Q&A301~310 of 卓球技術研究所t3i

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卓球301~310

310.水谷選手のようなサービスはどうやったらできますか……

いつもこのサイトで勉強させてもらっています。

質問なのですが、
水谷隼選手のようなサービスがしたくて
試合で水谷選手がよく使う
横回転系(横上や横下)の投げ上げサービスを真似しているのですが、
サービスが長く高くなってしまい、
回転も掛かっていないので打たれてしまいます。

どうやったら水谷選手のように
低くて短く回転が掛かっている
投げ上げサービスができますか?

水谷選手のサービスの特徴とは?
教えてください。
よろしくお願いします。
トム


[その6]
水谷選手のサービスの特徴、
そしてどうすれば水谷のようなサービスが出せるようになるのか? 
というご質問に、すこしていねいに説明しようと思ったら、
こんなに長くなりました。

けっきょくのところ、いままで述べてきた
サービスに関する基本的なポイントをしっかりマスターしていないと、
とても水谷レベルのサービスを出すことはできないということです。

サービスは相手のボールをリターンするのではなく、
自分でトスして自分で打つ、独特なポジションにあります。

相手に影響されないで、
自分でさまざまな打球の「加工」ができます。
そして可能なかぎり、自分のオリジナルに加工すべきなのです。

そしてこのサービス独特のポジションをフルに活用して、
常にオリジナル性を維持するために更新するといいでしょう。

この「更新」において、
水谷の右に出るプレイヤーは日本男子にはいないはずです。

水谷が全日本5連覇の偉業を達成できたのは、
こういった具体的な技術更新による裏付けがあってのことです。

サービスは試合を優位に進めるうえで絶対的なポジションにあり、
このサービスをうまく活用しない手はないのです。

ものすごく簡潔にいえば、
試合に勝とうと思えばサービスがうまくなることです。

さらにそれを続けたいのなら、
自分のサービスをたえず進化させるように「更新」することです。

水谷の強さは、まずメンタルの強さ、
それにどうすれば試合に勝てるのか
ということを徹底的に指向した合理性にあります。

その合理性を追求するなかから、
必然的に編み出されるのが、
水谷のその巧みなサービスなのです。

さて初めて対戦する相手で、
その対応にもっともやっかいなのがサービスです。

ラリーの球質もそれぞれプレイヤーによってちがっていますが、
サービスはそのサービスの球質や変化はもちろん、
その構えやスイング・フォーム、出すタイミングなど千差万別です。

なので、はじめて対戦する相手のサービスは、
それにうまく対応するのに時間がかかるものです。

自分のサービスを強力な武器とすべきポイントはここにあります。

そう、再戦する相手にも、いつも対戦する相手にも、
初戦で対戦するようなサービスを出せば、
優位になることはまちがいないでしょう。

ここをポイントにサービスの練習を重ね、
また自分オリジナルのサービス戦略を構築し、
さらに対戦相手によってサービス作戦を変えることです。

そして、これを面白がって、楽しくやることです。

サービス練習はひとりでやることが多く、
あまり楽しいものではありません。

でも、モノゴトはなんでもそうですが、考えようです。

楽しくサービス練習をやろうと思えがいくらだってできるものです。

とても勝てそうにない相手だって、
サービスではアイデアと練習量によっては、
十分に勝つことができます。

そして、そのサービスの優位によって、
そのとても勝てそうになり相手にも勝つようになるのです。

いま壁にぶちあたっているプレイヤーは、
いちど自分のサービスを一から見直し、
自分オリジナルの強力なものに変えてみることです。

サービスから突破口が開かれます。
秋場龍一

[その5]
4の「どのコースにくるのかわかりにくい」についてですが、
サービスの回転の種類とともに、
どのコースにくるのか実際にボールが飛んでくる
ぎりぎりまでわかりづらいサービスというのは
レシーバーにとってやっかいなものです。

しかし、サービスの変化をつけることには熱心でも、
意外というか片手落ちというか、コースどりは無頓着で、
じつにイージーなコースにしか出さないプレーヤーが多いものです。

サービス戦略を構築するうえで、
回転量、回転の変化とともに、
コース取りはしっかりと押さえておきたいものです。

まず、サービスのコースの基本的なポイントをあげてみます。

1.台上ツーバウンド

2.ロングサービス

3.ハーフツウバウンド

4.フォア前

5.ミドル

こんなところでしょうか。

とくに1と2は絶対的基本です。
最低限この2ポイントのサービスを出せないと、
卓球の試合をする資格がないとさえいえるでしょう。
初級者は1と2をまずマスターしましょう。

とくにダブルスは1のツウバンドをするサービスを出せないと
試合にならないときがあります。

ダブルスはサービスのコースが半面しかないので、
レシーバーはほぼフォアハンドだけで対応することが可能で、
台からちょっとでもオーバーする球なら、
ドライブや強打しやすいからです。

また、ロングサービスはスピン系、スピード系のどちらであっても、
エンドラインぎりぎりに出せることが必要です。
中途半端に長いとレシーブ攻撃のエジキになります。

この1と2はコースだけを考えるなら、
比較的早くマスターできますが、
これに回転の変化をつけると俄然むずかしくなります。

ためしに、よく回転のかかったバックスピンサービス(下切れ)の
AとBを出してみてください。

Aなら、台上でボールがネットの方に戻ってきますか? 
Bならエンドライン10センチ以内に入りますか? 

このごく基本的な下切れも、
初級者はもちろん、中級レベルであっても、
そうはなかなかこのAとBは出せないものです。

この1と2をマスターすれば、
あとの3.4.5は応用で比較的簡単にマスターできるものです。

そして、1~5をマスターすれば、
そこに回転の変化やスピン系とスピード系を織り交ぜることで、
重層的なサービス戦略を構築することができるのです。

上記については、
卓球を少しかじった人ならだれでも理解していることですが、
これが実戦の場では意外と軽視されているので
あえて言及してみました。

さて、「どのコースにくるのかわかりにくい」ですが、
これも回転の変化と同じで、
コースどりについても、
どのコースにも「同じフォーム」で出すようにすることです。

たとえば、フォア前のスピン系サービスと
バックサイドのスピード系の組合せたサービス戦略を考えたとします。

レシーバーの立場なら、
この2種類のサービスが、
サーバーがサービスするぎりぎりまでわからなければ、
かなりのプレッシャーがかかることはまちがいありません。

台のフォア前とバッククロスの対角線上に
大きく動いて処理するサ-ビスなので、
レシーブの始動が遅れれば遅れるほどレシーブがあまくなるととにも、
その遅れは4球目の対応にも比例してくるからです。

「どのコースにくるのかわかりにくい」サービスですが、
同じフォームで出すほかに、
もうひとつ高度なテクニックがあります。

「高度」といっても、マスターするのに、それほど難しくはありません。

それはサービスでトスをして、
ボールが落ちてくるまでに
「ため」と「タイミング」をずらすことです。

ためとは、前述したように、
イチ・ニ・サンのタイミングのニとサンの間に
「の」を入れることです。

この「の」を、
さきほどのフォア前とバックサイドの組合せた
サービス戦略を例にすると、
フォア前を出すフォームに取り入れるのです。

そしてこれがマスターできれば、
この「の」が入ったフォア前サービスのタイミングから、
バックサイドへのスピード系サービスを出すのは容易です。

相手レシーバーから見れば、
サーバーのフォームはフォア前で、
そこに「の」の1タイミングの間があくので、
フォア前へ引っ張られるように出てしまいがちです。

そこにバックサイドへスピード系の深くて速いサービスを出されたら、
攻撃どころか、詰まって守備的な対応しかできなくなるのです。

この「の」の「ため」をつくることで、
フォア前とバックサイドの両方のサービスの効果が高まるのです。

そして、この「の」を基本にして、
「の」にさらに「の」をプラスしたり、
あるいは「の」をなくしたりすることで、
レシーバーの「タイミングをずらす」ようにするのです。

そうすればさらにレシーバーはコースの読みと、
打球へのタイミングを合わせにくくなり、
レシーブはもちろん4球目への対応も困難になります。

[その4]
きょうは3の「回転の方向が判断しづらい」サービスについてです。

まあ、ここがサービスのキモといっていいでしょうね。
どうすればレシーバーにたいして、
そのサービスの回転方向の判断を誤らせるのか。

これはもう、マジックというか手品の領域にもはいるわけです。
はい、いかにして人をあざむくのか、です。

そのテクニックをサービスで競っているわけです。
「あざむく」というのは、
マイナスというかダーティなイメージがありますが、
これをスポーツとかゲームのなかで、
われわれ人間は愉しんでいるわけであります。

実生活で人をあざむくと心が痛んだり、
また場合によっては犯罪になることもあります。

なのに、スポーツやゲームでは、
対戦相手をまんまとあざむいたときは
しめしめととても愉快になったりするのです。

まあ、人間はヘンというかふしぎな動物ですね。

では、どうすればレシーバーを「あざむく」ことができるのでしょうか。

それは人の目の錯覚を利用することです。

よく「百聞は一見に如かず」なんていいますが、
実は目はだまされやすい感覚器官なんです。
われわれはモノの動きそのものを見ているようで、
実はとっても不正確というか
あいまいにしか認識していないものです。

そのあざむき……いやいや巧みな変化サービスのコツを
列挙してみましょう。

1.サービスのフォームを同じにする。

2.サービスのスイング・スピードを同じにする。

3.目の残像を利用する。

4.視覚の弱点を利用する。

まず、1と2は、よく理解いただけると思います。

野球で投手が変化球を投げるとき、
「直球を投げるときのように腕を振れ」といわれます。

どうしても変化球のときは、腕の振りが鈍くなるのですが、
巧い投手は直球も変化球も同じフォーム、
同じ腕を振るスピードなのです。

これと卓球のサービスとは同様のことがいえます。

これは打者やレシーバーにたいして、
その球種を判断する時間をできるだけ遅らせることが
効果的であることを意味します。

要は打者やレシーバーに
そのピッチングやサービス動作によって、
その球種の正確な情報を取られないようにする、ということです。

では、どうすれば1と2の条件を満たしたサービスが可能でしょうか。
それは……。

A.ラケットにボールをあてる場所。

B.打球ポイント。

Aはバックスピン(下切れ)とナックルサービスを
組合せたサービスのとき、
下切れはラケットのスイング進行方向の先端部
(右利きのフォアハンドならラケットの左側先端部)
の場所で当てるとよく切れ、
その反対方向にある場所で当てるほど切れなくなります。

