですが、
個的な感覚を超えた普遍的な問題としては、
グリップエンドの「太さ」があります。

グリップテープを巻くと、
とうぜんグリップエンドは太くなりますが、
この太さの違いは、
サービスやフリックなどの技術のほか、
打球の威力にまで影響をあたえます。

これも個的な感覚とのバランスというか相談になるのですが、
いろいろ試してみて折り合ってゆくしかないでしょうね。
卓技研・秋場龍一


322.物理的にネットよりもすこしでも高いボールをすべて水平打法で強打できますか……

秋場さんお久しぶりです。
abcです。

卓球だけでなく、原発についての記事についても、
とても参考になります。
今後とも様々な分野での活動がんばってください。
応援してます。

質問なのですが、
最近、表ソフトのスマッシュで悩みがあります。

秋場さんは常に水平打法を推奨されているのですが、
ネットよりも高いのを常に水平打法を使うのは、
物理的に無理なのではないでしょうか?

もしかしたら計算が間違っているかもしれないので、
そのときはすいません。
また、数値はほとんど何も考えずに近似しているので
完全に正確ではありません。

相手コートのエンドラインの左端から
自分のコートの右端までの距離は
三平方の定理より、3.136メートル、
ネットの高さは0.1525メートルなので、
もし仮に自分のコートのエンドラインぎりぎりで打ったとすると、
相似の関係より約0.305メートルの高さが必要となります。
空気抵抗などは空気の密度がわからないので省きますが、
結構微々たる物であると思います。
またこれは無回転だと考えてベルヌーイの定理も省き、
重力のみの力を考えます。

200キロつまり毎秒55.5メートル進むボールが
水平方向に飛んでいるとしたら、
敵コートエンドラインまでに、
3.136/55.5より、0.0565秒かかることになり、
縦の重力による移動距離は、
1/2*9.8*0.0565の二乗より、
約0.016メートルとなりほとんど落下しません。
高校レベルの物理学である以上の計算から、
エンドラインぎりぎりで水平打法打ったとしたら
少なくともネットの二倍の高さで打たなければ入りません。

直線のボールを打つとイメージすると、
ただ単に算数で終わるのですが一応物理的に考えてみました。
この結果からネットより高いのは
すべて水平打法には限界があり、
結構高いボール、つまりネットの倍くらい高さからしか
適応できないのではないでしょうか?

また、一流の表ソフトプレイヤーの試合を見ていると、
そのすべてが強打の際(ロビングに対してを除く)に
軽い前進回転をかけて放物線の軌道にしています。
やはり強打のときでも、
少しは前進回転をかけるべきではないでしょうか?
返答よろしくお願いします。


お久しぶりですね。

今回の質問、なかなかいいですね。
こういう質問、実は好きなんです。

まず、理論と実在、あるいは理論と体験について述べます。

卓技研はどちらも大切にします。
自己の体験に基づいての指導も、それなりに大切ですが、
やはりそれだけでは視野が狭くなり、
またとかく技術的進化に乗り遅れがちになってしまいます。

理論が先行する技術論は
新しい境地を開拓するうえで欠かせないものです。

だけど、実際のゲームは人間の肉体と精神、
それに五感六感を通じておこなわれる、
きわめてナマな世界のことでもあり、
理論的に仮に正しくとも、
それが現実的に卓球の試合にマッチしない
(ダジャレではありません)こと、
机上の空論というやつもままあります。

それと蛇足ですが小生、物理学が好きなんです。

といっても、専門家ではなく、数式を見てもちんぷんかんぷんです。

いわゆる理科系的な興味というより、
物理学とくに量子力学や相対性理論がえがく、
物や空間、時間などの一種奇妙なふるまいに
いたく興味をそそられるのです。

とりわけ、量子力学の思考実験です。

そう、ハイゼンベルグの不確定性原理やシュレーディンガーの猫など。

そして、これらのことが、仏教のたとえば大乗起信論と、
なぜか近接しているんですよね。

さらに小生が中二のときの
卓球の練習で体験したピークエクスペリエンスとも、
これらのことが小生のなかでは通じるんです。

量子物理学=仏教哲学=深層心理学=卓球体験
という感じで、小生のなかでは通底しています。
もちろん、カテゴリーエラーという名のイエローカードを意識してね。

さて、余計なことはこのへんにしておいて、
ご質問に答えることにします。

これ、逆に質問しますが、実際に卓球しているとき、
ネットより5センチも高ければ
強打するチャンスボールではないですか? 

そして実際には、この強打、入ることが多いですよね。
(この場合、強打とは、ほぼ直線的に飛ぶ打球のこととします)

ほんとうに、「ネットより倍くらいの高さ」、
つまり15.25センチ以上でないと強打できませんか。

そんなことはないですよね。

こうやって計算していただくことはとってもうれしいのですが、
腑に落ちませんね。
どこか計算式に陥穽はありませんか。
あるいは何か条件が欠けているとか。

ネットの高さより高くバウンドするボールは
すべて強打することができる――。

これは実際の体験から得ているものです。

もちろん、ネットすれすれに近づく低いボールほど、
強打の成功率は減少しますが、
まったく入らないことはありません。

これは人のプレーを観ているときも、
また小生自身が打ったときの体験でも、です。

まあ、人間ですから、
そう見えたり、あるいはそう感じていても、
精密機器で実測すれば、
「ネットすれすれが実は7センチも高かった」
ということはもしかしたらあるかもしれませんが。

