技術論 飛躍の連打(3) of 卓球技術研究所t3i

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技術論 飛躍の連打(3) 完結編

これからの卓球は
いかに自分のタイミング(間)をとれるか、
いかに相手のタイミングを外すことができるか
をテーマに進展するだろう


なぜ、チャン・イニン(張)や岸川の
「フォア&バックのリバーシブル態勢」は卓球の「進化」であり、
戦略的に優位なのか?

それは「間」をとること、
つまり自分のタイミングをとることを
最優位としたプレースタイルだからだ。

よく、プロ野球解説で、
「ピッチャーはタイミングをうまく外しましたね」とか
「いまバッターは崩されたけど、
なんとかおっつけて右にもっていきました」
などという言葉をよく聞くだろう。

野球で、「プロの世界」になると、
打撃に関して「タイミング」が合うかどうかに集約される。
150キロのスピードボールでも、鋭く曲がる変化球でも、
プロの選手はタイミングさえ合えば、
それをヒットする確率が非常に高くなる。
だから、投手は打者のタイミングを外すことに躍起となる。

タイミングを焦点に述べれば、
スピードも変化球も配球も、すべてタイミングを外すためである。
これは卓球でも同じことだ。
あなたができるかぎり強力なスマッシュや
猛烈なパワードライブを打ちたいのも、
サイドを切ったり、フォアミドルを突くのも、
いわば相手のタイミングをはずすためなのである。
それはあなたがタイミングを外そうと意識しなくても、
結果的にそうなっているのだ。

つまり、野球でも卓球でも、ゲームを優位にするには、
「間」や「タイミング」がとれるかどうかにかかっているわけだ。
そして、この究極のポイントを軸にして
プレースタイルをつくっているのが張であり、岸川なのだ。
さらにもう一人付け加えるなら丹羽である。

さて、では間をとる、タイミングを合わせるとは、どういうことか?
それは自分がスイングに入る一瞬(ほんとに、ほんの一瞬でいい)、
相手と自分を観察する時間をもてることである。

言い方を換えれば、
主観的状況から客観的状況にスイッチできる時間をもつことである。
(おそらく柳生新陰流の極意はここだろう。
この点に関しては後日述べる)
この節の真意が理解できれば、
卓球の上達はもちろん、人間生活のありとあらゆることが
スムーズに愉快にエキサイティングに運ぶだろう。

そして、こういう状況にプレーヤーが入るとき、
ピークエクスペリエンスやゾーン、
あるいはフローと呼ばれるものに意識が変容して、
それは不思議かつ至福の喜びを味わうことができるのだ。
(以上、このピークエクスペリエンスについては、
1月18日(月)から、じっくりと丹念に展開します)

以上のことはトッププレーヤーだからできるのだろう、
と思われるかもしれないが、たしかにそういう傾向はあるものの、
初級や中級のプレーヤーにだって十分可能なのだ。

「意識の変容」については
来週に展開するまでお待ちいただくことにして、
「間やタイミングの取り方」は、
それができるように訓練すれば、
だれでもそれなりに身につけることは可能である。

そのためには、以下の点に関して意識して練習してもらいたい。

1. バックスイングは小さく、高くとる

2. インパクトの瞬間、相手を見る

3. 顔(頭)を動かすのではなく、
 眼球(目玉)の動きでボールをとらえるようにする

4. 前の踏み込みだけでなく、横に踏み込んでパワーを出す

5. スイングのフィニッシュで止めてから
バックスイングに入るのではなく、
止めないで回転しながらスイング始動に入る

6. フォアハンドとバックハンドの切り替えを早くする

とりあえず、以上のことを意識して、そうなるように訓練を積めば、
かならず「間やタイミング」をとることができて、
圧倒的優位にゲームを進めるようになるだろう。

これは初級や中級のプレーヤーでも、以上のことを意識して、
実際に練習に取り入れればかならず実になり、
上級者になるにつれても伸びしろがあるプレーヤーに
成長することができるだろう。

以上の(1)~(4)は、当「卓技研」サイトの「技術論」などで、
何度も解説しているので参考にしていただきたい。

また(5)は卓技研が推奨する「水平打法」の新展開として、
近日に「技術論」等で解説する予定だ。

(6)の練習方法は、多球練習で、
自分のコートのフォアサイド、バックサイド、ミドルに
アトランダムに送球してもらい、
それをフォアハンドとバックハンドを切り替えてリターンする。
最初はロングボールで、慣れてくれば、ロングボール以外に
カット球やドライブ、ストップ、強打など、
いろいろなボールを織り交ぜて送球してもらい、
その出されたボールに応じたスイング、
たとえば強打やドライブ、ツッツキ、フリックなどで
対応するようにする。
この練習を積むと、かなり左右というか、
フォアとバックの切り替えに伴う
神経回路のはたらき(反射神経)がよくなる。

以上で「飛躍の連打」に必要な「間やタイミング」の取り方と
その訓練法が明らかになったわけだが、
もちろんこれだけでは十分ではない。

つぎに必要なのは、対戦相手の「間やタイミング」を外す術だろう。
野球でいえば、投手の立場にたった「タイミングの外し方」である。

いま主流のプレースタイルはドライブで攻撃することはむろん、
ロングボールにたいして、
トップスピンが入ったロングボールで応戦するものである。
それは強打やスマッシュでも同じで、
トップスピンを入れることが多い。

もし、あなたがこのプレースタイルなら、
ドライブやトップスピンだけではなく、
たとえば対ツッツキや対カットボールに
ドライブでリターンするだけでなくトップスピンを入れない強打を、
またロング戦でも
ドライブやトップスピンを入れない水平打法を混ぜることだ。

あるいはあなたが表ソフトの速攻タイプなら、
いまの強打に「ナックル強打」を混ぜることである。

以上のようなボールをときおり混ぜることで、
相手のタイミングを外すことができ、
しかも、混ぜる打球の得点率がアップするだけではなく、
本来のプレースタイルも活かすことになり、
その効果は倍増以上のものとなるだろう。
たとえば、あなたがドライブマンと対戦するとき、
試合が進行するにつれ、
相手のそのドライブボールにタイミングを合わそうとするだろうし、
カットマンとの対戦なら、
もっとはっきりそのカットのタイミングに合わせているはずだ。

そのタイミングが「水平打法」や「ナックル強打」によって
外すことができるのである。
その効果が高いことは、たとえばカットマンの攻撃が、
攻撃型よりも対応が難しく得点率が高いのは、
対カット球対応から攻撃球対応の切り替えの難しさ、
つまりタイミングを狂わされるからである。

たとえ150キロ、160キロの速球を擁する投手でも、
かならず最低一種類の変化球は投げるものである。
巨人のストッパー、クルーンも阪神の藤川も、
スライダーやフォークといった変化球を投げるのは、
いくら150キロ後半のスピードボールを投げても、
それだけではタイミングを速球一本に合わせられて
打たれる確率が高いからである。

これからの卓球は、自分のタイミングをいかにとるのか、
そしていかに相手のタイミングを外すのか、
ということをテーマに展開する。

しかもそれは何本も連続するラリーの応酬となって。
その連続ラリーには、
パワードライブ、トップスピン、水平強打、ナックル強打などが
入り混じる応酬となる。

これから求められる卓球プレーヤーは、
相手の快速球と鋭い変化球に
タイミングを合わせて打ち返す打者であり、
また相手打者のタイミングを外す
速球と変化球を投げ分ける投手でなければならないのだ。
卓技研・秋場


技術論 飛躍の連打(1)
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