Bはサービスのスイング軌道の一連の同じ動きのなかで、
打球するポイントによって変化をつけます。
このテクニックはサイドスピン系サービスでよく用いられ、
横下から横上までの上下の変化を見極めにくくさせます。

3ですが、
レシーバーはとうぜんサーバーのインパクトを見るものですが、
しかしサービス・スイングのフィニッシュの
ラケットの角度や動きが残像というか、
目に印象づけられてしまうものなのです。

これを利用して、
サービスしたフィニッシュの動きや角度を
どんなサービスでも同じにしたり、
あるいはそのサービスの回転とは
異なる方向性のラケットの動きをします。

この残像利用のテクニックとしてよく用いられるのが、
ラケットの「返し」です。

たとえば下切れサービスを出すとすると、
ふつうにやればラケット面は上を向いてフィニッシュしますが、
これをフィニッシュでかぶせるように返すのです。

こうするとかぶせたラケット面がレシーバーの目に残り、
下切れではなく上切れやナックルサービスのような動きに見えるのです。

そしてこの「返し」テクニックを徹底してやっているのが水谷です。

4はちょっと高度なワザなのですが、理屈は簡単です。

真正面でものの動きを見たとき、
それがまっすぐに動くと、その距離感をとるのは難しいものです。
目の認識性の弱点です。

野球の外野フライで真正面のライナー性のあたりは
どこまでボールが飛んでくるのか、
その飛距離の判断が難しいものです。

だから、そんな当たりが飛んだときは、
捕手や投手が腕をあげて外野手に示しています。

卓球のサービスの動作も、
ラケットの動きでこの目の認識の弱点を利用します。

このサービスを文章だけで説明するのはかなり困難です。
このサービスを実際にレシーブすると、
ほんとうに手品にかかったように、
自分が判断したとは逆の回転になっています。

もうみごとにあざむかれるのです。
そして、そんなサービスを操るのがトッププレーヤーだけかというと、
けっしてそんなことはなく、
地域の卓球場にもいたりするものです。

ですから、水谷のようなセンスはなくても、
ふつうのセンスのわれわれだって、
サービスのテクニックでは、
アイデアと訓練によっては
水谷レベルに近づくのも決して不可能ではない
ということです。(つづく)
秋場龍一

[その3]
きょうは2の球速(スピード系)についてです。

サービスには大きく分けてスピン系とスピード系があります。
実戦ではスピン系が圧倒的に多く、
スピード系は少ないものです。

なぜかといえば
スピード系はとうぜん台から大きく出るロングサービスなので、
レシーブ攻撃を受けやすいからです。

しかし、スピード系サービスを試合の局面でうまく使うことで、
サービス戦略全体を優位にすることができます。
その効果をあげてみましょう。

1.スピード系は得点効果が高い。

2.スピード系を使うことで、スピン系が効果的になる。

3.相手レシーバーの攻撃態勢を減衰させる。

まず1ですが、スピード系は前述したように、
相手のレシーブ攻撃を受けて失点する可能性が高い半面、
サービスそのもので得点する確率も高いサービスです。
ハイリスク、ハイリターンのサービスといえます。

なんといっても「スピード系」というくらいで、
スピードある打球は普遍的な攻撃性を有しているからです。

ただし、サービスの場合、
いったん自陣にバウンドさせなければならないので、
そのスピードは直接相手陣に打ちこむラリーと違って減少します。

そこで、スピード系サービスにもスピンをまぜることで、
サービスの攻撃力を増加させるとともに、
レシーブ攻撃を減衰させるようにするといいでしょう。

基本的にはトップスピンとナックルです。
トップスピンの場合、相手コートでバウンドするとき伸びるので、
レシーバーは踏み込んでの強打や強ドライブがしづらくなります。

またスピード系ナックルはひじょうに対応がむずかしく、
レシーバーが予測していない場合は
ネットミスになる可能性が高くなります。

また、サービスのインパクトの瞬間を速く、
しかもバックスイングからフォロースルーにかけての
動作を巧妙にすることで、
トップスピンからナックルか、
レシーバーはなかなか判断しづらいものです。

つぎに2ですが、スピン系サービスばかりを使っていると、
相手レシーバーは対応がやりやすくなります。

野球でいうと、変化球ばかり投げてくる投手というわけで、
打者はタイミングがとりやすのです。
卓球ではレシーバーは踏み込みやすくなります。

もちろん、スピン系にもロングサービスはありますが、
スピード系とくらべて球速は劣りますので、
余裕をもって対応できるわけです。

そして、逆にいうと、サービスの主体はスピン系であっても、
そこに時折スピード系を混ぜることで、
レシーバーは踏み込むことが容易ではなくなり、
スピン系の効果が倍加するのです。

3は2との関連ですが、
サービスとレシーブは試合の主導権を握る大きなポイントです。

とくにレシーブで相手に優位に立たれると
メンタル的にも劣勢を余儀なくされます。

また、対戦相手によっては、
レシーブで踏み込んでどんどん攻撃を仕掛けるタイプには、
スピード系を出すことで、
前の踏み込みを牽制する必要があります。

さらに、スピン系へのレシーブは巧みでも、
スピード系はからきし弱いというプレーヤーも少なからず存在します。

ふだん、あまりスピード系サービスを
出すプレーヤーがいないものだから、
不慣れということもあるのでしょう。

やはりスピン系とスピード系の二系統のサービスをもつことは
絶対に必要です。

スピン系サービスはほぼすべてのプレーヤーがもっていますが、
なかにはスピード系を
まったくマスターしていないプレーヤーも多くいます。
ぜひ、これを機会にスピード系を
自分の「もちサーブ」にしてください。

効果的なスピード系サービスの出し方のコツは、
バックスイングからインパクトのサービス動作のとき、
一瞬「ため」をつくることです。

イチ・ニ・サンのタイミングのなかの、
ニとサン(インパクト)に「間」をとるのです。

野球の投手でいう「ため」です。
このためがあると、打者はタイミングをとりづらいのです。

イチ・ニ・の・サンという感じです。
このようなため、間である「の」が入ると、
レシーバーは一種本能的にその分、前のめりになり、
スピード系の速くて深いサービスにつまるのです。

もちろん、スピン系もスピード系もバックスイングからインパクトまで、
可能なかぎり同じ動作にしたいものです。

とくに、バックスイングからインパクトまでと、
フィニッシュでもすべてのサービスと同じ動作をするように
カモフラージュするのです。

また、スピード系はバックハンドサービスが出しやすいものです。
最近のプレーヤーはバックハンドサービスが少なくなりましたが、
マスターしてもけっして損ではないと思います。

とくにバックハンドサービスは、
スピン系とスピード系を出すときのサービスの出どころというか、
レシーバーからすればどちらがくるのか、
ぎりぎりまでわかりづらいのです。
さらに、バックハンドサービスに慣れていないプレーヤーも多く、
試合ではよく効くことがあります。(つづく)

[その2]
きのうの「その1」は
サービスの基本中の基本について解説してみました。

きょうの「その2」は
テクニカルなサービスについて展開してみます。

そして、ご質問の水谷選手の
サービス・テクニックの領域に届けばと考えています。

では、どんなサービスが効果的か、具体的にあげてみましょう。

1.回転(スピン系)がかかっている。

2.球速(スピード系)がある。

3.回転の方向が判断しづらい。

4.どのコースにくるのかわかりにくい。

5.バウンドして曲がる。

6.タイミングがとりづらい。

まず1です。
回転がかかっている、
なんて当たり前だと思われるかもしれませんが、
これがほんとうに高速回転のサービスなら、
わかっていてもレシーブできないこともあるのです。

たとえばバックスピン、そう下切れですね。
あ、下切れだ、しかもかなり切れていそうだ、
とそのサービスを読み、事実下切れであっても、
ネットにかけてしまうことがあります。

これは下切れのその切れ方、
つまり回転数が自分の想定を超えていたときに起きます。

一般的によく切れているサービスの回転数よりも、
ほんのわずかそれを上回ると、
わかっていてもリターンできなくなるのです。

実際の回転数とは違いますが、
仮に通常では1秒間に100回転の下切れが、
よく切れている回転数だと認識されているとします。
そのとき101回転以上であれば、
がぜん効果を発揮しはじめます。
それが105回転であれば、
もうその効果は絶大です。

相手のレベルによってもちろん、その効果は異なりますが、
相手によっては試合中ずっとネットにかけてくれます。
上位レベルであっても、
最初のサービスはネットミスする確率はかなり高くなります。

私は上位者Aと試合をしていると仮定します。
もちろん、上位者のAですから、
学習効果をすぐに発揮して、
次回からのネットミスはしなくなりました。

だけどAにかかるプレッシャーはかなり大きなものになります。
そう、Aは私の下回転サービスが
猛烈に切れていることをインプットしたわけです。

ということは、Aは私の下切れサービスにたいして、
かなり集中した神経でレシーブしなければなりません。

なぜなら、通常の下切れサービスよりも、
もっとラケット角度を上向きに開かなくてはならないからです。

いつも出すマックスの角度より、
さらにそれを超える角度を出すというのは、
かなり神経をつかうものなのです。

おまけに下回転です。
ラケット面を上に開くというのは、
それなりの勇気がいるものですよね。
そう、開きすぎてしまうとリターンが高く浮いてしまって、
相手の3球目攻撃のエジキになるからです。

どういうのか、面を開くというのは、
卓球プレーヤーとして一種本能的な恐怖があるものです。

そして、レシーブに注意がいけばいくほど、
神経質になればなるほど、
つぎの4球目への態勢がおろそかになるのです。

レシーブから4球目への連続した身心のスムーズな流れが
断絶するような状態になるのです。

こうした格好の例が昨年1月の全日本男子シングルス決勝です。

そう、水谷対吉田戦で、
吉田は水谷のサービスにミスを重ね、
またレシーブするものの、
そのレシーブに注意が向きすぎて
4球目攻撃につながりませんでした。
そして、結果的に吉田は完敗したのです。

なので、通常の最高回転数レベルよりも
わずかに多い回転数のサービスをマスターすると、
その効果は絶大なんです。

そう、たとえその回転の方向が相手にわかっていても。
そうですね、一般の回転数の平均マックスが
仮に1秒間に100回転だとすると105回転であれば、
その絶大な効果を保証します。