また、「一流の表ソフトプレイヤーの試合を見ていると、
そのすべてが強打の際(ロビングに対してを除く)に
軽い前進回転をかけて放物線の軌道にしています」とありますが、
たしかにそうですね。

そういうプレーヤーがほとんどです。

いわゆるツッツキやカットされたスピン系のボールは、
ネットの高さより高くても低くても
前進回転をかけて放物線軌道で打つことがほとんどです。

しかし、トッププレーヤーがたとえそうだとしても、
ネットより倍高いボールでないと強打できない、
ということにはならないはずです。

あるいはネットよりすこしでも高いボールを強打してはいけない、
ということにもならないはずでしょう。

いやいや、実際に入るんです。

一見、入らないように見える低いボールでも、
水平打法をしっかりマスターすれば入るんです。

入るからこそ、こうやってみんなに薦めているわけです。

あなたは、「表ソフトのスマッシュで悩んでいる」そうですが、
この悩みを自己分析して、
どこが悩みか具体的に提示していただけませんか。

そうすれば、もしかしたら悩みの解消に
すこしはお役に立てるかもしれません。

ちなみに、表ソフトの最大の問題点は
ネットより低いスピン系のボールへの対応です。

ここを表ソフトはクリアできないので、
裏ソフトの後塵を拝しているといってもいいほどです。

ドライブ、そう、
低いボールでも強力なトップスピンで攻勢できないことです。

再度のご返信、お待ちしてます。
卓技研・秋場


321.最近の女子選手のフォアハンドのフォームがスムーズでコンパクトに見えるのですが、どのように振っているのでしょう……

こんにちは。おかしーと申します。

水平打法を取り入れてから
特にフォアのラリーや台上の攻撃力が上がり、
またドライブの打球点が高くなるという
思わぬ効果がありました。

さて質問ですが、
最近の女子の選手のフォアのフォームがとてもスムーズで
コンパクトに振っているイメージがあるのですが、
どのように振っているのでしょうか。

私には、テイクバックをとらずに
そのまま横から巻き込むように打っているように見えるのですが。

水平打法ではコンパクトに打てるのですが、
ドライブはどうしてもフォームが大きくなってしまうので
是非とも取り入れたいと思っています。

よろしくお願いします。


お答えいたします。

最近の女子選手のフォアハンド・ロングのフォームが
コンパクトになっているということですが、
まさにそのような傾向にあると思います。

「テイクバックをとらずにそのまま横から巻き込むように打っている」
というように見えることについて解説します。

いままで、男女とも「後ろから前に」
押すようにしながら打つスイングが主流だったのですが、
最近はクロスに打つ場合、
ボールの側面(右利きならボールの右側面を打つ)を
打球しています。

テークバック(バックスイング)をとらないのは、
卓球のスピード化とブロック力がないと勝ち抜けない
という現代卓球の時代的な要請にこたえた結果、
こういうフォームに必然的になっている、というところです。

しかもフォームは小さくコンパクトながら、
バックスイングをとらずに側面を水平にシャープに叩くことで、
以前の後ろから前に押すスイングとくらべて
断然打球スピードが増すのです。

バックスイングをとらないスイング・フォームを基本とし、
十分に余裕のあるボールにたいしては
その分バックスイングをとって、
その分パワーを増せばいいのです。

つまり、バックスイングの小さなフォームを基本としておけば、
前陣や台上でのラリーに対応でき、スピードも増し、
また時間的空間的余裕や高いボールは
十分にバックスイングをとって打てばいいのです。

また、前陣でのブロックですが、
構えるラケットの位置が低いと、
相手の強打や強ドライブを打たれると
いったんラケットを下から持ち上げなければならず、
そうなると相手のスピードやスピン、パワーに
遅れたり、押されたり、力負けしたりするのです。

けっきょく、下からラケットを出すことを標準化(クセに)してしまうと、
前陣での卓球に対応できなくなってしまうのです。

ご存知のようにここのところ、
卓球選手全般にブロック技術が上がっています。

以前ならきまっていたドライブや強打などが
なかなか一発ではきまらなくなっており、
ブロック力がないと試合で上位に勝ち進むことが難しくなっています。

もちろん、攻めることが
試合を優位にすすめることにちがいはないのですが、
お互いにそれを意識して実践する場合、
常に攻撃的に先手をとれるとはかぎらず、
やはり守備的な技術を持つ必要性に迫られているわけです。

ラケットの位置が最初から高いと
相手の強打や強ドライブボールに軽く合わせるだけで
簡単に処理でき、
しかもブロックを超えるカウンターとして
強力な反撃が可能となるのです。

以上のような理由から
とりわけ女子のスイングが顕著にかわってきたと考えられます。

ドライブのスイングフォームですが、
これも標準的な基本フォームとしては高い位置で構え、
小さいバックスイングから、
インパクトの瞬間からフォロースルーにかけて鋭く振りきることで、
パワーを高めることができます。

ドライブのスイングでも
できるだけ水平軌道でスイングすることでパワーが増し、
またラケットを前にかぶせることで、
ハーフ2バウンドの短いボールでも
ドライブをかけることができます。

もちろん、ラケットをかぶせるということは
ボールが落ちることになりますが、
これはスイングを速くすることでボールは持ちあがり
ネットを越えることができます。

ドライブのときは、
とくにグリップをやわかくして、
インパクトの瞬間にぐっと握り、
その握った力をフォロースルーのスイングの力へ
シフトチェンジして振りきるのです。

ドライブの場合も余裕のあるときは、
十分にバックスイングをとればよく、
あくまで基本は小さなバックスイングと
コンパクトなスイングです。
卓技研・秋場

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