5パーセントのアップが、サービス効果を数倍にも高めるのです。

そして、またこんな効果も期待できます。
下切れ105回転を何回か出しておいて、
100回転を出すとします。

これを相手は105回転と同じ角度でリターンすると、
その打球は浮きます。

しかも同じよく切れた下回転サービスなので、
レシーバーがその回転数を見分けるのは至難の業です。

おまけにサーバーは、105と100回転のサービスを出すには、
ほとんど同じラケット角度、スイングスピード、打球ポイントで、
サーバーのほんのちょっとした手加減で
この変化をつけられるのです。

ご理解いただけたでしょうか。
ほんとうによく切れたサービスの効果のほどを。

水谷選手のサービスは、
そのサービスの種類を読むことも難しいのですが、
実はその回転数も通常の平均マックスを上回っているので
高い効果を生んでいるのです。

ここで卓技研の読者に、
試合で効果絶大のサービスをそっと教えちゃいましょう。

バックスピン・サービス。
それを相手のフォア前、
それに相手バックサイドへロングサービスを出してみてください。
ただし、あくまでほんとうによく回転がかかっていること。
それにロングサービスはエンドラインぎりぎりに深いことです。

[その1]
お答えします。

水谷選手は全日本で5連覇を成し遂げました。
その要因はサービスに負うところが多いのです。

水谷の強さのポイントは数多くありますが、
なかでもサービスの巧みさは、
国内はもちろん世界でも屈指です。

彼は毎年、新しいサービスを開発し、
全日本に臨んでいます。

試合で勝つにはサービスが良くなければならない、
ということを彼はだれよりも理解しているのです。
だから、前人未到の全日本5連覇を成し遂げた
といっても過言ではないでしょう。

日本人プレーヤー、それに日本の指導者の多くは、
ロング系のスイング・フォームの指導や
その練習時間には多くを割きますが、
サービスについてはそれにくらべるとはるかに少ないものです。

まず、サービスを出すための基本的なポイントをあげましょう。

1.自分のプレースタイルを考えて、主要サービスを決める。

2.自分のプレースタイルを考えて、サービスを出す位置を決める。

3.まっすぐ上にボールをトスする。

4.ボールを投げ上げ、落ちてくるまでのタイミングを覚える。

5.バックスイングとインパクトまでのラケットの動きを
重心移動によってリードする。

6.サービスの長さと、第一バウンドの落とし場所を覚える。

以上がサービスの基本中の基本です。

まず、1と2ですが、
サービスは自分のプレースタイルと密接に関連しているので、
どういうサービスをいちばんにマスターすれば
自分のプレーがやりやすいのか、
まずそれを決めてから、
サービスの種類
(スピン系・スピード系、ショーサービス、ロングサービスなど)
とサービスのプレースポイントの優先順位を決めましょう。

3ですが、投げ上げサービスは
まずまっすぐ上にトスできることが大切です。
1メートル以上になると少し斜めになるだけで、
ボールが落下してくる位置がかなりずれてきます。
まずは正確にまっすぐ上に投げ上げる練習をしましょう。

4このタイミングも大切で、
試合で思わぬサービスミスの原因のほとんどが、
タイミングの微妙な狂いです。
試合であせったりすると、
どうしてもふだんの練習のときよりタイミングが早くなって
ネットミスやオーバーミスの原因になります。

5ですが、サービスの巧みさは、
腕や手首、手だけの動きではなく、
腰から下の重心移動の動きが重要です。
ミスがすくなく、
ねらったコースや回転の変化を思い通りにするには、
重心のリードによって
サービスのスイングをおこなうようにしましょう。

6ですが、台上で2バウンドするショートサービスや
エンドラインぎりぎりのロングサービスを出すのは難しいものです。
このねらったコースに出すためには、
サービスの第一バウンドの落とす位置できまります。
ショートサービスはネットに近く、
ロングサービスはエンドライン近くが基本となります。

ボウリングにはスパットという
ボールを落とす7つの三角形のマークがレーンに印されています。
スパットはねらった所に投げるために利用するものですが、
卓球のサービスも正確なコースに出すには、
そのコースに適したスパットを覚えておく必要があります。(つづく)

309.卓球選手の筋トレはどうすればいいのでしょうか……

自分は高校生のカットマンです。
カット以外にもドライブやサービス・レシーブなど
色々と参考にさせていただいてます。

これからも参考にして
練習に励んでいきたいと思っています。

トレーニングについての質問です。

自分はあまり筋力が無いので、
筋トレやランニングを初めてみようと考えています。

卓球選手が筋トレやランニングなどのトレーニングで
やったほうがいいもの(腹筋や背筋など)や量、
トレーニングをやるにあたって
意識するべきことなどについて教えてください。
カットマンI・Y


[その1]
お答えが大変遅くなり申し訳ありません。

筋トレについてですね。
卓技研では、フィジカルの大切さを説きながら、
その具体的なメソッドについて
あまり解説してきませんでしたね。

まず、フィジカルトレーニング(筋トレ、ストレッチ)の
「意義」について挙げてみます。

1.技術力を援助して、プレーのパフォーマンスを高める。

2.柔軟性、筋力を高めることで故障予防に役立つ。

3.スピードとパワーを高める。

4.スタミナ(持久力)を高める。

「1」は「3」「4」と重複しますが、
「1」の意味をよく理解することが大切です。
でないと、ただ筋肉をつけることに意識が向いてしまい、
なんのためにフィジカルトレーニングをやっているのか
わからなくなっていることがあるからです。

くれぐれ、筋肉ムキムキのボディビルダーを
めざしているわけではない、ことをお忘れなく。
もし、必要以上の筋肉をつけてしまうと、
体の動きがわるくなり、
また技術的感覚も鈍磨することになるでしょう。


大切なのは「卓球プレーがよりよくなるために」
フィジカルトレーニングをやる、ということです。

実は、筋トレはメリットだけではありません。
はっきりとデメリットもあります。
筋トレをやればやるほど、
そのスポーツ種目のパフォーマンスにとって
悪影響がでることもあるのです。

そのひとつに筋トレの開始時期があります。
何歳から始めるのか、これにも注意が必要です。

成長期の子供は骨格筋が未発達で、
その時期に過激な筋トレをおこなうと
障害が出る場合があります。

また、そもそも、体の小さい低年齢のころに筋トレをやっても、
その効果はあまり期待できません。
なぜなら、体を大きくするために成長ホルモンが使われ、
筋肉にはあまりまわらないからです。

では、いつごろがいいのかといえば、
体の成長期が終わる
18~20歳ぐらいが適切であるとされています。
ただし、中3~高1ぐらいから、
ソフトな筋トレをはじめても問題ないでしょう。

また、中高齢の方には、
ぜひ適切なフィジカルトレーニングをおすすめします。

とくに、練習や試合前に、
十分なストレッチは欠かせません。

なんの準備運動もなく、いきなり打ち始めて、
アキレス腱、膝、肩、腰、腹、首、足首などを
痛める人をよく見かけます。
また、実際に経験した人も多いことでしょう。

とくに中高年は筋力のおとろえや柔軟性不足から
膝をこわすケースが多いようです。
レディス大会で膝にサポーターをしている選手を
よくみませんか。

加齢とともに、筋力や骨、
それに柔軟性が弱まります。
ですから、膝の故障を予防するには、
ストレッチやウォーキング、スクワットをして、
股関節や膝の柔軟性と
膝周囲の筋力を高めることが大切です。

以上のことをよく踏まえたうえで、
卓球選手にふさわしいフィジカルトレーニングを述べます。

[その2]
では、卓球選手にふさわしい筋トレとは
どういうものでしょうか。

筋トレというかフィジカルトレーニングの基本中の基本は、
「卓球に必要な身体は卓球でつくる」ということです。

ボールをつかってプレーをすること、
つまり卓球をすることそのものが、
フィジカル・トレーニングも兼ねているということです。

じゃあ、ウエイト・トレーニングなど、
特別な筋トレは必要ない、ということでしょうか。
いや、そうは言っていません。

「卓球に必要な身体は卓球でつくる」には、
適切な技術練習をおこなう必要があります。
正しいプレーの動きは、
卓球に必要な筋トレをしているということなのです。

まあ、「正しいプレー」なんて、
言うことはたやすいですが、
実際にはなにが正しくて、正しくないのか、
なかなかつかめないものです。

しかし、「正しいプレー」をすることを心がけていると、
自分のプレーをもう一人の自分が観察するという意識ができます。
はい、卓球にかぎらず、自己成長のカギは、
自己観察力にかかっています。

そして、たえず「正しいプレー」を意識していると、
ボールを打つ練習中に、
こういうプレーのときは、
この部位の筋肉をつかっているということを発見します。

それはときとして、
その身体の部位に大きな負担を強いていることがあります。

そして、その「発見」から、
ふたつの課題が浮かび上がります。

それは、その部位を強化すれば、
そのプレーのスピードやパワーが高まるということ。

もう一つは、果たしてそんな一部の部位に
極端に負担がかかるプレーをしてもいいのかどうか。
そんなプレーやスイング・フォーム、フットワーク動作など、
技術的な課題も浮かび上がるのです。

例をだしましょう。
たとえば前陣での速いピッチでのラリー戦で、
フォアサイドにボールがきたときです。

十分なバックスイングや下半身をつかう
時間の余裕はありません。

そんなとき、とっさに上半身のひねりだけのスイングで
カウンター強打のようにかたちできめたとします。
コンパクトなスイングだったのですが、
鋭い打球で相手コートを切り裂きました。

そして「発見」します。
いま、「腹筋をつかって打ったぞ」と。

そして、これからすべき課題が浮かび上がります。

ひとつは、腹筋を鍛えよう。

もうひとつは、この打ち方でいいのか。
この打ち方でいい結果がでたので、
この打ち方を練習メニューのなかに取り入れてみよう。
また、こんな上半身、
とくに腹筋に依存した打ち方でいいのか、
ほかにもっといい打ち方はないものか……というように。

冒頭にあげた、「卓球に必要な身体は卓球でつくる」
という真意はここにあります。

そして、「卓球に必要な身体は卓球でつくる」は、
こう深化します。

「自分の卓球にとって必要な身体は卓球でつくる」――と。

つまり、プレースタイルやそのプレーヤーによって、
負荷がかかる身体の部位(筋肉)も異なるということです。

そう、中陣でフットワークをいかして
フォアハンド主体で動きまわるドライブマンと、
前陣で速いピッチ打法を主戦とする速攻タイプ、
あるいは左右のほか、前後に大きく動くカットマンでは、
そのフィジカル・トレーニングも異なるということであり、
またそのカットマンのなかでも、
プレーヤーによってプレースタイルが異なるので、
自分に合ったフィジカル・トレーニング(筋トレ)が
必要となってくる、ということです。

ボールを使った練習のなかで、
自分の卓球にとってどういうフィジカルトレーニングが必要なのか
を発見することです。

[その3]
プレースタイルや個々のプレーヤーに適した
フィジカル・トレーニングが必要だということは
ご理解いただけたでしょうか。

自分にはいったいどういったフィジカル・トレーニングが必要なのか、
を考えることは、
自分のプレーを自分で客観的に評価することにつながり、
テクニカルな面での成長につながるのです。

きょうは具体的なフィジカル・トレーニング(PT)の
メニューについて述べてみます。
以下を参考にして、「自分の卓球」に適した
「オリジナル・パーソナル・メニュー」を作ってみましょう。

1.普遍的PT……すべての卓球プレーヤーに適している。

2.戦型的PT……プレースタイルに適している。

3.個人的PT……プレーヤーの個別スタイルに適している。

4.特異的PT……個別的な故障予防、弱点強化に適している。

以上の4項目は、1の普遍的なものから
次第に個別的なものに考えたものです。

では1を具体的に提示しましょう。

1.普遍的PT

a.ウォーミングアップ
▶怪我の防止。
▶肉体的アイドリングによる技術練習のパフォーマンスの向上。
▶さあ卓球をやるぞ、というメンタル面での準備と集中力の向上。
▶柔軟性のアップ。

b.クールダウン
▶疲労回復の向上。
▶故障予防。

c.ランニング
▶持久力増進。
▶下半身強化。

d.プライオメトリックス
▶スピード、瞬発力を高める。

以上のなかでabcはよく知られたものです。
ただし、卓球の場合、
aとbがおろそかになってことが多いようです。
とくにaをしっかりやるのとやらないとでは、
技術練習でのパフォーマンスが格段にちがってきます。
また、ウォーミングアップへの認識が低い
卓球指導者も多く見受けられます。

cのランニングの効用は大きいものです。
トーナメント大会で勝ち進んでいくと、
1日で決勝まで7、8回試合をすることはよくあり、
また地域の大会でもかなり多くの試合をするものです。
とうぜんスタミナが要求され、
それを強化するにはランニングがいちばんのメソッドでしょう。

さらに下半身強化にもランニングは打ってつけです。
走り込むと、
ほんとうにフットワークがよくなることが実感できます。

ランニングが苦手だという人が多いと思います。
それはクラブで競争させられたり、
速く走らねばという思い込みがあるからではないでしょうか。
ランニングは自分のペースでゆっくり走ればいいのです。
移り行く景色を愛でながら、
皮膚にあたる風を味わう……という感じで、
のんびりと走ることを楽しみましょう。

さて、dのプライオメトリックスはご存知でしょうか。
これは瞬発力、ジャンプ力、ダッシュ力に効果のある
パワーアップ向上のためのメソッドです。

あすはこのプライオメトリックスのなかで、
卓球に有用なメニューを紹介します。

なお、このプライオメトリックスについて詳しく知りたい方はこの本
(有賀誠司著『DVD付 パワー獲得トレーニング』新星出版社)
をご覧いただくといいでしょう。

[その4]
さて、卓球プレーヤーに有用な
プライオメトリックスを利用した
フィジカル・トレーニングメニューです。

具体的なメニューを紹介するまえに
プライオメトリックスとは、
どういうトレーニング・メソッドなのか
お知りになりたいことでしょう。

『DVD付 パワー獲得トレーニング』では
プライオメトリックスについて、
冒頭に次のように述べています。

「プライオメトリックスとは、
神経や筋肉および腱の機能
(具体的には伸張反射や筋・腱の弾性)
を改善することによって、
短時間内に大きな力を発揮する能力
(爆発的パワー)を高めることを主目的としたトレーニングです。

プライオメトリクスのトレーニング方法は、
各種ジャンプ運動や、
メディシンボールを用いた運動などがあり、
すばやい切り返し動作を伴う
パワフルな動きが特徴的です」

なお、「伸張反応」とは、
「急激に引き伸ばされた筋肉を、
反射的に短縮させることで損傷などから
身を守る防御反応のこと」であり、
また「爆発的パワー」とは、
「短時間内に大きな力を発揮する能力は、
一般に「瞬発力」がよく使われていますが、
スポーツ科学の分野では、
専門用語として
「爆発的パワー」が使用されています」
と述べています。

要するに、伸張反応や筋肉と腱の弾性を利用して、
瞬発力を高めるフィジカル・トレーニング・メソッドです。

[卓球に有用なプライオメトリクス・メニュー]

●下半身トレーニング
数種類あるが卓球には「切り返し型」がよい。
リラックスしてリズミカルに、
縄跳びをするイメージでおこなう。

「リラックス・両脚上方ジャンプ」
1セット10~15回×2~3セット
両脚をそろえた直立姿勢から
膝と足首を曲げ、真上にジャンプ。
膝と足首のクッションを利用する。

「リラックス・両脚側方往復ジャンプ」
1セット10~15回×2~3セット
両脚をそろえた直立姿勢から
膝と足首を曲げ、
両脚で左右にジャンプ。
膝と足首のクッションを利用する。

「リラックス・片脚交互側方往復ジャンプ」
1セット10~20回×2~3セット
両脚をそろえた直立姿勢から
膝と足首を曲げ、
右脚でキックし左側に跳び上がり、
左足で着地した後、
左脚でキックし右側に跳び上がり、
左足で着地。
膝と足首のクッションを利用する。

「足首を使った両脚上方ジャンプ」
1セット10~15回×2~3セット
両脚をそろえた直立姿勢から
膝の関節をがちっと固定したまま、
真上にジャンプ。
足首のクッションを使う。
着地するとき、
踵がつかないように。

●体幹トレーニング
パワーの源泉は体幹にある。
1~2キロのメディシンボールを使う。
2人で組んでおこなう。

「シーティッド・トランク・ローテーション」
1セット10回×2~3セット
背中合わせに脚を伸ばして座り、
片方が胸の前で両手でボールをはさむように持ち、
上半身をひねって、
パートナーにボールを渡す。
パートナーは上半身をひねって受け取る。
受け取ったボールを
反対の方向に上半身をひねって
片方のパートナーに渡す。

「スタンディング・トランク・ローテーション」
1セット10回×2~3セット
背中合わせに直立姿勢で立ち、
片方が胸の前で両手でボールをはさむように持ち、
上半身をひねって、
パートナーにボールを渡す。
パートナーは上半身をひねって受け取る。
受け取ったボールを
反対の方向に上半身をひねって
片方のパートナーに渡す。
腰の位置を固定し、
上半身を大きくひねる。

「スタンディング・ツイストスロー」
ボールを両手ではさむように
腰の高さに持ち、
直立姿勢で立つ。
真横に投げるのだが、
いったん投げる方向とは反対にひねり、
上半身を素早く切り返しながら戻し、
ボールを全力で投げる。

以上の他にも卓球に効果的なメニューはありますが、
ここでは代表的なものをピックアップしました。(つづく)

参考文献
(有賀誠司著『DVD付 パワー獲得トレーニング』新星出版社)

[その5]
きのうご紹介した「卓球に有用なプライオメトリクス・メニュー」ですが、
文章ではちょっと理解しにくいかもしれません。
それほど、難しいものではありませんから、
数度読んでいただくと
すぐにやり方を覚えていただくことができるでしょう。

下半身と体幹だけのメニューですが、
これはどんな戦型であっても普遍的に効果のある、
卓球プレーヤーにとって必須のフィジカル・トレーニングです。

また、とくにドライブは下半身と体幹の強靭さによって、
その打球パワーに大きな差が生まれますが、
このメニューはドライブのパワーアップに
極めて効果的です。

5月に開催されたロッテルダム世界選手権で、
中国と日本選手のどこに差があるのか
明確にわかったひとつがフィジカルです。

男女とも、どうひいきめに見ても、
日本と中国とではその体躯の違いは明らかで、
それがそのまま打球の威力に反映されていました。

たとえば、福原と平野はともに
中国のカットマン范瑛に負けました。
完敗に近い負け方でした。

日本女子の敗因は
パワー不足であることは明らかです。

攻撃型がカットマンと対戦するとき、
カットマンのレベルが上がるにつれパワーを要求されます。
そうフィジカルの強さが必要だということを
思い知らされるのです。

平野は日本女子では
屈指のカットマン・キラーだったはずでした。

難攻不落のカットマンであった王輝を
2008年度の女子シングルス決勝で平野は破っています。
あの平野の勝因はなんだったのでしょうか。

粘りです。
平野の不屈の粘りが奇跡の勝利をもたらせたのです。
おそらく、あの当時、
王輝に勝てる日本女子は平野をのぞいて
誰一人として存在していなかったでしょう。

そんなカット打ちの名手にして、
今回の世界選手権では、
現役中国のナンバーワン・カットマンには、
まったく歯がたちませんでした。
粘りで対応できる相手ではなかったのです。
世界のトップの次元は進化していた、
といってもいいでしょう。

福原と水谷はフィジカル・トレーニングを積み、
ここのところその体躯も明らかにたくましくなっています。

中国と対戦し、また中国の超級リーグにも参戦している彼らですから、
中国との差がどこにあるのかよくわかって、
フィジカル・トレーニングに取り組むことになったのでしょう。
平野も中国に参戦しており、
きっとさらなるフィジカルの強化に取り組むことはまちがいありません。

今後、いかに有効なフィジカル・トレーニング・メソッドを
取り入れるのかに、日本トップの展望はかかっています。

そして、トップのテーマは、すこしのタイムラグがあって、
かならず底辺に浸透してゆきます。
フィジカルの下地のないテクニックは
次第に通用しなくなってくるでしょう。

フィジカル・トレーニングのメソッドは数多くありますが、
このプライオメトリクスは
かなり大きな瞬発力(爆発力)効果が期待できます。

日本のパワー不足解消に、
このプライオメトリクスが切り札になるのです。

[その6]
既述ですが、フィジカル・トレーニング(PT)には
以下のように分類できます。

1.普遍的PT……すべての卓球プレーヤーに適している。
2.戦型的PT……プレースタイルに適している。
3.個人的PT……プレーヤーの個別スタイルに適している。
4.特異的PT……個別的な故障予防、弱点強化に適している。

紹介したプライオメトリクスは1に対応します。
つまり、どんな戦型の、どんな個性あふれるプレーヤーにも
共通して活用できるメソッドというわけです。
ですから、ぜひとも前々回「その4」の
[卓球に有用なプライオメトリクス・メニュー]を
活用されることを願います。

そしてつぎの2から
次第に個的なメソッドに対応してゆくことになります。

さて、2ですが、ここでようやくご質問の
「カットマンのフィジカル・トレーニング」とは
どういうものかを述べることになるわけです。

まず、典型的なカットマンの動きを
具体的に書き出してみます。
(これはカットマンにかぎらず、
ドライブマンも前陣速攻も、
すべてのタイプに通じることですから、
ご自分のタイプにならって、
そのおおまかな動きを、
ひとつひとつ具体的に摘出してみましょう)

A.下半身の動き(フットワーク)
1.後への動き
2.前への動き
3.左右への動き
4.バックサイドへ回る込む動き
5.フォアサイドへ飛びつく動き

B.上半身の動き(スイング)
6.斜め下に振りおろす動き(両ハンドカット)
7.斜め上に振りあげる動き(両ハンドドライブ)
8.水平から斜め下に振る動き(強打・スマッシュ)

以上、ごく大雑把にカットマンの典型的な「動き」を分解して、
動きの多いものから順にピックアップしてみました。

まず、カットマンは前陣でプレーしてから、
中陣ないし後陣へ下がるプレーが多いものです。

これは攻撃型とは明らかにその動きの頻度が違っています。
そう、カットマンは
「素早いうしろへの動き」が大切なのです。

俊敏なフットワークで下がることで、
十分なカット体勢が確保できるというわけです。
だから、カットマンは下がるための
フィジカル・トレーニングを積む必要があります。

次に多いのが前への動きです。
対戦相手のドライブや強打からストップ
というのはよくある展開です。

カットマンにとっては、
前への動きの俊敏性によって、
ストップボールは、チャンスになるし、
失点につながることにもなります。

相手のストップにいち早く対応すれば、
前へダッシュしてのバックハンドやフォアハンド強打で
仕留めることができます。
ですから、前へのダッシュ力をつける
トレーニングが必要となります。

また、1と2の動きは、まっすぐに後ろや前に動くだけではなく、
斜めへのクロスへの動きも多くあります。

以上のように、
自分のプレースタイルの典型的な動きを多い順に具体的に書き出し、
その動きをよくするための
フィジカル・トレーニングを積めばいいわけです。

では、どんなフィジカル・トレーニングがいいのかといえば、
今回のアンサーのはじめに述べたように、
フィジカル・トレーニングの基本中の基本は、
「卓球に必要な身体は卓球でつくる」ことです。

たとえば、1の動きです。
前陣でツッツキ(レシーブ)をして、
それから相手のドライブや強打に対応して下がる、
この一連のプレーを模して、
それを下半身に焦点をあて、
その下半身の動きを俊敏にする動作を繰り返せば、
「カットマンに必要な下半身がつくれる」ということになります。

ですから、
前陣でツッツキをするときの両脚のスタンスをつくり、
そこから下がる脚の動きを、
できるだけ速する――これを繰り返せばいいのです。

これで基本のメニューが1つできます。

そして、このメニューをたとえば1セット10回×3セットからはじめ、
トレーニングを積むにつれて
その回数とセット数を増やしていけばいいのです。

そして、この1の動きを基本動作として、
そこにスイングするという
Bの上半身の動きをプラスしたメニューも付け加えればいいのです。

こうやって、2.戦型的PTから、3.個人的PT、4.特異的PTという、
自分独自のオリジナルなフィジカル・トレーニング・メニューを
つくっていけばいいのです。

以上のことからすでに気づかれたと思いますが、
ごく簡単に「卓球に必要な身体」をつくろうとするなら、
多球練習をフィジカル・トレーニングとして兼用すればいいのです。

そのポイントは、
その練習生の動きの速さと動ける範囲のマックスになるように
ノッカー(送球者)が球出しすればいいのです。

この多球練習の場合、ノッカーの能力が問われますが、
もしそういうノッカーが不在であれば、
球を使わないでシャドウでその動きを繰り返せばいいのです。

今回のアンサーはとても長くなりました。
まずは、卓球プレーヤーにとって、
さらに自分の卓球スタイルにとって
鍛えるべきフィジカルとは何か、
を考ることが大切です。

卓技研・秋場


308.フォアサイドへの横回転サービスをうまくレシーブできません……

こんにちはいつも参考にさせて頂いています。
初めて質問しますH.Mです。

僕は左利きの中ペン裏裏なのですが
右利きの出す
左にとってフォアにくる横系のサーブを
レシーブ出来ません。

特に長いのが取れません。

上と下の判断はある程度つくのですが
外側に逃げていくので腕を伸ばしてしまうことになり、
当てるだけのようなドライブになり
回転の影響で飛んでいってしまいます。

また、きちんと打てたとしてもコースが甘かったりします。

このようなサーブを相手に打たれないように返すには
どのコースを狙い
どのように打てばよいのでしょうか。


お答えするのが遅くなり申し訳ありません。

フォアサイドに長く入ってくるサービスへの対応についてですが、
サーバーからしれみれば、
相手フォアサイドへロングサービスを出すというのは、
それなりの勇気がいるものです。

なぜなら、それはもちろん、
台から出る長いサービスは
レシーブの強打や強ドライブ一発で
抜かれてしまう恐れがあるからです。

左利きのあなたも、
逆に相手右利き選手のフォアサイドへロングサービスをだすのは、
勇気というか、相手のレシーブ攻撃を警戒しませんか。
それと同じことです。

できれば、こんなフォアサイドへのロングサービスにたいしては、
一番最初に出されたとき、
強打や強ドライブ攻撃で得点しておくべきです。

相手はまあ、一種の賭けで
フォアサイドへロングサービスを出してきてるわけですから、
そこはきっちりと叩いておくべきです。

この初回のサービスで、中途半端にレシーブしたり、
あるいはミスったりすると、
相手はゲームの要所で使ってくる可能性があり、
そうなると相手にとって他のサービスも効果的になり、
相手の思うツボです。

いやミスしてもいいんです。
攻撃でのミスなら。

いけないのが、中途半端にレシーブしたり、
消極的や守備的に対応することです。

こうなると、相手に精神的に優位な立場に立たれるのです。
はい、「ナメられる」わけです。

だって、相手からしたら、
「打てるものなら、打ってみろ」というサービスですから。

それを中途半端や消極的に対応すると、
「なんだ苦手なのか、打てないんだ」
ということになるわけです。

どんなスピン系であろうと、またスピード系であろうと、
とにかく長いサービスがフォアサイドへきたら、
「はい、チャンスボール、いただき!」という感じで、
がつんと攻撃することです。

たとえそれがミスっても、
相手は今後同じサービスをだすのを躊躇するでしょう。
なぜなら、あのレシーブ攻撃が入ったら
一発で抜かれてしまうと考えるからです。

それに思い切って攻撃してミスしても、
それはつぎに活かせる学習につながるのです。
そのミスは、
オーバーミス、ネットミス、サイドミスのどれかですから、
そこからラケット角度とスイング軌道の修正をすればいいのです。

ところが、これが中途半端だと、
学習につながらないのです。
失敗をつぎの成功の糧にできないのです。
試合中ずっと中途半端なまま終わってしまうこともあります。

長いのがきたら、打つ!
この鉄則を忘れないことです。

さて、まず、ロングサービスの
レシーブ対応での「心構え」を述べました。

まだ、あなたのご質問にお答えしてはいませんね。

横回転系のサービスをドライブでレシーブするとき、
思わぬミスがあるものです。
オーバーミス、ネットミス、サイドミスと。

これはサービスの横と縦の回転(斜め回転)と、
ドライブするときのラケット角度とスイング軌道によって、
実に微妙な飛び方をしてしまうものです。

これは正直、そのときどきのサービスにたいして、
「感覚」で対応するしかありません。

ただし、ドライブするなら、
横上でも横下であっても、
いつもよりラケット角度をかぶせ気味にして、
コンパクトで速いスイングをすると、
相手サービスの回転に負けないで、
ドライブすることができます。

あとぜひマスターしてもらいたいのが、強打です。

コツはいたって簡単。
バックスイングをまったくとらないで、
インパクトを鋭くして、
フォロースルーまで一気に振り抜くのです。

バックスイングをとらないのがポイントです。

こうすると、横回転の反発を受けにくいのです。
しかも、バックスイングをとらなくても、
相手の横回転がスピードに転化して、
スピードある強打になるのです。

ちなみに、この「ノン・バックスイング強打」は、
短いショートサービスにも有効です。

この場合は強打というよりフリックになりますが、
要領は同じで、バックスイングなしで、
ヒジを支点に鋭く振り抜けばいいのです。

ねらうコースの第一目標は、
右利き相手のフォアサイドでしょう。
そうストレートコースです。

ここを一発ノータッチで抜いてやりましょう!
それから、やはりこのレシーブ攻撃は、
ふだんの練習で訓練を積むことです。

フォアロングとかのラリー練習ばっかりやってないで、
こういう実戦に役立つ具体的な練習をやることです。

卓技研・秋場


307.「手打ち」が治りません……

はじめまして、卓球マンと言います。
卓球Q&Aを楽しみに拝見しながら、
中高年の卓球を楽しんでいます。
右シェークハンド裏裏です。

早速質問させて下さい。
私の卓球(特にフォアハンド)を見たほとんどの人の感想が、
『 力の入りすぎ・ためが足りない・引きつけがない・腰を使って・
もっと上腕の曲げを生かして・フリーハンドも意識して 』
です。

自分でも、その通り手打ちだなあと、いつも感じています。
卓球に取り組んで10年以上になりますが、
しかし、未だに治りません。

このフォームを修正し、今の壁を破り、
一回り大きなプレイを可能にするためには、
まず何に注目したらよいか、どうしていったらよいか、
アドバイスをどうぞ宜しくお願いします。


お答えするのが大変遅くなりました。
申し訳ありません。

さて、ご質問ですが、
特にフォアハンドの技術的な問題で、
多くのかたから具体的なポイントを指摘され、
しかもそれを「手打ちだな」と
ご自分でも納得されているわけですね。

とすれば、技術的なことにたいしてお答えしても
意味がないような気がします。
要するにご自分で、
「わかっちゃいるけど、できねえんだよ」
というわけですから。

こうなれば、メンタルからの改善から
着手したほうがよさそうです。

まず、「手打ち」ということは、
メンタルから述べれば、
ボールを相手サイドに入れたい、
という頭でボールというか、スイングを
コントロールする気持ちが強いときになります。

これはもう何度も述べていることですが、
「手」というのは、
脳というか、脳神経の出先機関のようなもので、
まさに手は脳の手先なんです。
これは私だけの意見ではなく、
脳科学の専門家も言ってることです。

ところが、手でボールをコントロールしようとすればするほど、
逆にいい結果が出ません。
実に、皮肉なことです。

なぜなら、手というのは、
腕があり、上体があり、下半身があり、
全身がある一部の器官で、
手が主導すると、
体全体のバランスがくずれてしまうからです。

なので、卓球のスイングにかぎらず、
多くのスポーツや武術などは、
腰からの始動をすすめているのです。

「腰」は全身のまさに「要」であり、
体のセンターにあり、
腰から始動させることで、
体全体の動きがバランスをとることができるのです。

またスピードやパワーなども、
腰始動することで体全体の力を集めて
フル活動することができます。

ですから、技術的に述べると、
ごく簡単に言えば「腰始動してください」の、
この一言でアドバイスは終了します。

でも、それができないわけですよね。
そうであれば、つぎのようなことを試してみてください。

1.ラリーではなく、多球練習の要領で
ノッカー(送球者)に一球ずつ球だしをしてもらいます。
なぜかといえば、
ミスをしても相手に迷惑がかからないからです。
ミスをしてはいけない、
という強い思いがあるので
手でコントロールしようとして、
手打ちになるのです。

2.そう、ミスを気にしないで振り切ってください。

3.そして、こう声をだして数えます。
ノッカーがボールを打った瞬間「イチ」、
自陣にボールがバウンドした瞬間「ニ」、
そのボールを打つインパクトの瞬間「サン」と。

4.なんにも考えないで、この3つの瞬間にただ、
「イチ、ニ、サン」と声を出して数えるのです。

5.これを5分間ほどやってみたら、
つぎにラリーの練習に入りましょう。

6.同じく、相手が打つ瞬間「イチ」、
自陣にバウンドした瞬間「ニ」、
打つ瞬間「サン」と数えながら打ってください。
ただただ、この3つの瞬間に数えることだけに
意識を集中させて打つのです。

以上は非常に簡単な集中力を高めるためのメソッドです。
けれども、とてつもなく効果の高い、
しかも初級者からトップレベルまで有効なものです。

ぜひ、ためしてください。
そしてその経緯を教えてください。

卓技研・秋場


306.表ペンの攻略パターンがありましたら是非教えて下さい……

はじめまして!ハンドルネーム・モスミンと申します。
私は右シェーク裏裏のドライブ攻撃型です。

いつもQ&Aを参考にして練習に励んでおります。
最近ではA292の左攻略法として、
フォアサイドを切るボールを練習中です。
試合で左選手にあたって練習成果を試してみたいと
楽しみにしているところです。

ところで私は表ペンが苦手です。
どんなポールもパンパン打ってこられて、
ブロックも間に合いません。

表ペンの友人から、
深いボールや上回転の強いボールが苦手とききましたが、
個人差があるように思えます。
表ペンの攻略パターンがありましたら是非教えて下さい。
宜しくお願い致します。


表ソフト・攻撃タイプの攻略法について述べてみます。
ただし、以下に述べるのは
表ソフト・プレーヤーへのメッセージでもありますから、
表ソフト・プレーヤーもぜひ参考にしていただきたいと思います。

表ソフトと対戦したとき、
どんなボールでもばんばん打ちこまれ、
しかも打球したときの球離れが速くてタイミングが合わない。
もう、どう対応していいのかわからない、
という状態になった人もいるでしょう。

ただ、いままであんなに低いボールでも強打して入っていたのが、
何でもないようなボールをミスする、
というのも表ソフトです。
表ソフトを使わないプレーヤーからみれば、
なんとも不思議な表ソフト・プレーヤーです。

表ソフトの特徴を列挙しましょう。

1.球離れが速い。

2.回転の影響を受けにくい。

3.打球スピードが速い。ただし、長い距離では失速する。

4.回転をかけにくい。

5.ナックルをだしやすい。

以上のようなところでしょうか。

表ソフトの長所は1と2と3と5です。
短所は3と4です。

3は表ソフトは打球スピードはあるものの、
中陣から後ろになると打球スピードが急に落ちて失速します。
これは球離れの速さが原因で、
球離れが速いために、
打球時にボールへパワーを充填する時間が
少ないために起こるものです。
ですから、前陣対前陣では表ソフトは強く、
台から離れれば打球スピードは遅くなって
弱くなるということを意味します。

そして、なにより表ソフトの最大のウィークポイントは
4の「回転をかけにくい」です。
これはドライブのことです。
(サービスでは表ソフトも回転の利いたボールをだすことができます)
もちろん、表ソフトでもドライブはできます。
回転がかかるタイプの表ソフトラバーもあります。
ですが、やはり裏ソフトのような回転はかかりません。
ここが表の泣き所なんです。

それはどういうところで「泣き所」になるのでしょうか?
こちらがツッツキで返球したボールを、
対戦している表ソフト・プレーヤーは
角度打ちの要領でぱんぱんといとも簡単に打ってきます。
しかもツッツキをかなり切っても、
まったく関係ないというように打ちこんできます。

しかし、そのツッツキを打つ表ソフト・プレーヤーの打球点が、
頂点から落ちるにしたがって、その強打はなりをひそめ、
スピードや入る確率も急降下します。
そうなんです!
頂点までは無類の強さを発揮する表ソフト・プレーヤーなんですが、
それより打球点が落ちると、
その脆さが一気に露呈してしまうのです。

頂点を過ぎると基本的には強打の入る確率は落ちます。
なぜなら、強打はまっすぐ飛ばす打球だからです。
頂点を過ぎて、
ネットの高さよりも低い打球点からまっすぐ直線上に打つと、
ネットにあたるか、オーバーミスをする確率が高まります。

表ソフト・プレーヤーは、
頂点から落ちた打球点のツッツキボールを
攻撃することが大の苦手です。

ところが、裏ソフトなら、
たとえ低い打球点であっても
ドライブでいとも簡単に攻撃することができます。
ドライブは放物線をえがいてネットを越えて飛ばすことができるので、
ネットよりも低い打球点でドライブしても、
そのトップスピンの威力で
十分攻撃的な打球を打つことができるわけです。
しかし、裏ではこんな簡単なことが表にはできないのです。

そうです。
ここを突くのが対表ソフト最大の攻略法であり、
そして同時に、ここを克服することが
表ソフトプレーヤー最大のテーマでもあります。

表ソフト・プレーヤーと対戦したら、
まずは相手のフォアサイドにツッツキを送って、
どう対応してくるか見てください。
そのときは――。

1.エンドラインおよびサイドラインに近い深いツッツキ。

2.強いバックスピン。

3.ナックル。

1ですが、中途半端に短いツッツキは
たとえ強力なバックスピンでも
踏み込まれて強打されやすいのです。

2と3ですが、これは1の条件が満たされた場合に有効です。
中途半端に切れているのが
表ソフトのもっとも打ちやすいボールです。
ふわーとしたナックルも意外と表ソフトはてこずるものです。

表ソフト・プレーヤーを代表するシンボルといえば、
いま中国男子監督の劉国梁でしょう。
1999年の世界選手権の単複で優勝しました。
フォア面に表、バック面に裏を貼ってました。

彼は頂点から落ちたツッツキボールにたいしては、
ドライブで対応しました。
そのドライブはスピンではなく、
スピードとタイミングの速さを重視したものです。
そしてときには、
反転させて裏を使ってドライブをすることもありました。

またバックサイドにきたツッツキは、
裏面ドライブで対応していました。
これでペンホルダーになかった、
ツッツキに対するバックハンド攻撃の武器を獲得したのです。

それともうひとつは
多彩に変化する強力なスピン系サービスです。
このサービスを駆使して、
とにかく3球目から5球目で決めてしまうのです。

以上の劉国梁の特徴のなかに、
対表ソフトの攻略ポイントが、
そして表ソフト・プレーヤーは克服テーマが明確にあらわれています。

それと卓技研式水平打法は
表ソフトの特徴を最大限に活かす打法なので
ぜひマスターしていただきたいものです。

もうひとつ。
表ソフトはナックルをだしやすいので、
「ナックル強打」も覚えましょう。
コツは水平打法のインパクトのとき、
ぐっと下に抑え込むようにすればナックルになります。
これは前陣ラリーでは強力な武器となります。
日本の選手では、野平直孝 (元・健勝苑在籍)が
このフォアハンド・ナックル強打を使っていました。

卓技研・秋場

305.粒高と対戦したとき、どう試合を組み立てればいいのか……

こんにちは。
6~7年前にそれまでのペンからシェーク異質
(フォア面裏ソフト、バック面粒高一枚ラバー)
タイプに変えた60代のプレーヤーです。

粒高面を生かした得点力アップは可能になってきたのですが、
粒高ラバーでチャンスを作り裏ソフトでスマッシュというパターンは、
相手が同様の粒高相手となると
勢い粒高ラバー同士のナックルボールの応酬となり、
先制攻撃のつもりで攻撃を仕掛けると
オーバーミスを繰り返すという悪循環を繰り返してしまいます。

この場合、基本的にどういう組み立てで
試合を進めていったらいいのでしょうか? 
サービスを持った場合と、
レシーブのときの場合に分けご教示願えれば幸いです。

参考までに最近はどこのオープン試合に出ても、
粒高の使い手は激増しており
粒高同士の対戦を如何に克服するかが
大きな課題となっております。
ハンドルネーム/マイク


そうですか、最近、粒高の使い手が激増しているんですか。
そうなると地域の大会では
粒高選手との対戦する機会が増えるわけで、
あなたのような粒高だけではなく、
裏ソフトや表ソフトの選手も、
粒高対策を備えておかなければいけないことになりますね。

しかし、粒高を使っている選手が粒高が苦手というのは、
なんとなく皮肉ぽい感じがしますね。

ではまず「粒高」の特徴をピックアップしてみましょう。

1.粒高独特の「ふわふわナックル」。

2.ものすごい回転のかかったバックスピンがかけられる。

3.打球スピードが出ない。

4.強打やスマッシュが打ちづらい。

以上、こんなところでしょうか。
1と2が長所、3と4が短所です。

あなたはこの粒高の長所である
1のナックルボールを攻撃すると
オーバーミスを繰り返してしまうわけです。
自分でも粒高を使っているのだから、
その粒高独特のナックルボールの性質を
よく知っておられるのではないでしょうか?

ナックルというのは「無回転」ということですが、
卓球では2種類のナックルが存在します。
そしてそのナックルを強打すれば――。

A.オーバーミスが出やすいナックル。

B.ネットミスが出やすいナックル。

があります。

Aが1の粒高独特の「ふわふわナックル」です。
このナックルを打ったとき、非常に軽い感じがします。
(表ソフトでも、ときどき「ふわふわナックル」になる場合があります)

Bは裏ソフトや表ソフトを使って、
意識的に操作をしたときに出るナックルで、
通常のロング打法ではネットミスすることが多くなります。

AとBのナックルを強打やドライブする方法は違ってきます。
Aを強打やドライブするときは、
ラケット角度は被せ気味にし、
スイング軌道は水平にします。

AのナックルをBのナックルのように打ってしまうと、
ほぼオーバーミスしてしまうでしょう。
あなたが
「先制攻撃のつもりで攻撃を仕掛けるとオーバーミスを繰り返す」
というのも、このことを理解されていないからではないでしょうか。

ラケットを被せ、水平にスイングしてみてください。
いとも簡単に強打や強ドライブできます。
しかもそのナックルには、ボールにスピードがないので、
とらえれば仕留める確率はかなり高くなります。

これまでの試合で、上級者と対戦したとき、
ナックルを簡単に打ちぬかれたことはありませんか。
一度、ふわふわナックルの打ち方を覚えると、
そのナックルは脅威でもなんでもありません。
まあ、あなたご自身が粒高を使っておられるので、
痛し痒しというか、やぶへびというか、なんというか……。

ですから、まずは粒高と対戦して、ナックルを強打したいのなら、
ラケット角度とスイング軌道(とくにスイング軌道が重要)を
以上のように修整してください。

粒高との試合の組み立てでサービスとレシーブの戦術ですが、
これは相手の特徴があるので、いちがいに述べることはできません。

それでもあえていえば、フォア面裏+バック面粒高と対戦するときは、
相手「バックサイドに深く+フォアに短く」が
基本的なコース戦略になるでしょう。

バックサイドに深く入ると、
粒高独特のプッシュ気味のナックルが打ちにくくなり、
浮いてくるケースが多いからです。
サービスはスピン系ばかりではなく、
スピード系をバックサイドやフォアミドルに深く入れると効果的です。
卓技研・秋場


304.何か打たれないレシーブ方法はないでしょうか……

はじめまして ご多忙中の所すみません。
私はハンドルネームハtenmukkuといいます。
いつも秋場様の卓球に関する技術資料を
楽しみに読ませて頂いています
69才の卓球好きの爺です。

週に2~3回 (各2時間程度)練習に励んでいます。
今Cクラスで試合に出ていますが
時々優勝かもしくは準優勝が有ったものですから
最近2~3回Bクラスに勉強のため出場しました。

案の上、ボコボコにやられる事が多くなりました。(勝率2~3割り)
要因はレシーブとサーブ技術の未熟を痛感させられました。
私はペンホルダー(裏)で
バック側にきたサーブを相手のバックにツツキで返すのが多いため
フォア側をドライブで抜かれて勝負にならない時があります。

ツツキが少し浮き気味になりやすい・・・
フォアにツツキを持っていけば一発でドライブで抜かれるし・・・
何か打たれないレシーブ方法はないでしょうか?


お答えするのが大変遅くなり申し訳ありません。

試合ではレベルが上がるにつれ、
より高いサービスとレシーブ技術が要求されます。
とくにレシーブは相手サービスに慣れていないと、
なかなかうまくリターンできないものです。

試合ではバックサイドにスピン系のサービスが多く出されます。
それを単純に
ツッツキで相手のバックサイドへクロスにレシーブすると、
まず相手の3球目攻撃の餌食になることは
まちがいのないところです。

ご質問の「打たれないレシーブ方法」について、
ごくあたりまえに述べれば、
ツーバウンドになるように
短くリターンすればいいわけです。

実際にトップクラスの試合でも、
ショートサービスにたいして、
そのほとんどのレシーブは短いリターンとなっています。

ですから、まずは短くリターンすることを
マスターする必要があります。
短いサービスを短くレシーブするのは
それほど難しくないはずです。

コツは、サービスがバウンドした直後をねらって、
バックスイングをとらないで、
ソフトなタッチでネット際に落とすイメージです。

短いサービスはいいのですが、
長いサービスを短くリターンするのは難しいものです。
もちろん、この長いサービスも
短くリターンできるように訓練することは必要ですが、
逆に相手のエンドライン深くリターンすると
強打やドライブがやりにくくなります。
もう開き直って、
打てるもんなら打ってみろという感じで
長くツッツいてやればいいのです。

そのとき、できるだけエンドラインぎりぎりをねらうのですが、
サイドラインを切ることや、
バウンドした直後のライジングで打球してタイミングを速くし、
またツッツキのスイングも鋭くして打球速度も速くするのです。
そうすると相手は3球目を強ドライブや強打をしにくくなり、
不十分な体勢で打ったボールは威力がなく、
それを待ち伏せしてカウンター攻撃すればいいのです。

また、ナックルや
あまり切れていないバックスピンサービスがバックサイドにきたとき、
いつもツッツキでリターンするのではなく、
バックハンド攻撃を仕掛けてはいかがでしょう。

バックハンド攻撃といっても、それほど難しいものではなく、
ペンならプッシュの要領でラケット面を垂直に立てて、
そのまままっすぐ押せばいいのです。
意外と簡単にできるものです。

そして慣れてくれば、ツッツキの角度を見せておいて、
打球する直前にラケット面をぱっと立ててプッシュすれば、
フェイントとなってより効果的でしょう。
卓技研・秋場


303.攻撃力がなく、カットマンやペン攻守型に勝てません……

こんばんは、初投稿のT.Sと申します。
卓球歴1年半の、右シェーク裏裏のドライブマンです。

僕は、小柄で力がなくて、周りに比べて、
ドライブの威力や速さがないのですが、
ブロックが得意で攻撃マンとの試合では、
ブロックで相手のミスを誘い、勝っている状態です。

しかし、カットマンやペン攻守と試合をすると、
自分で打ち抜かないといけないので、
攻撃力不足が響いて勝てないことが多いです。

そこで、攻撃力を上げるために自分で考えてみたところ
コースを突けばいいのではないかと思いました。
しかし、厳しいコースを突いても抜けるボールは4割ぐらいで、
6割は取られてしまいます。

なので、コースを突く場所や、コースを突く以外の
攻撃力あげるポイントを教えてください。
説明が下手ですが、回答をよろしくお願いします。


プレースタイルはそのプレーヤーの「好み」だと思います。
たとえ有利なスタイルであっても、
それが楽しくなければ
なんのために卓球をしているのかわかりません。
ただ、そうはいっても、試合で勝てないと、
これもあまり楽しくはありません。
いちばんいいのは、
自分の好きなスタイル勝てるということでしょう。

あなたはブロック主体のスタイルで、
対戦相手が攻撃型の場合は
相手のミスを誘って勝ちやすいけれど、
相手があまり攻撃をしてこない
カットマンや攻守型には勝ちにくいということですね。
そこで、コースを徹底的に突く
ということを考えたもののうまくいかないわけですか。

まず、コース戦法には
「横の攻め」と「縦の攻め」があります。

「横」とは、フォアサイド、バックサイド、フォアミドルサイドで、
「縦」とはネット際、エンドライン際、ハーフツーバウンドがあります。
そして、この横と縦を複合的に考えて、
「斜めの長短」があります。
そしてこの「斜めの長短」を組み合わせて、
通常以下のようなコース取りのパターンを描きます。

A.フォア前+バックサイド深く

B.バックサイド前+フォアサイド深く

対戦相手によって、
AかBのどちらかを主にしたコース取りをするわけです。
これはたとえば、
相手がフォアハンドが得意でバックハンドが弱いのならAを選択し、
フォアハンド攻撃が弱いのならBを選択するというようになります。
ただし、実際の試合では、
相手からいろいろなコースや球種のボールが飛んできたり、
またいつも同じパターンでは相手に読まれてしまうので、
臨機応変に変える必要はあります。

このように複合的なコース選択を考えるというベースには、
戦略上の考えがあります。

1.相手を大きく動かす。

2.相手の弱点を突く。

3.相手に余裕をもって攻撃させない。

とくに、3が重要で、
いくら自分はブロックが得意といっても、
相手に十分にためられて、
思いっきりドライブや強打をあびると、
そうはうまくリターンできないものです。
相手に窮屈な体勢や時間の余裕ない
「弱い攻撃」を仕掛けさせるように仕向けるのです。
攻撃型というのは、いつも攻撃しようと意識し、
また攻撃できないと勝てないと思っています。
そこを突いて、
無理な体勢からの攻撃をするように仕向けるのです。

それと、いかにうまくコースを突いたとしても、
コース戦略だけでは相手がすこし強い相手になると、
なかなか通用しないものです。

カットマンにも、それなりの攻撃力が必要とされるように、
ブロック主体のスタイルであっても、
やはり攻めの姿勢は必要です。
なぜなら、「守り一本」では相手に余裕をもたれてしまうからです。
そして、それなりの攻撃力があると、
守りが生きてくるのです。

やはり回転とスピードはある程度は必要です。
いくら小柄で力がないとしても、
たとえばツッツキの回転の変化はできるものです。
いつでも「切る」「切らない」ツッツキができるようになれば、
それは相手に大きなプレッシャーになります。
そして、そのツッツキが
切れているのかどうかわからないような
フェイントのテクニックをマスターすればさらに有利になります。

さらに回転の変化だけではなく、
同じツッツキのフォームで
「深い」「短い」のコース取りができると、
なお効果的です。

いつもブロックで得点するという意識ではなく、
チャンスがあれば積極的に攻めていく姿勢が大切です。
通常、攻撃する方が有利なのです。
だから、攻撃型のプレーススタイルが圧倒的に多いわけです。

パワーがなくて攻撃力がない場合は、
一発で決めるというよりも、
3打4打5打と連続的に攻勢をかけて、
相手を崩して仕留めるという戦法をとればいいのです。
卓技研・秋場


302.フォアハンドが安定しません……

はじめまして。近江といいます。
25年ぶりに卓球を再開し、
近くのクラブで練習をしています。
右ペン表ソフト攻撃型ですが、
肝心のフォアハン ドが安定しません。

フォロースルーで手首をこねてしまい、
フィニッシュで打球面が上を向いてしまいます。
素振りや壁打ちでは問題ないのですが、
台につくとどうしてもこの癖が出て、悩んでいます。

クラブの上級者に聞くと
「表ソフトはまっすぐ打
てば入る、手先で操作するな」と言われ、
常に 意識しているのですが、
うまくいきません。
よい矯正方法がありましたらお教えください。
参考までに用具は日本式ペン丸型で、ラバーは薄め。
片 面しか貼っていません。
重量は120グラム弱です。
よろしくおねがいいたします。


お答えするのが遅くなり申し訳ありません。
「フォロースルーで手首をこねてしまい、
フィニッシュで打球面が上を向い」て
「フォアハン ドが安定しません」ということですね。
ところが、「素振りや壁打ちでは問題ない」というわけですか。

もうその要因は明確です。
はいメンタルです。
相手コートにボールを入れようという思いが強すぎるのです。

なぜ、そう断定できるのかといえば、
手首をこねたり、打球面が上を向くということも、
ご自分でよく分かっておられ、
しかも、素振りや壁打ちでは問題なく打てるわけですから。
ということは、潜在的には、
それなりの正しいスイング・フォームで
打つことができる能力はあるわけです。
そんな人が、実際にボールを使った場面で正しく打てないとなると、
これはもう「メンタル」しか考えられません。

手首をこねるということは、
手の操作でボールを入れようとする典型的な動きです。
「手は脳の一部」という脳の専門家がいます。
脳というのは人間という動物にとって重要な器官なのですが、
しかし脳だけではなにもできないのです。
脳がそう思っても、
それを実現するための身体の機能が
はたらいてくれなくてはなにもできないからです。

そして、その脳の指令にもっとも忠実に動くのが手先なのです。
そう、まさに手は脳の手先なのです。
しかし、残念ながら脳は万能の神ではありません。
脳はたとえば、フォアハンド・ロングを打つとき、
「手首をこねないで、正しいスイングで打とう」と思いますが、
また一方では、「相手コートに入れなくちゃ」ということも思うのです。
そして、後者の思いのほうが強く出てしまいがちなのです。

これは「自我」のはからいとよんでもいいでしょう。
自我は「正しいフォームよりも、ボールを入れたい」、
とくに試合になると「是が非でも勝ちたい」
ということを強く思うようになりがちなのです。

そんなとき、脳の手先が小賢しく操作しようとするのです。
そして手が主体となったスイングをしたとき、
身体全体のフォームのバランスがくずれてしまい
スイングが安定しなくなるわけです。

だから、試合の局面では
アドバイザーはもとより選手本人もこうさけびます。
「思い切れ!」と。
思い切れとは、「思い」を「切る」こと。
つまり、「自我のはからい」を「切る」ということなのです。
「入れたい」とか「勝ちたい」とか
そんな「思い」は「切って」しまえということです。

でも、そんなことをしたら、
身体はちゃんと動いてくれない、
と心配になるかもしれません。
だいじょうぶなんです。
身体というものは、
正しくスイングできるようになっているんです。
身体の一部である脳も
ほんとうは正しく機能しているのです。

ですが、「自我」という心理機能がそれを邪魔をするのです。
ちょっと「メンタル」や「自我」「脳」について長く述べすぎたようです。
でもこれは卓球というスポーツにとって、
ものすごく大切なテーマなのです。
実は、たとえ世界のトッププレーヤーといえども、
たえずこのテーマと苦闘しているのです。

さて、ではどうすれば、あなたのフォアハンドは安定するでしょうか。
つぎのメソッドを実行してみてください。

1.正しいフィニッシュのラケットの位置でかまえて、
打球したあと、そのフィニッシュの位置にもどってくるように
イメージしてスイングします。

2.打つとき腰を意識して、腰から始動する。
手や腕は、腰の動きのあとからついてくるというイメージです。
言っておきますが、こうイメージしても、
手が打ち遅れるということは絶対にありません。

3.相手が打球した瞬間に「ワン」、
自陣にバウンドした瞬間に「ツゥ」、
自分が打球した瞬間に「スリー」と
声を出して数えてください。
その瞬間を逃さず、すかさず数えるのです。

ラリー中ずっと、この「ワン、ツゥ、スリー」を
繰り返しながら声を出すのです。
とくに2と3は重要です。
このメソッドはあなたのような問題だけに有効ではなく、
初級・中級はもちろん、上級者にとっても最適なものです。
この2と3を意識しながら訓練して、
そのうち意識せずに無意識にできるようになれば
最高のアドバンテージを得ることができるでしょう。

以上は初級者でもできるとても簡単なメソッドですが、
これを持続するとなると意外に難しいものです。
でもその効果は抜群です。
卓技研・秋場


301.相手のカットをドライブでうまく返球できません……

ひろなかです。
自分は、右のシェークハンドです。
ドライブマンを目指しているのですが、
相手のカットを、うまく返球できません。

回転をかけようとすると、台上をこえるし、
また、すこしゆるめると、ネットの前で落ちます。

ときどき入るのですがなかなか安定しません。
なにかこつがあれば教えてください。


カットマンのカットにドライブで対応する、
いわゆるカット打ちですね。
それがうまくドライブでリターンできないというわけです。
まずはその要因をいくつか挙げてみることにしましょう。

1.相手カットの切れている、
切れていないなどの変化を読むことができていない。

2.ドライブ技術そのものが未熟である。

3.的確なカットボールの打球点でドライブしていない。

以上の基本的なポイントをチェックしてみてください。
1のカットの回転の変化はカット打ちの練習を積んでいくと、
そのカットボールがどれくらい切れているのか、
だいたい判断がつくものです。
ただし、毎回かなり意識して
カットの変化を読むこと集中力が大切です。

つぎの2ですが、
ドライブという技術はトップスピンをかけてリターンする技術で、
ほぼどんなボールにも攻撃的に対応できる万能打法なのです。
だから、ドライブが全世界のプレースタイルの
主流になっているわけです。
そして、相手カットボールの少々の回転量の違い(変化)でも、
ある一定のトップスピンのかかったドライブであれば、
ほとんど同じドライブスイングでも、
相手コートに入ってしまうのです。

なぜなら、基本的なドライブボールの軌跡(飛び方)は
ネットの上を放物線を描いて山なりに飛ぶので、
相手コートに入る確率にそれなりの余裕があるわけです。

もちろん同じドライブスイングですと、
相手のカットボールが切れていれば、
ネット近くに低い弾道で飛ぶだろうし、
切れていないと、高い山なりの放物線の弾道を描くでしょうが。

このようにドライブ打法はかなり安全にリターンできて、
しかもトップスピンがかかっているので
攻撃的なボールになりやすいのです。

しかし、こんな比較的優位なドライブ打法であっても、
その技術が未熟であると、
相手カットのちょっとした回転の変化でもミスをしてしまいます。
では「未熟」なドライブとは、どういうドライブなのか? 

それはそれなりの回転量に達していないドライブです。
カットボールを上回る回転量があるドライブ(トップスピン)であれば、
ドライブの弾道に違い
(ネットすれすれの低い弾道とか、山なりの高い弾道とか)は出るものの、相手コートに入るリターンはできるはずです。

もうおわかりですね。
まずドライブ打法は回転がかかるようにすることです。
とくにカット打ちのドライブには回転量が必要です。
そう、ループです。
最初は山なりでもいいので、
ループドライブをマスターしましょう。

そのループの超基本的な練習法を紹介します。
ラケットは持ちますが、ボールは使いません。

1.肩幅よりややひろい足幅をとり、
右利きですから「左足前・右足後」のスタンスでかまえます。

2.そのスタンスで
ヒザを軟らかくバネのように使えるようにやや曲げてみます。

3.スクワットの要領でヒザをもっと曲げます。

4.曲げると同時に両手を一緒に下げます。
このときのヒジの角度は90度からやや広め程度を保ちます。

5.曲げたヒザを伸ばします。
6.同時に両手を真上方向にこすりあげます。
右手のラケットの角度は床にたいして直角に立てます。

7.このとき大切なのは、飛んできたカットボールを、
腰で持ち上げてドライブする、というイメージです。
このイメージをしっかりもつことです。
この超基本ドライブ・メソッドを数百回やってから、
実際にボールを使ったカット打ちをはじめてください。

どんなに高い山なりのドライブでもいいですから、
しっかりと回転(トップスピン)をかけるようにします。
もちろん、このときも、「腰でボールを持ち上げる」ことです。

そして3のフットワークです。
ちゃんと飛んできたボールへいち早く動いて、
余裕をもってドライブすることが大切です。

この練習を何度も続けると、必ずドライブが安定します。

そして安定してきたら、相手のカットボールの回転量に応じて、
ラケット角度は前にかぶせ、
スイング軌道は水平方向にとるようにします。
このときも、「腰でボールを持ち上げる」ことを忘れないで。

そして、これにも慣れてくると、
あるとき「右足の重心のかけかた」で、
スピン、スピード、パワーが出せるということに気づくことでしょう。
その「右足の重心のかけかた」のコツを身体が覚えたとき、
あなたは優秀なドライブマンに成長しているのです。
卓技研・秋場


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